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イタリア料理研修日記

6 Maggio 2002




第2回 基本はクチーナ ポーヴェラ





増渕 友子

最初の研修地ロズミーニ校





ict(イーチーティー)8期生の22名のコック集団(内女性4名)がいよいよイタリアに到着しました。長年経験を積んだ人や、有名店で働いていた人もいたので、最初は引け目を感じましたが、すぐに皆と仲良くなりました。それぞれに個性が強く、自分の夢を抱えて日本を飛び出した人たちです。私は同期の皆のことを、友達というよりも、同じ体験を共有した仲間だと思っています。

イタリアでの最初の滞在は、ピエモンテ州にあるドモドッソラ Domodossola という小さな町から始まりました。スイスの国境に近く、雪を被った白いアルプスの山がいつもきれいに見えました。この町にあるロズミーニ校というホテル学校で、約1ヶ月ほどの研修が行われました。内容は料理概論、理論、実習など。講師はこの学校の先生方で、ict 代表の長本さんの通訳で授業が行われました。実践の前の"イタリア料理とはどういうものか"を頭に入れるための授業だったのですが、その中で何度も耳にしたキーワードがあります。Cucina povera クチーナ ポーヴェラ(直訳すると貧しい料理)という言葉です。この国で昔から食べられてきた料理、それは、手に入るものや残りものをうまく使った、お金のかからない料理。そして乾燥、塩漬け、瓶詰めなどの保存のための料理。このときの話は、1年4ヶ月以上経った今、とても実感しているのですが、とにかくそれまで私が抱いていたイタリア料理のイメージとは違ったものだったので、大変興味深く、有意義な授業でした。



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生々しい豚の屠殺現場
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ここから有名なシチリア産の塩が

実習の授業は、自分たちが作るのではなく、先生が作るのを見学、試食し、班交代で先生のアシストをするかたちで行われました。自分の班が担当に回ってくると、皆でミーティングをしてレシピを読み合ったり、先生とコミュニケーションがとれるように、よく使うイタリア語を教え合ったりしたものです。学校帰りには、バールでアペリティーヴォ(食前酒)を飲んだり、肉屋、チーズ屋、パン屋などを見て歩いたり…。ずっと来たかった、初めて来たイタリアで、目に入るものはすべて新鮮。常にカメラを持ち歩いて写真を撮りまくっていました。 そして、待望の研修旅行。2週間ほどでイタリアをぐるっとまわるのです。各地のホテル学校で地方料理の実習を受けたり、食材の見学をしたりしましたが、特に後者は私にとって非常に貴重な経験でした。カンティーナ(ワイナリー)を見学して、シエナ Siena でキアーナ牛を見て食べて、ラツィオ州リエティ Rieti では豚の屠殺、解体を見て、シチリアのトラーパニ Trapani で塩田を見て、などなど、とにかく充実度"大"だったのです。日本ではたいていの食材がすでに加工、掃除済み、パック詰めにされている状態なので、それらのもとの姿をすぐに想像するようなことはなかったのですが、この旅行を境にそれができるようになったと思います。ワインといえば、あの丘の葡萄畑の景色、豚肉の切り身を見たら、ただの肉ではなく動物としての豚と思うでしょうし、それはコックを職業とする人間にとってプラスなことだと言えるでしょう。 旅行が終わり、ドモドッソラの生活も終わりに近づいたある日、突然、私たちの配属されるリストランテが発表されたのです。私の研修先は、マルケ州モンテコーザロ Montecosaro というところにある、Ristorante DUE CIGNI リストランテ ドゥエ チーニという店になりました。マルケってどんなところなんだろう!? と、マルケのガイドブックを買いました。イタリア中部、アドリア海に面している。ということは、魚料理が豊富で、しかし山もあるので山の料理もあって、おまけに良いワインも作られている。何だかとってもいい感じです。しかも、私がその店に入る初めての日本人であるとのこと! 2000年11月29日、22人のコック達はそれぞれの目的地に向けて出発し、それぞれが1人になりました。一体どんなことが私たちを待っているのでしょうか!?

 




プロフィール

増渕友子:神奈川県立外語短期大学卒。アパレルメーカー退職後、コックを目指して厨房での仕事を始める。服部栄養専門学校夜間部調理師科卒業後、ictのイタリア料理長期研修に参加。現在イタリア、マルケ州モンテコーザロに滞在中



●● ict の料理長期研修のお知らせ ●●
日伊の様々な食文化交流を企画する ict(イーチーティー)とICTイタリア事務所が行なっているプロ向けイタリア料理研修。 毎年長期(1年間)にわたり、本格的な研修を企画しています。 始めにピエモンテ州の料理学校で学んだ後、各州を回りながらイタリア食文化の地方性を深め、最後は有名レストランでの本格的な修行です。 詳しくは、JITRAトップページ右端、CLUB APICIO のロゴから ict のサイトへリンクしてみてください。



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