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トリノ・ピエモンテ美食案内
15 febbraio 2006

第3回 まだ誰も知らない、ビエッラの美味

井川  直子




ピエモンテの北にあるビエッラBiellaは、よほどのイタリア通でも知る人のほとんどいない街だけれど、トリノやミラノの空港からも1時間程度と案外近い。
本書『麗しの郷ピエモンテ〜北イタリア 未知なる王国へ〜』では世界遺産の地オローパと、カネストレッリという伝統菓子、メナブレアというビールを紹介している。しかし取材の最後、「ビエッラの美味しいバターを食べないなんて!」という言葉につられ、昨年再び訪れてみれば、なるほどビエッラの美味はしみじみと奥深い。
バターひとつとっても作る人によって使う牛乳が違い、味が違うというように、とにかくすべてが個性的なのだ。なぜなら作る人が皆、誰の真似でもない揺るぎない自分をもっているから。
今回は、そんなビエッラで出逢った美味をご紹介。

■Albertana アルベルターナ(チーズ)
「ヤギに愛された男」の異名をもつ、マウロ・アルベルティーニ氏のチーズはヤギ乳100%。フランスからきたサーネン種のヤギを標高800mの山の上で、春夏は新鮮な草を、秋冬は干し草を与えて放牧。ちなみに羊の姿も見かけたが、それは"ペット"なのだとか。
なぜヤギ?との質問に「ヤギはアナーキーだから」と答えるマウロ氏は、もともと繊維会社の社長さん。会社は順調だったのに、ヤギのチーズをつくりたいがために会社をたたんでしまったというちょっと変わり種だけれど、人生をかけた彼のチーズはヤギの濃厚な乳の香りと酸味が素晴らしい。
「Cascina Albertana」 Regione Castignolio, 1 13896 Netro(BI) 
Tel +39-015-65330(工房見学は予約制) http://www.albertana.it/

■Cajanto カイヤント(赤ワイン)
カンティーナは、1837年頃に建てられたお城。世が世ならお姫様であろう跡取りの女性、マリア・キアラ・レーダさんが畑でトラクターを乗り回し、10年前から本格的にワインを造っている。「カイヤント」は、ネッビオーロ70%に、土着品種のヴェスポリーナ、クロアティーナ、ボナルダをブレンドした赤ワイン。年間生産量はわずか7000本と少ないながらも、最近の評価は上々。カンティーナは見学&昼食が可能。
「Maria Chiara Reda」 Via per Chiavazza, 30 13856 Vigliano Biellese(BI) 
Tel +39-348-2351455 Fax +39-015-8123092(見学&昼食は予約制)
http://www.castellodimontecavallo.it/

■Cella Grande Metodo Classico セッラ・グランデ メトド・クラシコ(スプマンテ)
この造り手も元・会社経営者。ワイン造りがやりたくてこの土地を買い、ごく限られた地域で生産されるエルバルーチェ・ディ・カルーゾというブドウ品種100%からなる白ワインやスプマンテ、タルディーバ(デザートワインの一種)を造っている。ここのスプマンテ メトド・クラシコは、シャンパンと同じ瓶内2次発酵で36〜42ヶ月間熟成。1152年に建てられたロマネスク様式の修道院の跡地であるため、スプマンテたちは神に見守られながら眠ることになる。ちなみにこのカンティーナ、夏頃には湖を一望できるプール付きのB&Bも完成予定。
「Cella Grande」 Via Cascine di Ponente, 21 13886 Viverone(BI) 
Tel +39-0161- 98245 Fax +39-0161-987272(見学は予約制) http://www.cellagrande.it/
■Roleto ロレート(アグリツーリズモ)
かつてエジプトやパキスタンにも住んでいたというオーナーは、もともとミラノの人でとてもお洒落。リンゴやブドウ、桃などの果樹園を営んでいるアグリツーリズモだけれど、ここに併設されたトラットリアは、土曜夜と日曜昼だけ宿泊客以外でも利用できる(グループの場合は土日以外も可)のでぜひ。昼夜とも27ユーロで、前菜5種、プリモ2種、セコンド2種と量もたっぷり。手づくりのジャムやパスタソース、モスタルダなども販売されていてどれも美味。予約すればお料理を教えてもらうこともできるそう。宿泊用の客室は2室あり、ダブルが60ユーロ。
Via Morzano Statale Cavaglia' - Viverone(BI)  
Tel・Fax +39-0161-967809(要予約) http://www.roleto.it/

■Le Betulle レ・ベトゥッレ(ゴルフリゾート)
ミラノからも客が訪れるという、常にイタリアのトップ3に選ばれている上質なゴルフリゾート施設。ホテルやリストランテも併設され、もちろんゴルフも存分に楽しめるけれど、ぜひ食事のためだけでも訪れたい。シェフのアルベルト・ガッティ氏は26歳で独立し、ビエッラで人気のリストランテ「イル・ファッジョ」を経て97年からシェフに就任。土地のチーズやバターを使っていながら不思議と軽い仕上がりで、見た目も美しい料理の数々にうれしくなる。
Regione Valcarozza, 2 13887 Magnano(BI) 
Tel +39-015-679151 Fax +39-015-679276 http://www.lebetulle.com/

■Il Patio イル・パティオ(リストランテ)
2003年に一つ星を獲り、今ノリにノッているリストランテ。「クレアティーヴァな料理が好き」というオーナーシェフのセルジョ・ヴィネイス氏は23歳ですでに独立。1990年にこのリストランテをオープンした。ビエッラの素材を活かして、シンプルでありながら洗練された料理に昇華させるのが得意。ビエッラで今一番注目のリストランテだ。
Via Oremo, 14 13814 Pollone (BI) 
Tel +39-015-61568 営業時間12:00〜、20:00〜 月・火曜休

このほか、「マルガリ」と呼ばれる人々の伝統的な牛飼いの生活や、彼らの作る美味しいバターについて、またチーズやワイン、ミラノのショップと双璧をなすほどの洗練された食材店といったビエッラ情報が、新雑誌「料理通信」の0(ゼロ)号(定期購読者への特典として配布)にも掲載されています。2月20日からアップする「料理通信」ホームページ(http://www.r-tsushin.com/)をご覧ください。


アクセス
〈クルマの場合〉
・トリノ〜ビエッラ
約1時間弱。高速道路A4号線をサンティア(Santhia')で降りる。
・ミラノ〜ビエッラ
約1時間半。高速道路A4号線をバロッコ(Balocco)、またはカリズィオ(Carisio)で降りる。
〈電車の場合〉
ミラノ、トリノどちらから来る場合でも、ミラノ−トリノ間にある国鉄ノヴァーラ駅、あるいはサンティア駅で降り、ビエッラ行きに乗り換え。
〈バスの場合〉
ミラノの地下鉄1号線・モリーノ・ドリーノ駅からビエッラへ、1日2往復の直通バスあり(土曜は1往復、日曜は運休)。

■ビエッラに関するお問い合わせは、ATLビエッラ地方観光局まで
http://www.atl.biella.it/jap/index_jap.html

著者プロフィール

井川 直子(いかわ なおこ)
フリーライター。食べること、飲むこと、それに携わる人々をテーマに主に料理誌や一般誌に寄稿。著書に、イタリアで修業中のコック を取材した 『イタリアに行ってコックになる 24 stories of Japanese in Italy.』 (柴田書店)。共著で、食部門(第3・4章)を担当した『麗しの郷ピエモンテ 北イタリア 未知なる王国へ』(昭文社)。

『麗しの郷ピエモンテ〜北イタリア 未知なる王国へ〜』
発行:昭文社  著者:山岸いすず、井川直子
発行日:2005年7月1日 ページ数:144ページ
価格:1890円(税込)
本書は、風土紹介、観光案内、カルチャーガイド、レストランやワイナリー訪問を中心テーマに、州都トリノとピエモンテ全エリアをカバーする、日本初 のピエモンテガイドです。
ピエモンテ州観光促進事務局の全面協力により、全編現地取材を敢行。イタリア事情に詳しいジャーナリストの山岸みすずさん、井川直子さん両著者によ る旅情豊かな文章と、イタリア在住カメラマンによる美しい写真で、知られざるピエモンテの魅力を日本の読者にあまねく紹介します。
     
 


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