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特集・私の自由旅行  〜個人旅行のノウハウ教えます〜
15 Settembre 2013



シチリア旅行記
第7回  古代と共に在る町シラクーサ  

その2  旧市街オルティージャ島   

         

Okaya 


●マニアーチェ城塞とアレサゥーサの泉
実質的に最終日の観光開始は、旧市街オルティージャ島南端のマニアーチェ城塞から。その前にホテルを移動した。11世紀にビザンツのマニアーチェ将軍が築いた塞をフェデリコ(フリードリヒ)Uが大改造をしたので、カターニアのウルシーニ城に良く似た、ちょっぴりアラブの香りのするノルマン建築だ。調度は何も無くがらんとしているが、一室に元々は入り口にあったギリシア時代のブロンズの雄羊(のコピー。オリジナルはパレルモの博物館)があると言うので、広い場内をあちこち探し回った。島の端っこなので、よじ登った城壁からは断崖と砕ける白波が見えた。端に寄り過ぎたら危険だ。日本なら登れないように柵でも作られているだろうが、自己責任で登れる社会の方が好ましいに決まっている。

写真トップ: @シラクーサ、オルティージャ島の ドゥオーモ広場 
写真下左:Aマニアーチェ城塞   写真下右:Bブロンズの雄羊のコピー

城砦を出て少し歩けば、アレサゥーサの泉。海から数メートルなのに、ギリシア時代から絶える事無く真水の湧き出る不思議な泉だ。パピルスが生い茂り、あひるは日向ぼっこをし、観光客はシャッターを切り、シラクサーニはここで待ち合わせをする。そんな所だった。次はドゥオモ広場へ。守護聖女聖ルチアに捧げられたドゥオモは、ドーリス式のアテナ神殿を骨組みにして作られていることが、堂内に一歩入れば一目でわかる。サンタ・ルチア礼拝堂には聖ルチアの遺骨の一部が恭しく展示されていた。

  写真下:Cアレトゥーサの泉 

●カラヴァッジョの大作「聖ルチアの埋葬」
次は広場の南、カラヴァッジョの「聖ルチアの埋葬」を見に、サンタ・ルチア・アッラ・バディア聖堂へ。11時のオープンをカフェで待つことにした。ドゥオモ広場はドゥオモのファサードも含め、バロック様式の建物で囲まれ、豪華で華麗だ。これほど美しい広場はヨーロッパにもそうはないだろう。アコーディオンと人々のざわめき、レモンのグラニータ、美しい広場、カラヴァッジョの絵との対面を待つ時間、すべてを私はこの上もなく楽しんだ。そしてついに扉は開かれ、私達はカフェの勘定を払い、408 x 300の大画面の「聖ルチアの埋葬」と対峙した。古代ギリシアの遺物だけでなく、カラヴァッジョが描いた守護聖女の絵までも持っているなんて、何と幸福な町なのだろう。

 写真下左:Dドゥオーモのファサード   写真下右:Eドゥオーモ内部 

部屋で一休みし、アルキメデス広場へ。記録が失われたのか、道自体が失われたのか21世紀のシラクーサには「裸のアルキメデス走りし通り」が無くて残念だ。広場の中央には、アレトゥーサの伝説を表す―アルテミス、川の神、ニンフのアレトゥーサ―噴水が置かれていた。町一番の大通り、マッテオッティを北上し、BC7世紀末に建造されたシチリア最古のドーリス式神殿のアポロ神殿へ。今は柱が2本立っているだけで、あとは敷石と瓦礫が少々。教会→モスク→教会→兵舎、1693の大地震で倒壊、1860年に土の下から発掘とシラクーサの歴史そのもののような神殿なのだ。そして、また南へ戻り絵画と彫刻と箱型馬車が展示された州立美術館へ行った。

●世界無形文化遺産のシチリア人形劇
夕方、路地裏の小さなスペースに設けられた劇場で、世界無形文化遺産のシチリア人形劇(プーピ)を見た。中々精密な動きをする糸あやつり人形で、一人が一つの人形を使うが、声は一人の男性が、女声も含めて担当していたようだ。もちろん人形浄瑠璃の様な繊細な表現は望むべくもないが。今夜のお話は、「アンジェリカの逃亡」。渡された英語のプログラムは???、実際の舞台を見ても????、中世の英雄譚である事が察せられるだけだった。 騎士が敵役のサラセン人の胴体を、上下または左右に文字通り真っ二つに切り裂くシーンは笑った。

シチリア最後の晩餐は、4星のロイヤル・マニアーチェ・ホテルのレストランで。故あってこの食事はホテルの奢り。口取風前菜は、2色のパプリカが目にも鮮やかな野菜のグリル。濃厚な甘味からシチリアの大地の豊かさが感じられた。地物と確認したのではないけれど。だって美人でとても感じの良いウェイトレス嬢は、英語を解さなかったので。第一皿はレモンとミント風味が軽やかな味わいのイカのパスタ。すんなりと胃に収まり、ついに念願のメインディッシュへ期待が高まるその時、件のウェイトレス嬢が話しかけてきた。勿論イタリア語で。隣のテーブルの女性客が助け舟を出して下さり、マグロのステーキの焼き具合の希望を伝えた。マグロのシンプルな味付けは、付け合せのケッパーと驚くほど調和していた。うま味の溶け出たオリーブオイルときたら!!!
パンでふき取り、お皿はピカピカになった。無作法だけど、エコでもあるし。そして、ティラミスも洗練された味わいだった。お隣のご助力でオーダーしたデザートワインも美味しかった。

●夕食後はオルティージャ島のそぞろ歩き
食後、昼間訪れた場所をそぞろ歩いた。狭く、安全なオルティージャ島ならではの夜の過し方だ。ライトアップされたドゥオモ広場は昼とは違った風情だった。アポロ神殿を囲む手すりにもたれ、私達は旅の思い出を語り合った。いつの間にか民主党政権批判になったのは、政治談議を好むギリシア人的エキスが、シラクーサの大気に残っていた所為なのかも。民主政治を発明した古代ギリシア人とここシチリアに花開いた文明の偉大さは疑問の余地が無く、私達が被ったユーロ安と言う恩恵は、現代ギリシア人の愚かさ故であることも然り。我らがシチリア旅行大成功はギリシアの賜物と言えよう。

三つ星と四つ星ホテルの違いは朝食に表れる。波の音が聞こえるレストランで、全部は食べられないほどの選択肢から私はケーキを3切れほど選んだ。朝炭水化物を摂るのは理にかなっているから。隣のテーブルはイギリス人のご家族らしい。「最終日の出発時間が10時なのは理想的ね」とYさん。これより早ければ慌しいし、遅ければ、勤勉な日本人観光客は、どこかで観光しなければならない。

空港に到着し、1階でチェックインしエスカレータで2階に登った。目の前にはお菓子屋さん。カンノーロが目に飛び込んできた。このシチリア銘菓を未だ食していなかった私は、義務感に駆られて購入した。立ち食いに相応しい包装なので、歩きながら完食。すべきほどのことはしつ、見るべきほどのことをば見つ。そんな心境で飛行機に乗り込んだ。

Okayaさんのプロフィール
196x年東京生まれ。趣味は旅行、登山、舞台鑑賞(主にオペラとバレエ)で年齢より海外旅行の回数の方がい。イタリア訪問は6回で、3回目からは個人旅行ばかり。イタリアへの興味は、幼少の折テレビで見た「レオナルド・ダ・ビンチの生涯」から。大学生の頃から塩野七生の著作を愛読し、ヴィスコンティの劇場上映は逃さず鑑賞。シチリア出発直前に「山猫」を見られて、TOHOシネマに感謝!  最近の愛読書は「テルマエ・ロマエ」。 

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