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イタリアワイン料理紀行バックナンバー
 
5 Febbraio 2002

第十四回 ガチョウのフルコースを楽しむ


ロンバルディア州 モルターラ
Lombardia - Mortara


ミラノから南西、ティチーノTicino川周辺のアッビアーテグラッソAbbiategrassoやヴィジェーバノVigebanoは、筆者もお勧めのロンバルディア州隠れ観光スポット。ティチーノを超えたところからはパヴィアPavia県になるが、なかでもこの地域はロメッリーナLomellinaと呼ばれている。広がる水田と、酪農などが古くから盛んな地域で、郷土の食材はこと欠かない。モルターラMortaraはそのロメッリーナにある人口14,000人ほどの小都市。

今回はまず、ちょっとした物語を紹介したい。モルターラに、子供の頃から食べ物には母親もあきれるほど無関心な子供がいた。美味しいか、不味いかを聞いても「うん、別に。」と応えるタイプだ。そんな彼も、兵役に行った時はさすがにこたえた。「世の中には確かにまずいものがある。」その反動か、がぜん美味しいものを食べることに興味を持った彼は、その後広告のグラフィックの仕事をする傍ら、あちこちでおいしいものがあれば何でも試してみるようになる。そして母にこう言ったものだ。「こんな美味しかったんだ。家でも作ってよ。」どんなものだったか真剣に説明するが、母から返ってきた言葉は「そんなに言うなら自分で作れば?」。彼は素直に従った。それらを我流ではあるが、親戚や友人に作ってみては食べさせるようになり、次第にちょっとした結婚式のバンケットや、30人ぐらいのパーティーで腕を振るうようになった。本業はグラフィックのまま、彼が36歳を迎えたある日のこと、この町の出身でフランスに嫁いだご婦人が、モルターラに帰りたいと言ってきた。「ついては何か事業をやりませんか。」と、郊外の集落グワッリーナGuallinaにあったヨロズ屋の店を買い取ってトラットリアにする話を彼にもちかける。メンバーはすなわちこの御婦人と、グラフィックの彼、そして地元の女友達が一人。誰が何をするのかも決まっていなかった。順調に下準備は進められたが、開店直前このご婦人はまたフランスに帰ることにしてしまう。が、残された彼と友達は、ためらうこともせずトラットリアをスタートさせる。素人はだしの腕前をもつ彼は、必然的にキッチンの中でその才能を発揮しだした。

物語の主人公で、トラットリア・グアッリーナTrattoria Guallinaのシェフ、エドアルド・ファンタズマEdoardo Fantasma氏は、52歳。プロとして料理と接するようになって16年だ。この料理学校はもちろん、他店での修行経験もない元グラフィックは、もちまえの徹底したこだわりで店を確実に発展させてきた。やがて顧客もミラノやトリノからやって来るようになり、最近は高級料理雑誌も取材に来る。料理だけではない。ワインや生産者についての知識も、とても独学とは思えない。リストもすばらしい。「料理は殆ど自分で研究する。食べ歩きをしても、どうせ本当のことは教えてくれないからあまりしない。でもワイナリーは別。行って、話して、飲んで、頭に叩き込む。」恐れ入る。

店内はこじんまりとしていて、最高40人ぐらいしかとれないスペース。店の前の通りもめったに車は通らない田舎だから、イタリア流に音楽も何もない店内は、お客の会話が時折ふっととぎれると、無音状態に近い静けさ。さて、農産物にはことかかないこの地方でもとりわけ食通に知られるのが、初夏からのアスパラガスAsparagiカエルRana、そして秋冬のガチョウOcaだ。メニューの半分はガチョウOcaの料理。想像していた通りで、それらを食べ尽くすつもりで来たのだからにっこりだ。サービスの女性とそしてシェフも交えて、万全の体制でチョイス。まずはフォワ・グラのテリーヌFegato grasso d'oca in terrina con marmellata。当地のフォワ・グラ用のガチョウは、乾燥イチジクFichi secchiのみを餌にして飼育されるという。定石通りに添えられる甘味は赤玉ねぎとイチジクで作ったもの。マッチしないはずがない。お勧めのワインはヴェローナVerona県の生産者アンセルミAnselmiが作り出すイ・カピテッリI Capitelli 1999。ぶどうを干して糖度を高めてから醸造するタイプのもので、この方法では同地方のレチョート・ディ・ソアーヴェRecioto di Soaveがあまりにも有名だ。このイ・カピテッリはガルガネーガ種100%。オーク樽で12ヶ月の熟成も施される。

続いての前菜はガチョウを使った冷製各種。プロシュートProsciuto d'oca、ガランティーナGalantina d'oca(詰め物をして調理し、スライスしたもの)、サラミSalame d'oca di Mortara。胡椒やコリアンダーなどのスパイスがガチョウの風味によくあっている。彩りもご覧の通り鮮やかだ。ここから飲み始めたエリオ・アルターレElio Altareのドルチェット・ダルバDolcetto d'Alba 1999。「ロメッリーナLomellinaの食文化は、個人的にはロンバルディアというよりはピエモンテ州のものと思っている。こういった料理には、パヴェーゼ(パヴィアの)のものより、ドルチェットを始めとするお向かいの州の方が良いですね。」続いて前述のサラミを使ったサルシッチャSalsicciaのキャベツ焼き。ガチョウを焼いた特有の少し癖のある香りと、キャベツの葉の香ばしさが絶妙。今回ご同行をお願いしたミラノ在住のワイン商M氏とともに、すでにワインを飲むペースはぐいぐい上がっている。こんなもの出されちゃったら無理も無いのだ。

プリモ・ピアットにはローストしたガチョウのラヴィオリRavioli d'oca。それこそ一個ずつ食べてはドルチェットを口に。ちまちましているがそうしたくなる。ここまで来て気付くが、このガチョウは驚くほど癖が無く、かといって変に香辛料ずくめでもない。そしてこのサルシッチャのように「焼く」ことで新たに生まれる香りにヤラレルのだ。で、ドルチェットをまたぐいっと。もうひとつのプリモは、ガチョウのサラミと"目玉つき"インゲン豆のリゾットRisotto con la pasta di salame d'oca e faggioli dall'occhio。赤ワイン ボナルダで作っている。また写真で黒く見えるところがその目玉で、鍋を回し忘れて焦げちゃったわけでは無い。大豆の端が黒くなった感じだが、生をかじるとやはりインゲン系(ひどい日本語だが)である。正式な日本語名をご存知の方は、教えていただだけないかと思う。

メインの胸肉のローストPetto d'oca tostato con patate al forno cotte nel grasso d'oca。文字通り、とても自然の味わいがする。シャキシャキとした歯ざわり。ほのかにこの土壌の香りがすると申し上げたら伝わるだろうか。ポテトは、ガチョウ脂とともに調理されている。そして更に、もうひとつのメインは(今回は大食漢のM氏のおかげでたくさんのものを食べられる!)ガチョウとキャベツの煮込みポレンタRagò d'0ca con polenta。これは是非、以前取り上げたミラノの郷土料理
http://www.japanitalytravel.com/back/wine.htmlをご覧になっていただきたい。"カスゥェーラ"・メネギーナ"Cassoeula meneghinaのガチョウバージョンだ。ポレンタに何かが起きている。M氏に先を越される。「サラセン粉=そば粉farina di Saracenoが入ってるね。」どこか別の機会にもお目にかかったことがあるが、そのときも確かあれは鴨だったか煮込みに添えてあったポレンタに使用されていた。付け合せとしての妙を感じる。

ガチョウに心地よく疲れたところで、ようやくデザート。ピエモンテ州の定番ボネBônetと呼ばれるチョコレートを使った懐かしい焼き菓子。これを食べるとピエモンテ州からスタートしたイタリア人生の当初が、パブロフの犬のように思い出される。もう一品はストゥルーデルStrüdel。これは郷土料理紀行としてはルール違反だが、シェフのご両親はもともとヴェネトVeneto州の出身。通常と違うのは皮となる生地が非常に薄いことだが、「いや、本来こうあるべきだと思う。本来分厚いものじゃないはずだ。」とシェフ。それとバランスをあわせるかのように甘さは控えめだ。デザートともにオルトレポー・パヴェーゼOltrepò Paveseのモスカート・ドルチェMoscato Dolceを。至福でM氏と目を合わせてにんまりしてしまうのであった。

お客さんもひけた後、我々とシェフ3人で料理、ワイン、そして人生について軽い会話を楽しむ。実はイタリアのシェフにはこの手の一風変わった経歴の人たちは少なくない。第三者からはなかなかおもしろいな、という程度の話かもしれない。彼は言う。「要は自分がどれだけ掘り下げるか。自分との戦いだと思うんだけど。どんな職業や趣味でも一緒だと思わないか?」顔は少し笑っていたが、その目は遠くに、しっかりと何か見ていた。

  photo1
フォワグラmade in italy

  photo2
鮮やかなOcaのハム、サラミ

  photo3
香ばしさがたまらない

  photo4
今回の目玉ワイン2種
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ただのラヴィオリでは無い

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米+ボナルダ+Oca、そして...

  photo7
ミラノを離れると煮込みも違う

 
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モルターラ市位置



店名 トラットリア・グアッリーナ    Trattoria Guallina 
住所:Via Molino Faenza,19 Frazione Guallina 27036 Mortara(PV)
電話番号:(国番号39)0384-91962
定休日:火曜
アクセス:ミラノから国道494を南西方面に約40キロ。ヴィジェーバノを出てすぐにレモンドRemondò方面へ左折し直進。



著者プロフィール

R.Tokimatsu
元ミラノ在住ビジネスアドバイザー


 




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