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読み物・エッセイ  イタリア 音楽の旅
 
15 settembre 2005

第28回 リストが演奏した湖畔の劇場 コモ

コモ - ロンバルディア州
Como − Lombardia

牧野 宣彦



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コモの起源は紀元前5〜6世紀ごろ、ケルト族の要塞が置かれた事で誕生した。その後紀元前196年ローマの将軍マルクス・クラディウス・マルケルスMarcus Claudis Marcellusがケルトを破り、「城Castrum」、即ち「コムン・オッピドゥム・コモ市」という4角形の陣営を創設したのが、コモの現在の街のはじまりといわれている。 12世紀のコムーネの時代、コモは街を囲む様に城壁が張り巡らされていた。この頃コモではロマネスク建築が隆盛を迎え、現存する美しいロマネスク建築のサン・フェデーレ教会、政庁舎、サン・タッポンディオ教会、サン・カルポフォロ教会などが建てられた。

その後コモは1118年から1127年にかけてミラノとの戦争になり、それに敗北し、街は破壊された。その後バルバロッサの援助で街は城壁などが再建され、1335年からミラノのヴィスコンティ家の支配が始まり、ガリバルディによってイタリアが統一される1860年代まで、コモの歴史はミラノの歴史と共通していたといえる。
この街は美しい湖だけでなく、多くの新古典主義の建物などが残っていて、スタンダールはこの街に強い愛着を持っていた。コモはまた、繊維、アパレル産業が集積した街であり、街の半数以上の人がこれらの産業に従事している。コモはイタリア19世紀最大の小説マンゾーニManzoniの「いいなづけPromessi Sposi」の舞台となった場所で、マンゾーニが小説に書いたレッコLeccoの街にも近い。美しい湖は多くの芸術家にインスピレーションを与えた。

●テアトロ・ソチャーレ Teatro Sociale
イタリアには日本では余り知られていないが、小さいながらオペラが盛んに行われている街があり、素晴らしい劇場もある。ぺスカーラPescara近郊のキエッティChiettiもその一つだが、今回紹介するコモ湖畔のコモにあるテアトロ・ソチャーレもその一つだ。
テアトロ・ソチャーレが誕生したのは、ヴェルディとワーグナーが生れた1813年で、コモではそれに先立つ1807年にジャンピエロ・ポッロ伯爵Gianpiero PorroによってCastello Torre Rotondaの跡地に新しい劇場の建設の話が始まった。その後アレッサンドロ・ヴォルタAlessandro Voltaによって1809年に劇場建設の調印がなされた。建設は1811年に建築家のジュゼッペ・クージGiuseppe Cusiにより、ミラノのTeatro Carcanoを建設したカノニカCanonicaの協力を得て始まり、1813年に完成。同年8月28日にAntonio Fonseca Portugalの"Adriano in Siria"とGiuseppe Moscaの"I Pretendenti Delusi"によって開場した。その後改築が繰り返され、1864年にはガス、1899年には電気が設置された。

また、この劇場には多くの偉大な音楽家が訪れている。1823年には名バイオリニストで一世を風靡したニコロ・パガニーニNicolo Paganiniが演奏に訪れているし、1837年には大作曲家のフランツ・リストFranz Lisztが自作の作品を演奏した。また、作曲家のピエトロ・マスカー二Pietro Mascagniは、1905年トゥリオ・セラフィンの指揮で「イリスIris」が上演された時に訪れ、1932年には自作のオペラ「イザボーIsabeau」を指揮する為に訪れた。オぺレッタ銀の時代の作曲家で名曲「メリーウィドゥー La Vedova Allegra」を作曲したフランツ・レハール Franz Leharは1911年に自作「ジプシーの恋 Amor di Zingaro」のイタリア初演にこの劇場を訪れている。
また、19世紀には名歌手ジュディッタ・パスタGiuditta Pasta、マリブランMalibran、ヴェルディのオテッロの初演にオテッロを演じたタマーニョTamagnoなどの大歌手が来訪、20世紀にもバスティアニーニBastianini、ディ・ステーファノD. Stefano、カルロ・ベルゴンツィCarlo Bergonzi、シミオナートSimionato、デル・モナコDel Monaco、カバイヴァンスカKabaivanska、マリエッラ・デヴィアMariella Deviaなどの名歌手が出演している。また、大指揮者アルトゥーロ・トスカニーニ Artoro Tocanini、リッカルド・ムーティ Riccardo Mutiなどもこの劇場で指揮している。


☆2005年から2006年のプログラムが発表されたので紹介します。
2005年10/8,9 ベッリーニ作曲「カプレーティ家とモンテッキ家 I Capuleti e I Montecchi」
10/15 コンサート ラベル、ブラームス、ハイドンの作品
10/20,22,23 ヴェルディ作曲「リゴレット Rigoletto」
11/12,15 ヴェルディ作曲「ナブッコ Nabucco」
11/19,20 Err De Luca作「Chisciotte e gli invincibili」
12/2,4 モンテヴェルディ作曲「ポッペアの戴冠 L'incronazione di Poppea」
12/10 メンデルスゾーン作曲「真夏の夜の夢 Sogno di notte di mezza Estate」コンサート
12/17,19 モーツァルト作曲「フィガロの結婚 Le Nozze di Figaro」
12/29 ベートーベン作曲「第9交響曲、合唱付き」コンサート
2006年1/6,8 プッチーニ作曲「妖精ヴィッリ Le Villi」
3/11,12 モーツァルト作曲「ドン・ジョヴァンニ Don Giovanni」
4/1 R. シューマンコンサート
5/3 F. シューベルトコンサート

♪Teatro Sociale Como -As.Li.Co♪
Via Bellini 3, 22100 Como
Tel(本部):031 270171
Tel(チケット):031 270170 Fax:031 271472
E-mail:info@teatrosocialecomo.it
URL:http://www.teatrosocialecomo.it


●ルンゴラリオ Lungolario

コモの街は湖を囲むように街が開けている。ここは市民が散歩したり、コモの人たちの憩いの場になっている。1871年の古い埋立地にカヴール広場があり、コモ湖周遊の船の船着場などがある。

●ブロレット Broletto
1215年に建てられたロマネスクスタイルの政庁舎で、大理石で灰色、白、赤の横縞の表面仕上げになっている。ブロレットに隣接している市の塔は1215年に建造され、1927年に再築された。

●ドゥオーモ Duomo
1396年に建築が始まり、17世紀まで続いたコモの代表的建築(写真トップ)。フィリッポ・ユヴァーラFilippo Juvarraの設計によるクーポラがすえられ、1740年に完成した。中央扉口のニッチには大プリニウスと甥の博物学者小プリニウスの像がある。(大プリニウスは古代ローマの博物学者で、ヴェスビオ火山が爆発し、ポンペイが滅亡した時、その様子を観察していて、毒ガスに巻き込まれて死亡したといわれる。)内部にはガウディンツィオ・フェラーリGaudenzio Ferrariとベルナルディーノ・ルイーニBernardino Luiniの絵画がある。

●サン・フェデーレ聖堂 S. Fedele
12世紀後半に建設されたコモの初期の時代の建物。ヴィットリオ・エマヌエレ通りに沿う側壁には浮き彫りの施された扉口がある。内部は三廊式で、後陣が3ツある聖堂内陣がある。この広場に面して、15〜16世紀頃に建設されたといわれる一部煉瓦の特異な建物が2軒建っている。

(写真下左:サン・フェデーレ聖堂、右:ヴォルティアーノ神殿)


●市立博物館 Museo Civica
ジョヴィオ館内にある考古学博物館とオルジナーティ館にあるリソルジメント歴史博物館に分かれている。考古学博物館ではエトルリア、ギリシャ、フェニキアなどのアンフォラ、石碑など発見物、大体古代ローマ時代までの作品が展示されている。

●市立絵画館 Pinacoteca Civica
17世紀に建造されたパラッツォ・ヴォルピPalazzo Volpi館内にあり、14世紀のフレスコ画、浮き彫り、17世紀のロンバルディア地方の油彩画、コモの抽象派画家の作品が展示されている。

●ヴィットリア広場 Piazza Vittoria
ヴィンチェンツォ・ヴェーラVincenzo Velaが製作したガリバルディの像が広場を見下ろしている。Porta Torreは1192年に造られた。この塔はバルバロッサに再建された都市の城壁の一部に なっている。周辺からは古代ローマの遺跡が沢山発見されている。

●サンタッボンディオ聖堂 S. Abbondio
市の中心から少し離れた所にあるが見逃せない聖堂。建造されたのは11世紀で、ロンバルディア地方の代表的なロマネスク様式の建築といわれる。内部にはキリストの生涯を描いた絵がある。これは14世紀ごろロンバルディアの画家によって描かれた。祭壇の左には大理石で製作された聖アッボンディオの像がある。これはクリストフォロ・ソラーリCristoforo Solariの作品。

●ヴォルティアーノ神殿 Tempio Voltiano
港の西の湖に面した市民公園内にあり、コモの生んだ最も有名な人物で、電池の発明者である アレッサンドロ・ヴォルタAlessandro Volta(1745〜1827)の遺品、関係した物が展示されている。

●絹博物館 Museo della Seta
中心街から少し離れているVia Valleggio通りにあり、コモの産業である絹に関する資料などが展示されている。

コモデータ

お薦めホテル
★Terminus アールヌーヴォの美しい建物の4ツ星ホテル、湖の景色が見える。
Lungo Lario Trieste 14
Tel:031 329111 Fax:031 302550
E-mail:info@albergoterminus.it

★Barchetta Excelsior 湖に面した街の中央にあり、何処に行くにも便利、レストランもある。
Piazza Cavour 1
Tel:031 3221 Fax:031 302622
E-mail:info2@hotelbarchetta.com

★Le Due Corti 古さと新しさが融合した優雅なホテル、レストランラゼッキーも洗練されている。
Piazza Vittoria 12/13
Tel:031 328111 Fax:031 328800
E-mail:hotelduecorti@virgilio.it

★Como 美しい花の咲く庭園があり、部屋も設備が改装された、レストランもある。
Via Mentana 28
Tel:031 266173 Fax:031 266020
E-mail:hcomo@hcomo.it

★Tre Re 最近改装され、気持ちのよい3ツ星ホテル、ドゥオーモの近くにあり便利。
Via Boldoni 20
Tel:031 265374 Fax:031 241349
E-mail:trere@tin.it

★Firenze 部屋は明るく、快適。街の中心にあり便利な3ツ星ホテル。レストランはない。
Piazza Volta 16
Tel:031 300333 Fax:031 300101
E-mail:info@albergofirenze.it

お薦めレストラン
☆La Colombetta サルデー二アの海の幸が味わえる。高級なレストラン、場所は町の中心。
Via Diaz 40
Tel:031 262703
E-mail:colombetta@fremail.it

☆IL Solito Posto 肉と魚両方食べられるレストランで、サン・フェデーレ教会の近く
Via Lambertenghi 9
Tel:031 271352
E-mail:il.solito.posto@tin.it

☆Terrazzo Perlasca 湖の景観を楽しみながら食事が出来、淡水魚の料理が味わえる。
Piazza De Gasperi 8
Tel:031 303936
E-mail:terrazzoperlasca@virgilio.it

☆L'Angolo del Silenzio 典型的なロンバルディアの料理が味わえるクラッシックな店。
Viale Lecco 25
Tel:031 3372157 Fax:031 302495



NORMAノルマツアーへのお誘い

ベッリー二が作曲し、1831年スカラ座で初演されたオペラ「ノルマNorma」は、ベルカントオペラの最高傑作といわれている。 しかし、ノルマを歌える歌手はマリア・カラスのようにソプラノドラマティコで、アジリタのテクニックが必要である。マリア・カラス以後、 レナータ・スコットなどの歌手がこの難役に挑戦したが必ずしも成功したとはいえないが、現在、ギリシャ出身のディミトラ・テオッシュウは、 マリア・カラス以来最大のノルマを歌うソプラノといっても過言ではない。そして今回パレルモで、アダルジーザを現代最高のメゾソプラノ、 ダニエラ・バルチェローナが歌い、2人が共演する。これは来年上演されるあらゆるオぺラ公演の中でも最高の公演といえるだろう。
今回のツアーは期間が10日間と短いが、パレルモに4泊し、ノルマを3回見ます。ノルマの主役ディミトラ・テオドッシュウさんを囲んでの晩餐会も予定されています。そして、新装なったスカラ座、フェニーチェ劇場でもオペラを鑑賞できるので、 ツアーに参加された人はきっと満足されるでしょう。是非ノルマツアーに参加される事をお薦めします。

企画 トラベルライター 牧野宣彦


「ノルマ」ツアー
期間:2006年3月29日(水)〜4月7日(金) 10日間
旅行経費:390,000円(朝食以外の食事4回を含む)
訪問予定都市:ミラノ(2日)、ヴェネツィア(2日)、パレルモ(4日)
予定演目: 
 ★ドニゼッティ作「ランメルモールのルチーア」 ミラノ スカラ座
 ★マイアベーア作「エジプトの十字軍」 ヴェネツィア フェニーチェ座
 ★ベッリー二作「ノルマ」 3回  パレルモ テアトロ・マッシモ
(ディミトラ・テオドッシュウ、ダニエラ・バルチェローナ出演予定)
チケット代金:スカラ座はチケットの額面プラス5000円、他の劇場は額面プラス4000円です。



ディミトラ・テオドッシュウ

ダニエラ・バルチェローナ

テアトロ・マッシモ劇場

「ノルマ」舞台

☆問い合わせ☆
イタリアオペラ鑑賞会
Tel/Fax:043 246 1571(日本)
E-mail:joschuajp@ybb.ne.jp

アトリエトラベル
〒160-0004 東京都新宿区四谷2-11 大西ビル2F
Tel:03 5368 2660 Fax:03 5368 2661
E-mail:art@atelier-travel.com.jp


著者プロフィール

牧野宣彦(まきののぶひこ)


早大卒。1974年、旅行会社にて日本初のニューイヤー、スカラ座オペラツァーを企画。その後コンピュータ会社を経て、1998年よりイタリアに住み、現在ボローニャ在住。フリーのトラベルライターとして、イタリアの旅行、音楽、グルメ関係の執筆、写真撮影を行う。
著書
「イタリアのべストラン」(透土社):トスカーナとイタリアのベストレストラン、ワイナリーなどを紹介。イタリア料理の人気の秘密をフランス料理と比較して解説。「イタリア歴史的ホテル・レストラン・カフェ」(三修社):イタリア各地の歴史的な面白い場所を203箇所紹介。イタリアで一番面白いガイドブック。「イタリアオペラツァー」(あんず堂):イタリア30都市でのオペラ体験紀行。音楽史跡、劇場、博物館、オペラを聞くために便利なホテル、レストランなど面白い情報を紹介。
 





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