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イタリアワインVino探検記
15 Maggio2003

第11回 Carmignano〜素敵なお祝いがえし〜


 



中川原 まゆみ



Carmignano(カルミニャーノ)と言われてどんなワインなのかすぐにイメージできすか?
D.O.C.Gに認定されているのでソムリエ試験の時に暗記した。そんな程度の認識だと思う。
実際、私達のレストランで先月ソムリエ試験に合格したアレッサンドロも食事の時に私がCarmignanoを持っていって試飲しながら、食事していると『Carmignanoってサンジョベーゼ100%だよね!』と。Carmignanoの街がトスカーナ州の北部、Firenzeから、北西部約25KMの所にある事は知っているがいったいそれがどんなものな のか?は知らなかったようだ!ソムリエ試験に合格したばかりの彼がこの調子なのだから、本当に認知度が低いのがわかる、知られていない理由に生産量が低いのでしかたがない部分もあるが実際に飲んでみるとCarmignanoの実力が確認できる。

Carmignanoはサンジョヴェーゼ種主体で10〜20%をカベルネ種を加えて造らなければならない。D.O.C.Gに認定されている中でカベルネ種が義務付けされているのはCarmignanoだけ。『どうして外来品種のカベルノが義務づけられてるの?』と疑問が湧いてくる。そして、その答えには素敵なストーリーがある。
中世期、Firenze近郊で栄えたメディチ家の兄脈の血をひくカテリーナ・デ・メディチはのちのフランス王、アンリ2世に1533年に嫁いだ。
その際、イタリアから食品、香辛料、料理人達、食器などをフランスに持参した、その時に現在の4本爪の形をしたフォークも伝えられたと言われている。
そして、彼女が持っていった数々の品や技術などのイタリア料理が現在のフランス料理の原形である事はあまりにも有名な話だ。
しかし、話はこの後も続く、結婚のお祝いがえしにフランスからワインの苗木が贈られた。その苗木はカベルネ種だった。それがこの地でカベルネ種が大切に受け継いでいる理由だ。その後、イタリア各地に運ばれ、今では全国区になっているのは周知の事実。
メディチ家は他にもワインに関して功績を残している。イタリア建国以前の1716年にコジモ3世大公が世界初のワイン法を公示した。つまり、Denominazione di Origine Controllata(原産地統制名称)。Carmignano,ilChianti,Pomino,Valdarno Superioreの4つを認定し、栽培地域や収穫時期などの規定を造った。
その後、約1世紀後にフランスのワイン法A.O.Cができる。

私はCarmignaneseはこの事をどう思っているのか知りたくなったので、いつものように出かけた。
いつもうんざりするFirenze郊外の渋滞を1時間がかりで抜け、住宅街に入り、カンティーナを探してみるが全然みつからない。ワイン畑さえ目にしない!いったい何処にあるんだろう?外は春が来たばかりだと言うのにポカポカと暖かい。まるで初夏の様。私の住んでいるBagno di Romagnaは朝出発する時に雪が降っていたのに。 きっと夏はかなり気温が上がるんだろうな〜と考えながら探し続けるが景色は新しく建設している家々だけ、ここはFirenzeからの通勤可能なのでベッドタウンになっているんだろう!街の外れに申し訳ない程度にワイン畑をみつけた。他のイタリアのワイン産地は山の中にあったて、鋪装されていない道が多く、4駆動の車が欲しいなと思う場所や軽い高所恐怖症の私がセンターラインを走る崖っぷちの道を思い浮かべるがスーパーマーケットの隣で高圧電線の下のカンティーナとはかなり違う。昔はきっと他のカンティーナと同じく緑に囲まれた静かな場所だったんだと思う。
さっそく畑に案内してもらうが、車のクラクションは聞こえるものの、緩やかな 斜面にきれいに剪定されたワイン畑が続きホットした。ここはトスカーナのキアンティなどの地よりは暖かいため、芽吹き始め、剪定職人達は早く終わらせなければならないため、イタリアでは考えられないがお昼の休憩もとらずに仕事を続けていた。
道に迷ってカンティーナに到着したのも遅くなったため、昼食を取りながら話を続けようという事になり、近くのトラットリアにでかけた。店内は新聞を読みながら食べてる人、テレビをみながら食べてる人などいつものイタリアの昼食の光景だ。
私は今シーズンのマイブームでシーズンもそろそろ終わりをつげる"Ribollita alla Carmignanese(パン粥カルミニャーノ風)"を注文。リボリータに使うしゅろキャベツもそろそろ終わり、この皿はトスカーナのクッチーナポーヴェロ(庶民料理)の代表で、各地で少しづつ素材が違う。カルミニャーノ風はトマトを使わず、インゲン豆とポロねぎを入れるのが特徴。ワインはどうしようか?ということになり、私は食事を共にした『ジュゼッペのワインにしよう』と言ったのだが控えめな彼は『伝統があり、重要な造り手だから、にした。このワインは、D.O.C.GのCarmignanoとほぼ同じ品種の比率で熟成期間の義務付けがない。D.O.Cのカテゴリーになり、色はやや影のあるルビー色でエッジは紫色におびている。ブルーベリージャム、アメリカンチェリーのシロップ漬け、熟したプラムの皮などフルーツ系が中心で味わいも香りからくるイメージどうりで丸みがあり、適度なタンニンと酸味があり、これ1本で通せる皿はたくさんある。なかなか便利。セコンドピアットは<Agnello Fritto(小羊のカツレツ)>。ミラノ風カツレツはフライパンで焼き上げるタイプなのだが、この皿はパン粉を付け揚げるタイプなのでフリットという名が付いている。付け合わせにインゲン豆を茹でて、トマトソ−ス、ニンニクであえ、セージで香りづけした<Fagioli all'uccelletto(いんげん豆のトマト煮込み)>を注文し、なぜUcelletto(小鳥)と言う名が付いたのか店の眼光鋭いコックに訪ねてみたところ、鳥を料理する時に使うもの、つまり、トマト、ニンニク、セージを使って料理するからだそうだ。
ジュゼッペノの造っているCormignano Riserva1999とこの皿を合わせたかったので彼に了解をとりを開けてもらった。カツレツの脂肪分が横に広がり、なめらかだがしっかりとしたタンニンがよく溶け込みあい、小羊独特の香りもアフターテ−ストの生のグリンペッパーの香りでバランスがとられ、最後はきれいに乾かしてくれる。イイ感じ!!この地のカベルネは一般的に言われている青臭さは少ない。

ジュゼッペは他の若手のワインの造り手達と『将来のCormignanoはカベルネ種を入れずに造れるように法改正のために動きたい』と語っていた。確かに自由に造りたい気持ちもわからなくはないが、最近の傾向にあるどこの土地で造ったワインも同じ味わいになるワイン造りだけは避けてもらいたいと願わずにはいられない。

 
  photo2
ポッジオ・ア・カイアーノの旧メディチ家邸

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Carmignano(カルミニャーノ)

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パン粥カルミニャーノ風
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小羊のカツレツ

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いんげん豆のトマト煮込み

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 産地 トスカーナ州  

 

著者プロフィール

中川原 まゆみ(なかがわら まゆみ)
 蠍座 O型  7才の時に父が母の目を盗みビールを飲ませてくれた。甘い物があまり好きではなかったので、甘くない飲み物に出会って感激。それ以来いろいろ試す。コックだった叔父から1冊のイタリア料理の本をもらったのがきっかけで料理を作り始め、同時にイタリアワインも飲むようになる。1度イタリアを訪れてからは年に2、3回は来るようになり、レストランで食事をして作り方がわからないと「皿洗いをするから」といって厨房に入れさせてもらい、レシピを教わった。1995年9月、東京の中目黒にオステリア「フェルマータ」をオープン。納得したイタリアワインと集めたレシピを中心とした家庭的な店だったが、2001年3月に閉店し、渡伊。2001年9月日本人女性初のAISイタリアソムリエ協会公認プロフェッショナルソムリエになる。現在、エミリアロマーニャ州の「リストランテ・パオロ・テベリーニ」にソムリエとして在籍。時間ができるとワイン産地を巡る日々。3月よりワイン雑誌『Winart(ワイナート)』にて "イタリア マイナー品種探検" の連載を開始。

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