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歴史のかおるカフェをたずねて
 
22 Maggio 2002


第9回 カフェ サン・マルコ


Caffè San Marco



牧野 宣彦


photo



「戦争中に偽パスポートを作成したカフェ」

ヴェネツィアより東のアドリア海に面した港町トリエステは、長い間オーストリアのハプスブルク帝国の唯一の港として発展してきた。帝国の皇帝フランツ・ヨーゼフの弟マクシミリアンは、トリエステが気に入り、断崖に立つ白亜の舘ミラマーレ城を建設している。この城にはエリザベート皇妃の肖像画、ハプスブルク家の家系図の絵画など興味深い展示が見られる。シシーも何度もこの城やトリエステの街を訪れ、ギリシャのコルフ島などへヨットで航海する時は、ここから出港している。街の中央には、イタリア有数の美しい広場と称されるウニタ・ディタリア広場 Piazza dell'Unità d'Italia があり、海に向かって開け、1751年に創られた4大大陸の泉 Fontana dei Quattro Continentali、ウィーンの建築家ハインリヒ・フェルステル Heinrich Ferstel が建てたロイド・トリエスティーノ館 Palazzo del Lloyd Triestino など、優雅な建物が見られる。

そして、トリエステには、1839年創業のカフェ スペッキSpecchi、スタンダールがトルコの商人にパンチを振る舞ったといわれる1830年創業のカフェ トンマーゼオTommaseo など、古く由緒あるグラン・カフェが多い。今回のサン・マルコもその一つ。イタリアの代表的なコーヒーメーカー、イッリーILLYの本社もトリエステだ。

店名のサン・マルコは1914年に創業した店の主人、マルコ・ロブリノビッチの守護聖人に因んでいる。店が開店した年にサラエヴォ事件が勃発し、オーストリアはセルヴィアに参戦し、第一次大戦が始るが、サン・マルコのオーナーは、オーストリア兵士でイタリア軍隊に入る事を希望する人達に偽のパスポートを発行してそれを助けた。これが警察に知られ、店は1915年に取り壊される。その後、第一次大戦が終了した1918年にカフェは再開する。サン・マルコは創業以来、文学者の溜まり場になり、アイルランド作家のジョイスJoice、ズヴェーヴォSvevo、リルケRilke、サバSaba、ヴォゲラVogheraなどが訪れている。リルケはトリエステ近郊のタクシス・ホーエンロー侯爵夫人の別邸に住み、傑作「ドゥイーノの哀歌」を書き、またサバはこの街出身の抒情詩人で、「トリエステ」という詩を残している。また、1961年にはクラウディア・カルディナーレ主演の映画『Sanilita』がこのカフェで撮影された。

飲み物にはベッリーニ、ロッシーニ、プッチーニなどの名前の付いたカクテルがあり、私も数種類味わってみたが、フレッシュなオレンジ、苺、桃などの酸味と甘みがアルコールとバランスがよく、とても爽やかな飲み物で、ストローですすりながら、静かな至福の時を過ごした。天井から垂下っている白色灯のシャンデリアが、アールヌーヴォ調のインテリアと調和し、安らいだ雰囲気を作っている。伝統の重みがしみじみ感じられるこのカフェに座っていると、古きよき時代にタイムスリップしているような気になる。

(ちなみに、1905年から1915年まで約10年間トリエステに住んだジョイスは、ベルリッツの英語教師をしながら、この地で「ダブリンの肖像」、「若き日の芸術家の肖像」などを書いた。10年間で9回も住所を変えたというほど経済的に苦しい状態であった彼は、この町に今も残るカフェ ピローナPirona によく通ったらしい(住所 Largo Barriera Vecchi 12)。私もジョイスの好物であったプレスニッツという干し葡萄と胡桃が入った香ばしい焼き菓子を味わってみたが、とっても素朴な味で忘れられない。トリエステに寄られたらどちらも訪れてみられてはどうかと思う。)





店名:Caffè San Marco(カフェ サン・マルコ)

住所:Via Battisti 18 34125 Trieste
電話:(国番号39)040-363538
定休日:月曜日
営業時間:8:00−24:00




著者プロフィール

牧野宣彦(まきののぶひこ)
早大卒。1974年、旅行会社にて日本初のニューイヤー、スカラ座オペラツァーを企画。その後コンピュータ会社を経て、1998年よりイタリアに住み、現在ボローニャ在住。フリーのトラベルライターとして、イタリアの旅行、音楽、グルメ関係の執筆、写真撮影を行う。

<著書>
「イタリアのべストラン」(透土社):トスカーナとイタリアのベストレストラン、ワイナリーなどを紹介。イタリア料理の人気の秘密をフランス料理と比較して解説。 「イタリア歴史的ホテル・レストラン・カフェ」(三修社):イタリア各地の歴史的な面白い場所を203箇所紹介。イタリアで一番面白いガイドブック。 「イタリアオペラツァー」(あんず堂):イタリア30都市でのオペラ体験紀行。音楽史跡、劇場、博物館、オペラを聞くために便利なホテル、レストランなど面白い情報を紹介。


 





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