この夏、プーリア州のサレント地方にでかけた折り、レッチェ県の内陸の町、マーリエMaglieに足をのばし貴重な体験をしました。地元特産の岩石「ピエトラ・レッチェーゼPietra Lecchese」を用いた、イタリアでも始めてといわれる「すべて石で出来たホテル」に宿泊したのです。「ピエトラ・レッチェーゼ」 は薄クリーム色の石で主に石灰質でできているため柔らかく加工や彫刻がしやすいといわれています。 レッチェの代表的な建築物「サンタ・クローチェ教会」をはじめ、この地域の建物に多く利用されています。
トップ: 「すべて石で出来たホテル」エントランス
写真下左:マーリエの町のドゥオーモ 写真下右:市役所そばにあるモニュメント「カペーチェ」
人口1万5千人弱のマーリエの町は、県都レッチェから25キロ、オートラントあるいはガリーポリなどにも近く、歴史的にもサレント地方の商業活動中心地として栄えてきた町です。 市内にはドゥオーモをはじめいくつも教会があり、レッチェと同様にバロック建築様式のものが主となっています。
さて、このホテルの名前は「コルテ・デイ・グラナイCorte dei Granai」。直訳すると「穀物倉庫の宮殿」。 かって町の中心広場では、周辺地域から集まる穀物や産物と海側の都市から届く塩を交換する市場が開かれており、穀物倉庫が並んでいました。長い間使用されていなかった旧穀物倉庫の一つを全面的に修復し、今年の6月、新たに小ホテルとしてオープンしたのです。
写真下左:ホテル「コルテ・デイ・グラナイ」居室 写真下右:ホテル「コルテ・デイ・グラナイ」のジャグジーバス
驚くのは外装や外回りにこの石が使われているだけでなく、天井、壁、床などのすべての内装、さらには、ベッドからデスク、ベッド脇引き出し、壁灯、そしてバスタブ、洗面台なども「石」でできているのです。一口に「ピエトラ・レッチェーゼ」といっても、色合いや風合い、特性は多岐にわたっていて、デザイン性や用途で使い分けて使われています。その結果、何とも言えない懐かしさや温かみが伝わってくる不思議な空間を創っています。リネン類もすべて自然素材が使われており、ディテールへのこだわりやセンスの良さには脱帽です。
写真下左:「ピエトラ・レッチェーゼ」の原石(Bianco Cave社) 写真下右:朝食の用意をする経営者の家族(姉妹)
この地域で3代にわたって「ピエトラ・レッチェーゼ」の採掘・加工を行ってきたBianco Cave社が、自社の石と加工技術を駆使してつくりあげたのがこのホテルです。 居室は6室のみで、経営者家族が手作りで運営していてサービスもアットホームです。
写真下左:老舗チョコレートメーカー「マーりィオ」本店 写真下右:イタリアの元首相アルド・モーロ生家前のアルド・モーロ広場
ところで、マーリエの町はショッピングストリートや広場に活気が満ちています。お店を覗くのも楽しいのですが、イタリアで今、注目度の高い高級チョコレートメーカー「Maglio」(マーリィオ)の本店もこの町のアルド・モーロ広場にあります。同社の創立はなんと1875年ということ。チョコレートも沢山の種類があり、パッケージもお洒落で土産選びに困ってしまうほどです。また、同店脇にはジェラート店もあり、その美味しさは格別でした。
サレント地方の小都市の個性的なホテル。ミラノや北イタリアからリラックスできる隠れ家を求めて訪れる顧客も多いということです。

データ
Corte dei Granai
コルテ・デイ・グラナイ
所在地:Vico Paolo Fontana angolo Via Indipendenza、73024 Maglie (LE)
Tel +39 3481711658
http://www.cortedeigranai.it/
Mail : info@cortedeigranai.it