JAPAN-ITALY Travel On-Line

特集・私の自由旅行  〜個人旅行のノウハウ教えます〜
15 Luglio 2015



イタリア二都物語 + 続シチリア旅行記
第1回  夜行列車でメッシーナ、そしてタオルミーナへ    

   

         

Okaya 


●プロローグ
2011年9月のシチリア旅行記の結びは「見るべきほどのことをば見つ」だった。だがその後入水したわけではないので、折に触れ見残し遣り残した事どもが思い起こされ、時が経っても悔悟の念は癒されず、むしろ「行きたい」気持が募ってきた。 折りしも、2012年末、2013年始は9連休。同僚のTさんをお誘いしシチリア再訪を企図した。最大の目的は前回行きそびれたメッシーナのカラヴァッジョだ。宿泊はタオルミーナにしてTさん希望のローマと中間のナポリに滞在することで訪問地はあっさり決定した。つまりローマとナポリで二都、タオルミーナと立ち寄りメッシーナで街が1 と1/2になる。

写真トップ: @タオルミーナ 宿泊先部屋からの夕景 
写真下左:Aローマの聖天使城   写真下右:Bナポリのサン・カルロ劇場

<第1日目>
●ローマ空港着 すぐにテルミニ駅へ

12月29日の成田空港の手荷物検査待ちの行列は空前の長さであった。満席のAZ785便が定刻の20分遅れで離陸した時、私は安堵の息を吐いた。テルミニ駅22:30発の夜行列車にまず間違いなく乗れるであろうから。「飛行機が2時間遅れたら、旅程か預け荷物かの究極の選択を迫られることになる」ので私達の荷物は機内持ち込みバッグのみだった。

AZ785便はスケジュールより早く着陸し、私達はレオナルドエクスプレスと名づけられた列車の14よりもずっと安い6ユーロの空港バスでテルミニ駅に到着した。浮いた8ユーロはジェラート費用に充てようか。駅地下のスーパーマーケットを物色後待合室へ。テルミニ駅、夜汽車、旅情を激しくかき立てる舞台装置だ。だが、いきなり私達の旅は暗礁に乗り上げた。出発時刻15分前の22:15にプラットホームヘ行くと出発予定時刻は22:45の表示。その後15又は20分刻みで出発予定時刻は後ろ倒しに。23時半前やっと入線。車両に乗り込むと、客室乗務員さんが私達のコンパートメントを教えてくれた。列車が静々と動き出したのて時計を見ると表示通り23:40だった。シチリア行き長距離列車の到着遅れはガイドブック等にも指摘されていたが、始発の大幅な遅れはまったく想定外であった。

<第2日目>
●ローマからメッシーナまで夜行列車の旅

シチリアへの移動手段を夜行列車にしたのは、目的地が空港から遠いメッシーナだからだ。クシェットは治安に難ありで女性には不向きとの事なのだが、ローマ→メッシーナ間661kmの夜行コンパートメントは100ユーロ。二人なら、お金も時間も節約できるので治安問題には目を瞑った。

 写真下:Cローマ発シラクーサ駅列車の表示   この夜行列車でメッシーナへ

乗ってみたら客室乗務員さんは、しつこく「ロックしてね」と繰り返していたけどね。2段ベッドで洗面台付きの個室は大きなスーツケースを開くには不十分だが、私達には贅沢な空間だ。横になって快い揺れに身を任せ、結構良く寝た。快いどころでない激しい揺れで眠りが妨げられたりもしたが。

●メッシーナ海峡をフェリーで渡る
そして駅とは思えない長時間停車に目覚め、窓から外を窺うと、薄明の下海峡の向こうに陸地が浮かんでいた。シチリア! ついにここまで、と思うまもなく列車はゆっくりと後退し、フェリーのおなかの中へ。イタリア本土とシチリア島の間のメッシーナ海峡を列車は車両ごとフェリーで横断するのだ。乗務員さんが持ってきてくれた菓子パンとジュースに機内食の残りの朝食を食べ終え、そして気が付いたらメッシーナ中央駅に着いていた。フェリーが動いていると気付かない位まったく揺れを感じなかった。あわてて下車し、ホームに呆然と立ち尽くす内、列車は発車した。ほぼスケジュール時間で。ローマ→メッシーナ間で、1時間遅れを取り戻したのだ。道理で揺れたわけだ。飛ばし屋運転士め!

●メッシーナ市立博物館へトラムで
まだ7:30。博物館行きのトラムは8:20発なので、とりあえず駅構内のカフェへ。寝不足と時差の為のぼんやりとした浮遊感と、昂ぶりが混交した不思議な感覚をじっくりと味わった。カプチーノと共に。カフェを出る頃には明け方空を覆っていた厚い雲は後退し、旅の高揚感が眠気を追いやった。

トラムは海沿いの道を北進し、終点Museoの1停手前のRingoで下車し進行方向に歩くと程なく市立博物館に到着。開館前だが、ちょうどやって来た職員と思しき人に頼んで敷地内に入れてもらえた。明るい日差しの下、オレンジとレモンがたわわに実り、ギリシア彫刻が見え隠れするプロムナードは、ゲーテも憧れたシチリアのイメージそのもの。9時になり入館する。「バッグはここで預かるわ」そう、私達は駅からずっとキャリーバッグを引きずって来たのだ。イタリア鉄道駅では、よほどの大ターミナルでないと荷物預かりがないしコインロッカーなど決してない。日本の”どこでもコインロッカー”は治安の良さの賜物なのだ。その結果の途中下車観光困難は、レンタカー無しの個人旅行最大のネックかもしれない。バックパックを背負ったまま観光できる剛の者は別だが。前回のシチリア旅行では、アグリジェントからカターニアに行く途中カザーレ荘を観光する為に、車をチャーターしたのだった。

●カラファッジョの二作品を堪能
博物館の展示は時代順になっている。私の目は最初の部屋の祭壇画に向けられていても、心はカラヴァッジョに向いていた。足早に部屋を通り過ぎる私に女性職員が「(これは)アントネッロ・ダ・メッシーナ(の絵)」と声を掛けてきたので、「カラヴァッジョ!!!」と答えて加速した。

写真下左:Dカラファッジョ作 「牧者の礼拝」部分   写真下右:E同「ラザロの復活」(部分)
(写真DEは同博物館サイトより)

一段と照明を落とした小部屋にカラヴァッジョの「牧者の礼拝」「ラザロの復活」のみが展示されていた。触れるくらいに近づいてから長椅子に腰をおろすと、暗さに目が慣れてきて細部も良く分かるようになり、カラヴァッジョ2点を独り占めする贅沢な時間を堪能した。共に大画面、半分は黒塗りの闇なのだが。闇は表現上の効果の為でなく心象風景なのか。正常な精神が、闇に侵食された事を示す。でも単なる手抜きの可能性だってあるかも。最初の部屋に戻りアントネッロ・ダ・メッシーナを含め全ての展示を丹念に鑑賞し、もう一度カラヴァッジョルームでひと時過した。10時半過ぎ退館する私達と入れ替わるように本日3人目〜の入館者がやって来た。

●キラキラ輝く雪を頂いたエトナ山
宿差し回しのタクシーに乗り込みタオルミーナへ。本当はローカル線でタオルミーナに行きたかったのだが、日曜日は14時過ぎまで列車が無かったので。海岸線より一段高くトンネルとカーブに富んだ道を、常時120km/hで携帯電話にも応答する、飛ばし屋運転手、めっ!!青い海も、雪を頂いたエトナ山も見え隠れしながらキラキラと輝く。12月30日でもシチリアの陽光は期待を裏切らない。

1時間のドライブでB&B Casa Cuseni到着。とりあえず荷物を預け、観光開始。まずバスターミナルへの道すがらジェラート店へ入る。イタリアでジェラートを食べるのは観光の一環、必須の行動だ。バスに乗り高台のカステルモーラへ。ランチのレストランを探すが、数点の候補のお店は全てクローズ。手近なお店に入り、シチリア風前菜の盛合せ1皿とTさんはボンゴレ、私はピスタチオに魅かれ、フェットチーネのクリームソース和えをまずオーダー。前菜を食べながら、野菜がしみじみ美味しいと思う。シチリア島と言えばシーフードだけど。ドルチェ選びは、隣のテーブルの若者が手助けしてくれた。お礼を言ってレストランを出、ガイドブック曰く「息を呑むような、海とタオルミーナの絶景」を探し回った。「別に息呑まないわねぇ」と言いながら。結局息を呑むことなく復路のバスに乗車した。

●シチリアワイン「タンクレディ」を堪能
今日のタオルミーナは、イベントが目白押し。試食のできる”ショコラート・シシリー”と銘打った物産展、ジャズの街頭演奏、教会での無料コンサートなどなど。夜になればクリスマスイルミネーション。ショコラート・シシリーで1ユーロ払って飲んだホットワインは素晴らしく美味で、身も心も温まった。

写真下左:Fタオルミーナの12月30日 イルミネーション   写真下右:G同 メインストリート

教会での子供コーラス終了後、以前から飲みたかったシチリアワイン、ドンナフガータの”タンクレディ”が主役の夕食を部屋で楽しんだ。つまみはピスタチオ入ペコリーノチーズ‐お店でワインにマッチすると勧められた‐、生ハム、2種の惣菜(茸と野菜)、ドライ無花果。ワインは24ユーロ。日本のレストランなら8-9千円なので手が出ない。ワインもおつまみも全部、もの凄く美味しかった。「茄子焼いてオリーブオイルかけただけなのに何でこんなに美味しいの!?」答えは簡単。美味しい茄子と美味しいオリーブオイルだから。

特にワイン通でない私が何故このワインに拘ったかと言うと、名称へのミーハーかつ歴史的興味による。「タンクレディ」は映画「山猫」の登場人物から命名されたとの由。原作の小説ではないと言うことは、命名者はアラン・ドロンのファン?
映画のタンクレディは誰からも愛されるキャラクターだった。公爵家の犬にまで好かれていた。塩野七生の著作によると、著者ランペドゥーサは第一次十字軍の若き英雄、シチリアと縁の深いオートヴィル家のタンクレディを念頭に置き命名したのだそうだ。ワインから若々しくフレッシュな果実味と、明るい陽光が感じられたのは、名前に引き摺られているかも?
前回旅行での遣り残し課題の一つであったタンクレディに軽く酩酊しながら、大満足で滞在2日目、実質的には初日だが、を終えた。

Okayaさんのプロフィール
196x年東京生まれ。趣味は旅行、登山、舞台鑑賞(主にオペラとバレエ)で年齢より海外旅行の回数の方が多い。イタリア訪問は7回で、3回目からは個人旅行ばかり。イタリアへの興味は、幼少の折テレビで見た「レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯」から。大学生の頃から塩野七生の著作を愛読し、ヴィスコンティの劇場上映は逃さず鑑賞。最近日本製ブッラータチーズを発見し、2年半ぶりに味わいつつイタリアを偲んだ。 

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