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イタリアワイン料理紀行バックナンバー
 
25 January 2001

第四回 丘の上のトラットリア


リグーリア州 - ジェノヴァ郊外
 Liguria - Granaloro, Genova



 午前中は、素晴らしい天気だった。2004年のサミット開催に向け、ジェノヴァのあちこちでお化粧直しの工事が行われていた。網の目のように入り組んだ狭い道を、小回りのきく三輪自動車が仮設資材をのせて走る。観光客には多少迷惑な話だが、元気一杯でやる気満々の港街ジェノヴァ、という感じがなかなか良い。今回訪れたトラットリア・ルイジーナTrattoria Luiginaは、そんな喧騒から抜け出して、ランチを楽しむのには良い場所かもしれない。

 ジェノバのポルタ・プリンチペ駅Porta Principeのホームにおりて側の方を振り返ると、グラナローロGranaloroという地域へと向かうケーブルカーの駅が見つかる。ジェノヴァでケーブルカーというと、リーギRighiの山のそれが、昔から頂上からの眺めの良さで知られている。が、ルイジーナに行くには、どちらかというとジェノバ市民の「通 勤通学の足」という色合いのつよい、この「グラナローロ方面行き」にのる。但し、終点から結構な上り坂を20分歩くことになるから、ルイジーナにはジェノバの人も車やタクシーで行く人が多いようだ。

 まさに丘の上にぽつんとある。電話で問い合わせをした時、「殆どのタクシーの運転手さんは、"グラナローロのルイジーナ"で通 じる。」と言うことだった。なるほどそれだけ伝えただけで、創業以来外の看板無しというこの店へぴたっと車を寄せてくれた。その間、背後にぐんぐんと見えてくるジェノヴァの街や港に気を取られていたのだが、駅から乗ってほんの7,8分ぐらいだったように思う。

 窓側の席につき、「ジェノヴァといえば、ジェノヴァペースト。しかし他にも色々紹介したいし...。」などと考えていると、「ジェノヴァ風ラザニアLe Lasagne al pesto genoveseで行きましょう!」と、サーヴィスを切り盛りするチェーザレ氏からお勧めが間髪いれずあった。ラザーニャというと、ボローニャ風の、ミートソースを使った何段重ねになったものを条件反射的に想像していまう。いやいや、そもそもラザーニャはあの平べったいパスタそのものを呼ぶのであって、勝手に頭の中で積み上げてしまってはいけなかった。

 茹でたてのプルンプルンとしたラザーニャが、ほかほかと薄緑の衣を着てやってきた。周りの常連らしい客達のテーブルにも当たり前のように次から次に運ばれてきた。これがなんと言っても看板料理なのだろう。そしてその緑色、ミラノのレストランで出されるジェノヴァペーストと明らかに鮮やかさが違う。滑らかさが違う。そして、パスタもこんな風に平べったく、殆ど1枚そのまま切れ目のない布のように登場することも無かった。あっという間にツルツルッという感じで食べてしまう。パスタの量 に対してペーストがたっぷりなこともうれしい。「麺だけおかわり!」とお願いしたくなった。

 このジェノバペーストの材料だが、新鮮なバジリコ(そもそもバジリコは夏のものなので、冷凍で取っておくところも多い。ルイジーナでは日当たりの良い場所で冬もビニール栽培し、必要な分だけを積んで朝作っている。)、松の実、パルメザンチーズ、少量 のニンニク、そしてオリーブオイル、塩コショウをミキサーで合わせる。 チェーザレ氏に「ウマイ、ウマイ」を連発中の私に、目の合う位置に座ったかっぷくの良い女性が言った。「ジェノヴァのマンマなら誰だってこれを作るのだけど、どうしてもこう言う風に仕上がらないのよ。」狭い店だから会話は皆聞いていて、他のテーブルのお客もいっせいに食べながらうなずく。
「何しろ106年ですからね。」と始めてやってきた私が知ったように答えたのは可笑しかった。

 もう一品プリモ・ピアットを試したくて肉のソースのラビオリを頼んだ。方言でこのソース"トゥック"という。このソースを作るために4時間ほどことこと肉を煮なければならないが、昔からジェノヴァでは、仕事から帰ってきた夫がおなかがすいてこの4時間が待ちきれず、パンをちぎって横からちょいとソースを"つけて"(=トッコtocco)食べてしまうことに由来するそうだ。ジェノバ風に言うと"トゥック"と訛る。(写 真に出ている記事は、今のシェフ、アンナさんのお母さんルイジーナさんの時に、来ていた常連客の画家が地元の新聞に寄稿したもの。)

 ワインはヴァルポルチェベラValpolceveraの白のテーブルワイン。ボトルや、ラベルのデザインなどから、「地元や近所に売るためだけのものです。」という感じがひしひしと伝わってくる。生産年も書いてない。今でも田舎町では多いが、このボトルは返却して又来年使うたぐいのものだろう。後で外に出たときチェーザレ氏が、「あの辺で作っている。」といくつか先の丘を指差して教えてくれた。リグーリア州は、急斜面 が多いこともあって比較的小規模の生産者が多く、量的にも20州中19位。中でもジェノバ県は目立たない。品種はリグーリアで多いボスコ種、ヴェルメンティーノ。「彼らは趣味で作っているようなものだから、その年によって味が色々違うんだけどね...。」と言う。ともあれ去年のものというこのワインは濃い麦わら色で、味わいはしっかりとした辛口であった。

 そして、当連載初めての魚介料理が登場した。これも代表的な郷土料理、ストッカフィッソStoccafisso。干し鱈を水で戻したあと、丁寧に骨などを取り除いて調理する。地方によりいろいろな方法があるが、ジェノヴァの代表的な調理方法、つまり当店の調理法を説明してくれた。この干し鱈はジェノヴァではあまりにポピュラーな食材であり、専門のお店が頼んでおけば水で戻しておいてくれる。

 一人シェフであり、又チェーザレさんの奥さんであるアンナさんが、座り込んで説明してくれた伝統的な作り方をご紹介したい。まずニンニクや、香味野菜と松の実、オリーブをオイルで炒める。馴染んだところでアンチョビをきざんだものを入れて仕上げる。細かくしたストッカフィッソを入れ、塩コショウして白ワインを振り、小さく切ったジャガイモとフレッシュのトマト、そしてジャガイモを茹で上げるために十分な量 だけの水を加える。後は、時々混ぜながら1時間ほどことことと火を入れる。やはり素焼きの鍋を使うのが一番良いそうだ。(普段は金曜日のみ。他の曜日でも人数がまとまれば予約の段階でお願いすることができるそうだ。) 似たものにバッカラBaccala’があるが、ストッカフィッソが乾燥鱈なのに対し、そちらは塩付けである。

 食事の後、100年前の曾御爺さんの写真などを見せてくれたが、そのファイルの中に古い営業許可証がいくつかの時代にわかれて紛れ込んでいた。「ちょっとちょっと」と見せてもらった一枚に、リヴァローロ・リグーリ市Comune di Rivarolo Liguriというような言葉を見つけた。当時まだこのジェノヴァ湾を見下ろすこの山がジェノヴァ市の一部ではなかったことを物語っている。そして 「ウンベルト1世の統治において」という書き出し。ヴィットリオ・エマヌエレ2世の息子でもある彼が殺害されたのが1900年。なるほどこの店が100年以上続いてきたことは間違いない、と周りにいた他の客達と一緒にため息をついた。
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市民の誇りコロンブスの像

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スピノーラ宮の中庭。
道路側はお化粧直し中。

  photo3
今が旬のカルチョーフィ露天商

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看板の無いルイジーナ

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たっぷりのジェノヴァ風ペースト

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向かいの丘で作られたワイン

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"トゥック"ソースのラビオリ

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ケーブルカー乗り場から見渡せる
ジェノヴァと港


店名: トラットリア・デッラ・ルイジーナ 
    Trattoria della Luigina

住所: Via ai Piani di Fregoso, 14 Granaloro, Genova
電話番号: (国番号39) 010 2429594
予約: 日曜は必須。ストッカフィッソは金曜日のみだが、予約時に相談して見ると良い。
休日: 営業はランチのみ。定休日は木曜。
予算の目安: 40,000リラ45,000リラ(飲み物別)


アクセス
(ミラノから電車利用)
ミラノ中央駅Milano CentraleからジェノヴァGenova Porta Principeへ。所要時間は約1時間50分。駅前からはタクシーがお勧め。(12,000リラ前後)
(車利用)
ミラノから高速道路A7でジェノヴァへ。湾岸沿いの道路を駅の方から数百メートル西に言ったところから山沿いに向かう分岐がすぐある。


著者プロフィール

R.Tokimatsu
元ミラノ在住ビジネスアドバイザー
 




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