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特集 小都市を訪ねる旅    イタリア汽車の旅
14 ottobre 2005



第8回 ドロミティの旅



池田匡克・池田愛美


   

今回の旅の起点となるのはボルツァーノ。トレンティーノ・アルト・アディジェ州、大河アディジェとイザルコ川の合流点に位置する北の都であり、 ドロミティ方面への玄関口である。かつてブレンネロ峠を越えてゲルマン圏から南欧イタリアへとついた文豪ゲーテは「イタリア紀行」の中で 「幸せな明るい太陽」とボルツァーノの市場をほめたたえている。そのボルツァーノの市場を例によって早朝からぶらぶらと歩きつつ、ソーセージ屋台 に顔を出す。

ヴェネッイア名物がバーカロ、フィレンツェ名物がトリッパ屋台ならばボルツァーノ名物はこのソーセージ屋台で、ゆでた熱々のソーセージをその場で 食べさせてくれる。粗挽き、白、ノーマルととりあえず3本ばかりおばさまに温めてもらい、冷えた缶ビールとともに朝食とする。ホースラディッシュ、 粒マスタード、モスタルダ風甘口マスタードそしてケチャップと調味はお好みス・ミズーラ。ハローキティのスウェットを着た隣の女子高生はソーセージ をパニーノにしてもらっている。

ラテンというよりもほぼゲルマンなこの街、実はイタリア語が意外と通じない。というのも1918年のハプスブルク支配終了までオーストリア領だったため、 イタリア語よりもドイツ語のほうがよく話されているのだ。
で、今回乗る電車はイタリア鉄道でなく私鉄レノン鉄道。3000m級が連なるドロミティの山々を眼前に見るイタリア屈指のパノラミック・トレインである。

ボルツァーノの町外れにある小さな乗り場からロープウェイに乗り込むと、すぐに高度をぐんぐんとあげ始め、間もなく海抜1220mのソプラボルツァーノ駅に着く。 レノン鉄道の出発点である。このあたりも表示は伊と独の2ケ国語。ドイツ風にいうならオーバーボーツェン駅発、2両編成のレノン鉄道は車両上部が白にペイント された木製のヴィンテージ・トレイン。車内に乗り合わせたのは通学の学生あり、デイパックを背負ったドイツ系トレッカーあり、羊飼い風老人あり、そして私と 実にバラエティに富んでいる。
やがて電車は静かに駅を離れると牧場が続くレノン高原を走り、間もなく車窓にはドロミティの山々が見えてくる。

北イタリアの青い空にドロミティ山塊の黒い岩肌がくっきりと切り立つ光景は壮大であり、異様でもある。畏怖さえ感じさせる青黒い荘厳なテーブルマウンテンは シリアル山。その奥には延々と連なるカテナッチョも見える。
青い牧場に点在するのはホルスタイン、時折見える民家はとんがり屋根のチロル風。イタリアにいながらにして平地とは隔絶されたチロルの風景がここには残され ている。

そして電車はあっという間に終点コッラルボに着く。トレッカーたちはここから歩き始め、さらなる高地を目指すらしい。こちらはというと小村コラッルボを一回りし、 帰りの電車を待って駅舎でワインを一杯。銘柄も何も指定せず「白を」と試しにドイツ語で注文したところ当然だがやはり通じた。そして出て来たのはステムが緑色の グラスに注がれた香りふくよかなリースリング。
どこまでもゲルマン風味付けのドロミティをのぞむショートトリップならまさに秋たけなわ、この時期が最適。絶景の連続は古き良きイタリアの町並みとはまたひと味 違った思い出を残してくれるはずである。


イタリア鉄道ボルツァーノ駅はオーストリア方面への出発点。






車内で出会った羊飼い老人。






コッラルボから見えるドロミティの山々。


データ
Dati



ボルツァーノまでのアクセス
鉄道利用が便利。ヴェローナ・ポルタ・ヌオーヴァVerona Porta Nuova駅からボルツァーノBolzano/Bozen駅までESまたはECで約1時間半。 普通列車で1時間40分〜2時間。

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著者プロフィール

池田匡克 池田愛美
フリーライター、編集者。月刊誌編集部勤務を経て、1998年に渡伊。以降、フリーランスで日本の男性誌、女性誌、旅行誌、料理誌に編集、及びライターとしてイタリア 情報を寄稿。イタリア全州を車で回るつもりだったが、最後のヴァッレ・ダオスタ州 のみ列車で踏破。以来、近頃は鉄道移動がマイブーム。近著は「シチリア 美食の王 国へ」(東京書籍)、「地球の歩き方 イタリア鉄道の旅」(ダイヤモンド社))、「イタリアの市場を食べ歩く」(東京書籍)。ロー マのFreelance International Press会員。フィレンツェ在住。
(URL) http://www17.ocn.ne.jp/~rotonda/index.html
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