JAPAN-ITALY Travel On-Line

イタリア料理研修日記

15 Aprile 2003


第4回  太陽の味、空気の色
〜シチリア、ラグーサ〜(2)






柳 令子


地元ワインの数々



シチリアの味は?とアンジェロに聞いてみた。すると、オレンジ、イチ ジク、オレガノ・・。その他、サボテンの実、クスクス、ペペロンチーノ なども考えられる。私はこれらを"太陽の味"といいたい。夏場のあの刺 さる(こげる?)ような太陽なくして、シチリアの味は出せない!と思う から。オリーブオイルのあの強い味、パンやパスタのための小麦、ジェラ ートだって食べたくなる。1番わかりやすいのはドライトマトやエストラ ット(トマトペースト。トマトを煮て、天日で乾かして作る)。今でも夏 の暑い日には、ベランダや道路(!!)でトマトや皿に入れたトマトソー スを見かける。味は全然違う!このエストラット、もちろんアンジェロの お母さんも作り、レストランに持って来てくれる。売ってるのも十分おい しいが、やはりマンマの味、手作りは数倍おいしい。味は強くややしょっ ぱいがついなめつづけてしまう。オレガノは乾燥させたほうが味が強くな るので、これも"太陽"の味がよく分かる。バジルとはまた違う風味で、 トマト、オリーブオイルとよくあう。ここのブルスケッタは、パンにオリ −ブオイルとオレガノ、(ペペロンチーノも好みで)というのが多いが、 このシンプルな組合せは止まらない・・。

この暑い太陽に負けそうなときの食事(?)といえば、ブリオッシュに ジェラート又はグラニータ!はさんで食べるのだが、始め聞いたときは、 え?!と思うのだが、慣れるとまたこれが病みつきに。グラニータもいろ んな味がある。レモン、ピスタキオ、チョコレート、桑の実、コーヒー・ 。何といっても私はアーモンドが南っぽくて好き。杏仁豆腐のかき氷、 というと分かりやすいかも。レモンもお決まりだがおいしい。日本のレモ ンティーの感覚で、ここではアイスティーにレモンのグラニータを浮かべ て飲んでいる。牛乳にチョコのグラニータを入れる人もいれば、桑の実の に生クリームをたっぷり乗せ食べたり。バールでは60過ぎのおじさんで さえ、こんなものを朝からほおばっていて、思わず笑ってしまう。イタリ ア人に言わせると、朝から大豆のスープ(味噌汁)に焼いた魚を食べるほ うが重くて気持ち悪い・・というが、習慣の違いというのはとても面白い

photo2
天火で乾燥中の「エストラット」
photo3
ラグーサの風景

余談だが、この焦げる、と感じる太陽や熱い空気は、アフリカからのも の。ラグーサの町から車で15分ほどで、マリーナディラグーサと呼ばれ る海に着く。とてもきれいで、とても広く感じる。というのはさえぎるも のが何もなく、空と一体化して見えるからか。"ここから100キロ先は アフリカだよ"といわれた時には、納得したと同時に、またスゴイ所に来 てしまったんだ・・と改めて思った。

 車で買い出しに行くときはよく連れてってもらうのだが、外を見てる私 にチッチョが言う。"レイコ、この景色をよく見て。シチリアの典型的な ものだから。牧草地、その間のオリーブ、カルーバ木、そしてこの乾いた 色合い"と。シチリアの牧草地は石を積み上げて囲ってあるアラブ方式。 (牛や馬が草を全部食べてしまわないため)。カルーバというのは日本語 で言うと、"イナゴマメの木"なのだが、私はここで初めてみた。実がな った状態は、空豆のさやごと濃い茶色のが、大きな木から大量にぶら下が ってる、とでも言うのか。馬のえさにされるのが主だが、シロップや粉、 リキュールも作られていて、それのパスタやビスコットなども売られてい る。(うちの店でもただいまシロップを煮ているところ。甘いけれど、渋 いようなえぐいような味で、匂いもまた独特。キッチンにこの匂いが充満 しているときは、なぜが"牛小屋"を想像してしまった。)そして、春先 は緑だけれど、大体は乾燥してしまっているわら色の牧地。プーリアの緑 ばっかり、を見なれていたので、始めてこの景色を見たときは、やっぱり シチリアは独特な場所なんだ、と思った。

 山肌ははげ、道路わきの雑草もほとんど乾き、サボテンは実に栄養をと られしわしわのもある。でもこの乾いた空気と、よく笑いよくしゃべるシ チリア人のもつ空気は、目には見えずとも、とてもきれいな色をしている 。  




プロフィール

柳令子 専門学校を卒業後、フランス料理の道へ。たまたま会社から派遣された2ヶ月のイタリア研修でイタリアにはまり、イタリア料理に転向。ict 10期研修に参加。現在、シチリア州ラグーサのリストランテ“DUOMO(ドゥオーモ)”に勤務中



●● ict の料理長期研修のお知らせ ●●
日伊の様々な食文化交流を企画する ict(イーチーティー)とICTイタリア事務所が行なっているプロ向けイタリア料理研修。 毎年長期(1年間)にわたり、本格的な研修を企画しています。 始めにピエモンテ州の料理学校で学んだ後、各州を回りながらイタリア食文化の地方性を深め、最後は有名レストランでの本格的な修行です。 詳しくは、JITRAトップページ右端、CLUB APICIO のロゴから ict のサイトへリンクしてみてください。



http://www.japanitalytravel.com
©  JAPANITALY.COM srl - MILANO 2000 All rights reserved.