JAPAN-ITALY Travel On-Line

特集 小都市を訪ねる旅    イタリア汽車の旅
15 maggio 2005



第6回 トスカーナを巡る旅



池田匡克・池田愛美


   

中部イタリアの宝石トスカーナ州を鉄道で旅する際、起点となるのは常にトスカーナ州都であるルネッサンス都市フィレンツェだ。街中が美術館と言われるだけに、旧市街を歩いて回るだけでもあっという間に1週間経ってしまうほど美しい街だが、鉄道の旅を愛する旅人としては一カ所にゆっくり腰を下ろしてはいられない。
そんな際、旅の発着点となるのはいつもサンタ・マリア・ノヴェッラ中央駅。1935年に当時の最先端技術であるガラスと鉄を用いたモダン建築だ。設計は地元トスカーナのジョヴァンニ・ミケルッチ。ポスト・モダンの到来を予感される研ぎすまされたシャープな建築はルネッサンスの町並みを見慣れた旅人の目にはかえってとても斬新に映る。

駅舎に一歩足を踏み入れると例によって喧噪がたちこめるイタリア鉄道の旅ならではの独特な雰囲気。案内板に目をやればシエナ、ピサ、アレッツォなど、どこも魅力的なトスカーナの街へと続く列車が終着駅方式のホームへと続々と到着しては旅立ってゆくのが分かる。

例えばシエナに向かうならば各駅停車レジョナーレに乗り込めば、ローカル線の雰囲気を味わいながら美しいトスカーナの田園地帯をゆっくりと旅することができる。
フィレンツェを出発した列車は約30分後にエンポリに到着。小さいながらもサッカーがさかんなことで知られるこの街を通過するとやがて列車は南下を開始、右には緑の丘、左手にはキャンティの森が広がるなんともいえない贅沢な風景が見え始める。王冠のような城塞都市モンテリッジョーニが見えたらシエナは近い。遠くにマンジャの塔が見え始めたら下りる支度をはじめよう。ここまで合計1時間30分の旅、世界遺産都市を巡る贅沢なルートだ。

もうひとつ世界遺産を旅するならばピサに向かう西行きのルートがいい。出発はやはりフィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ中央駅。リヴォルノへと向かう各駅停車レジョナーレに乗り込み、一路西へと向かう。途中停車駅はエンポリ、サン・ミニアート。こうした名も知れぬ小都市で途中下車してみるのも各駅停車ならではの旅の醍醐味だ。
フィレンツェを出て約1時間20分、ピサ中央駅に着いたら、目指すのは当然イタリアの奇跡と呼ばれるピサの斜塔のあるミラコリ広場。天気がよければ中世そのままの風景に出会えるはずだ。

再び車上の人となるならば終点のリヴォルノでは美味しいシーフードに挑戦してみたい。トスカーナ屈指の漁港だけにその鮮度は折り紙付き。名物にうまいものなし、とはよく言われるが絶品の魚介スープ「カッチュッコ」に出会えたら旅の思い出は一層深まるはずだ。


「ルネッサンス都市フィレンツェを堪能したら魅力的な小都市へと旅立とう。」



「ティレニア海に面したリヴォルノでは新鮮な魚介料理を是非。」



「ピサの斜塔を目にしたらその感激は一生忘れられないものになるはず。」


データ
Dati



フィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅までは、ローマ・テルミニ駅からユーロスターESで1時間半、インテルシティーICで2時間半。
ミラノ・中央駅からESで2時間45分、ICで3時間15分。

  map

著者プロフィール

池田匡克 池田愛美
フリーライター、編集者。月刊誌編集部勤務を経て、1998年に渡伊。以降、フリーランスで日本の男性誌、女性誌、旅行誌、料理誌に編集、及びライターとしてイタリア 情報を寄稿。イタリア全州を車で回るつもりだったが、最後のヴァッレ・ダオスタ州 のみ列車で踏破。以来、近頃は鉄道移動がマイブーム。近著は「シチリア 美食の王 国へ」(東京書籍)、「地球の歩き方 イタリア鉄道の旅」(ダイヤモンド社))、「イタリアの市場を食べ歩く」(東京書籍)。ロー マのFreelance International Press会員。フィレンツェ在住。


http://www.japanitalytravel.com
©  JAPANITALY.COM srl - MILANO 2000 All rights reserved.