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私のローマとっておき散歩道
 
15 aprile 2005


第4回:かつてのユダヤ人街ゲットー・シナゴーガ地区
Ghetto/Sinagoga


写真・文:平松 玲




映画「ローマの休日」でアン王女が恐る恐る手を入れたのは、「真実の口」であったが、あのグロテスクな顔の彫刻は、河の神を象ったのだという。ローマ市内のラテラーノ地区に建つサンタ・マリア・イン・コスメディン教会Chiesa S. Maria in Cosmedinの外壁にあるのだが、その前には、いつも長い列ができている。映画のシーンで一躍有名になったローマ名所の一つである。

そこを起点にぜひ歩いて頂きたい散歩道といったら、その昔ユダヤ人ゲットーがあったシナゴーガSinagoga地区。ポルティコ・ドッタヴィア通りVia del Portico d'Ottaviaから左、アレヌラ通りVia Arenulaまでの一帯で、古代劇場のマルチェロ劇場Teatro Marcello跡が隣接している。ユダヤ公役団体の本部がある建物の周りは、銃を構える警官の姿もあり、何だかものものしいが、裏手のチンクエ・スコーレ広場Piazza Cinque Scoleからは、個性豊かな散歩道がいく通りも繋がる。

写真トップ:レジネッラ通りの突き当たりマッテイ広場には、珍しい亀の噴水がある。
左下:サンタ・マリア・イン・コスメディン教会の前の広場に腰を下ろす外国人観光客
右下:間口は狭いけど興味深い店が集まるレジネッラ通り


中でも興味深いのは、レジネッラ通りVia Reginella。20メートルほどの短い通りなのに、アートギャラリーあり、家具の修復の店あり。間口が小さいので近づいて始めて、「ああ、こんなところに額屋さんがあったんだ」と気がつく通りだ。20000枚以上のローマに因んだ写真を売るショップ、イル・ムゼオ・デル・ロウヴレ(ルーブル美術館)il museo del Louvreの隣に、リブロ・エ・フォト(本と写真)libro e fotoと看板を上げた本屋さんも。古本が所狭しに積み上げられ、どうみても趣味で集めたものを売っているだけとしか思えない。入り口には、パオロ・パゾリーニの大きな写真が掲げられ、その下には、鳥の羽の標本まである。あまりに不思議な店だから、中をのぞいて見た。奥に主人らしき人が居るので声をかけたら、「本屋だが、動物の標本の店でもある」との説明。鳥の羽の標本以外に動物の標本らしきものはないが、ご主人がそうおっしゃるのだから、間違いないのだろう。こんな店もシナゴーガだから、ちっとも不思議ではない。

というのは、ある日、ちょっとした探検がしたくなって、広場に建つ建物の中へ足を踏み入れてみた。暗がりのなか、階段を上って行くと、2階へ繋がるはずなのに曲がりくねって左へ行かされ、その先は、階下へと下っており、建物の中を延々と歩かされた。ようやく明るいところに出たと思ったら、なんと裏のアパートへ繋がる踊り場だった。外からは、まったく気がつかなかったが、隣接したアパートは、中で繋がっていたのだ。何だか秘密を見てしまったような気になり、ちょっと怖くなって慌てて引き返した。その昔、「犯罪者もゲットーへ逃げ込めば、逃げ仰うせた」という話しを聞いたことがあったが、建物の構造を目の当たりにして、話しはさらに真実みを帯びた。

写真左下:昼時になると丸い帽子、キッパを冠った男達がピッツァを買いにやってくる。
右下:ジィ・フェンツィアのピッツァとパニーノ。ボリュームたっぷりだ。


そんな、一面のあるシナゴーガ地区だが、食いしん坊には、見逃せない店がある。チンクエ・スコーレ広場には、ユダヤ風のボリュームたっぷりのパンをショーケースに並べるお菓子屋さんボッチョーネBoccioneや、その並びにクミンの香りが漂うピッツァの店、ジィ・フェンツィアZi Fenzia 。ジィ・フェンツィアでは、チーズをいっさい使わない野菜たっぷりのピッツァやエジプト豆のフライを挟んだパニーノを売っている。白くて平たいピタパンの中を開いて、はみださんばかりに具を詰めてくれるのが嬉しい。昼時になると、頭に丸形の小さな帽子、キッパをかぶった、サラリーマン風の人や、学生や神父様までがやって来て、思い思いにピッツァやパニーノをかじっていた。

 

■シナゴーガ地区までのアクセス

バスの場合は、170番がテルミニ駅Stazione Terminiを出発し、レプッブリカ広場Piazza della Repubblica、ナツィオナーレ通りVia Nazionale、ヴェネツィア広場Piazza Veneziaなどの主要な広場と通りを経由して「真実の口」Bocca della Verita'停留所へ行きます。
地下鉄の場合はB線でチルコマッシモCirco Massimo駅下車、その後徒歩で「真実の口」まで。
「真実の口」からは、グレカ通りVia di Grecaを通りその後、ピエルレオーニ・ ルンゴテヴェレ通りLungotevere dei Pierleoniを通って、シナゴーガの入り口、ポルティコ・ドッタヴィア通りVia del Portico d'Ottaviaへ出ます。


著者プロフィール  

平松 玲
1958年生まれ
27才の時、写真家のアシスタントに。料理写真家、小川勝彦氏に師事。その後、スタジオ テラを経て1991年に独立。1995年に渡伊。フィレンツェ、シチリア島に住み、食や島民の生活を撮り続ける。現在は、ローマ在住。数多くの雑誌でイタリア取材、撮影に携わる。
1999年 写真展シチリアの光 開催(スタジオ赤坂回廊記念)
主な書籍:
「ワイン上手で行こう」(写真担当、主婦と生活社)
「スローフード宣言」イタリア取材(写真担当、木楽舎)
「ローマでお昼ごはん」(写真と文、阪急コミュニケーションズ)

HPアドレスは、www.reihiramatsu.com
メールアドレスは、info@reihiramatsu.com


『ローマでお昼ごはん』              
阪急コミュニケーションズ発行
定価:1890円(税込)、ページ数:192ページ
発行日:2004年4月27日
ローマの郷土料理といえば、トリッパ(仔牛の胃袋)やアバッキオ(仔羊肉)、ユダヤ料理が発祥のカルチョーフォ・フリットにアマトリチャーナ。
ローマ料理に飽きたら、イタリア各地方の名物料理を出すトラットリアへ。
食べたいものを食べたいだけ。無理せず、おいしく、をモットーに。
食べすぎにはくれぐれもご注意を。

気軽な「居酒屋ごはん」からセレブ御用達のリストランテまで、
ローマ在住の食いしん坊カメラマン平松玲さんが薦める、厳選39店。

 





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