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9 Nobvember 2000


第二回 イタリアの恩人ビッジョ

石井 高


 

photo

居酒屋ビッジョの仲間達と  
1975年、誕生日に友人達がヴァイオリンのケーキで祝ってくれた。左端がビッジョ。

 

全くつまらないことで彼と喧嘩をした。次の日会って顔をあわせれば「昨日はごめんよ」ですむことだった。そして、まあ一杯ということになっていた。その翌朝ビッジョが心不全で急死した。神の無慈悲を恨んだ。

ビッジョとはルイジ・スポッティの愛称で、自転車競技で元イタリアのチャンピオンであり、のちに居酒屋の主人になった。出会いは30年前にさかのぼる。当時、固くなって売り物にならないパンを塩水につけて食べていたころ、イタリアでの最初の大晦日をむかえた。とにかく年越しのワインを飲まなくてはならない。ベッドの下,箪笥の裏を探し、やっと見つけた50リラをにぎりしめて町に出た。

湿っぽい雪がゲルピンの身にこたえた。サンミケレ教会近くの居酒屋は大勢の人達で大騒ぎだった。50リラ分のワインをたのんだ。本当は一杯80リラである。居酒屋の主人はぼくが払っただけのワインをくれた。飲みほしてホーッと息をついて、さてこれからどうしようかなと思ったとき、マルヴァジアの白のボトルをあけて、空になったぼくのコップになみなみと注ぎ、「ボナンノ」新年おめでとうとウインクをしながら言ってくれたのが,居酒屋の主人ビッジョであった。こうして彼とその一家との家族同様のつきあいが始まった。

ある時、この居酒屋でオリンピックの五輪はどんな色かということになった。特に気をつけているわけではないので、皆は赤だとか青だとか勝手なことを言っている。全て自分か屋が正しいと思っているからオリンピックの輪はどうしても10輪以上になる。「ところでタカシはどうだ。」 黙って聴いていたぼくは,何のためらいもなく、五輪は世界の5種類の人種の皮膚の色を表し,白,赤、黒、黄、緑、であると言った。なにしろ小学校の先生が教えてくれたことを、その通りだと思っていたので自信たっぷりだった。しかし、そこにいた居酒屋の連中がぼくに総攻撃をかけ大変なことになった。

ここで登場するのがビッジョで、「タカシが正しい」、俺は緑色の人間を見たことがある。今度は彼が攻撃の的になった。彼が見たのは皮膚が緑、髪の毛が黒、目が黄色という歌舞伎の定式幕みたいな緑色人種がでっちあげられた。実際は五大陸の色だったのである。ビッジョの前でタカシの悪口はタブーであった。

17才の時にぼくの父は死んだ。ビッジョは第二の父だ。一生に一冊の本も読まなかったしストラデヴァリが誰であるかも知らなかった。しかし、クレモナ市長,大工、左官、警官、パン屋、元泥棒などありとあらゆる人を友達にさせてくれたのは彼である。ぼくをクレモナに釘付けにして、ヴァイオリンを作り続ける決心をさせたのも彼である。

クレモナの墓地を訪ねるたびに、「昨日はごめんよ」と言う。しかしビッジョの「ごめんよ」はもう聞こえない。マルヴァジアのワインで「チャオ、ビッジョ」と毎日冥福を祈っている。




 

著者プロフィール

石井 高 (いしい たかし)
1943年兵庫県に生まれる。クレモナの国立国際バイオリン製作学校卒業後1975年に「マエストロ・リウタイオ=楽器製作マイスター」となる。楽器製作や名器の修理鑑定の他、古楽器復元にも取り組む。著書「ヴァイオリン作り Il Liutaio」イタリア コンヴェーニョ社他。日本でも公演、演奏活動を行う。イタリア・バイオリン芸術協会会員。クレモナ在住。



 
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