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7 June 2001


第9回  〜 トスカーナ Toscana 〜

林 直美



photo
トスカーナの風景



ああ、トスカーナ。やっぱりトスカーナに来てしまった。
なんてったって、トスカーナは私のイタリア初恋の地....という熱い思いを胸に秘めている方は多いはずではあるけれど、なにをかくそう、私もそのひとり。その後様々な町を経験して多少相対的に眺められるようにはなったものの、やはり別格、という点でやはり初恋なのかもしれない。
とはいえ、私の胸をしめつけるのはフィレンツェではなく、たとえばシエナSiena、ヴォルテッラVolterra、モンテリッジョーニMonteriggioni、ガルゴンツァGargonza、などという場所であったりする。

フィレンツェにはなぜか、ノスタルジックでいかにもイギリスチックなちょっと弛緩したロマンチシズムただよう『眺めのいい部屋 A room with a view』(アイヴォリー 1985)ではなく、『家族日誌Cronaca familiare』(ズルリーニ 1962)のような、心の奥にぐさりとつきささる暗いイメージがつきまとう(この映画は好きだし、若いジャック・ペランは美しいけれど)....といっても、日本でこれを見た人は少ないかもしれない。あるいは私の、丘の上の町シエナに住んで、フィレンツェにときどき「下りて」行くという個人的な経験からかもしれないが、フィレンツェの空気は透明さに欠け、排気ガスが充満し、夏はすこぶる息苦しい。

トスカーナと映画――『熊座の淡き星影』(ヴィスコンティ 1965)のヴォルテッラVolterra、あるいは『ブーベの恋人』(コメンチーニ 1963)のヴォルテッラ、『ノスタルジア』(タルコフスキー)のバンニョ・ヴィニョーニBagno Vignoniやサン・ガルガーノSan Galganoを思い浮かべるという向きもあろうが、最近は『踊れトスカーナ Il ciclone』(ピエラッチョーニ 1996)なんていう映画をご存じの方のほうが多いのかもしれない。とまあいろいろあるけれど、最近トスカーナへの我が初恋の思いというか記憶にふれたのは、これもキャンティChiantiらしき地方が舞台のベルトルッチの『魅せられて Io ballo da sola』(1996)なのであった。

ベルトルッチはだんだん好きになった監督で、最近なら『シャンドライの恋 Beseiged』もさることながら、この『魅せられて』も、みずみずしくて、キャンティ地方の別荘内部の空間など、夏でもひんやりと、広々としたかんじが手でさわれるような感触。透明感があって、重くなりそうなテーマや、容易に退廃的になりそうな場面などをあくまでもさらっと流しているかんじが、とてもよかった。タヴィアーニの『フィオリーレFiorile』(1993)にあった、イメージの枠にはまったままの、オブラートに包まれたトスカーナではなく、たとえばひんやりした固い石の床を素足で歩くような感触が伝わってくるのがいい。見終わって、なんだか気持ちのすっきりする映画だった。

話はもとに戻るが、私はエトルリアのアーチを今も残すヴォルテッラという町が忘れられない。ふと気づくと、この町を舞台にした先述の『熊座の淡き星影』でも『ブーベの恋人』でも、主役はクラウディア・カルディナーレClaudia Cardinaleである。偶然だろうか。ゆるやかな丘の連なるトスカーナの風景の中に、チュニジア生まれのこの野性的な美しさの持ち主が鋭い目をして立っているだけで、神々しささえただよわせ、画面をひきしめるような気がする。ヴォルテッラは高い丘のてっぺんにあるが、緑豊かなキャンティあたりの丘ではなく、草木の生えない丘なので、そんな野性味がひきたつのかもしれない。

ヴォルテッラは、車がないと交通の便が悪いせいもあってか、日本でまだあまり知られていない、トスカーナの最も美しい町のひとつである。繊細なアラバスターの細工の店がたくさんある。トスカーナの思い出と一緒に、こわさないように、だいじに持って帰ろう。


【おわび】
6/13以前に本記事をごらんになった皆様へ 本文中、『ブーベの恋人』(デ・シーカ1963)とありましたが、監督名はもちろんコメンチーニでした。失礼いたしました。



著者プロフィール

林 直美(はやし なおみ)
大阪市出身。東京大学南欧文学科博士課程修了。フレーベル館から児童書の翻訳(伊・英・仏語)多数。ピエモンテ州ゲンメGhemme在住。


 





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