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イタリアへの留学、そして就職 ― 私の場合
 

15 ottobre 2004

第四回 イタリア名物(?)クエストゥーラ

くす ゆみこ







「イタリア留学」最初の3ヶ月をあまりにも何のトラブルもなく過ごしてきた私であったが、まさかその時、イタリア留学を経験したことのある者にとっては悪名高い「クエストゥーラ」との戦いの火蓋が気って落とされようとしていたとは、夢にも思わなかったのである。

もともと私がイタリアへ渡った時分は、一年の留学期間の予定であったが、語学学校には3ヶ月の申し込みをして、イタリア大使館より4ヶ月の就学ヴィザを受け取ってこちらにやって来た。というのも、当時の就学ヴィザは、現地のクエストゥーラで最長一年まで延長が出来るはずであったからだ。しかし、当然延長が可能なものと考えながらクエストゥーラに向かった私は、愕然とすることになる。

私「就学用滞在許可証の延長をしたいのですが?」
窓口担当者「それは出来ない。」
私「イタリア大使館では、このヴィザで、最長一年まで就学用滞在許可証の延長が出来ると聞いているんですけれども?」
窓口担当者「出来ないと言ったら、出来ない。」
私「じゃぁどうにかして、就学用滞在許可証を延長する方法はないでしょうか?」
窓口担当者「就学用滞在許可証を延長することは一切出来ない。一旦日本に帰って、再度イタリア大使館でヴィザを取り直してから、再度こちらに来なさい。」
私「・・・・・・・・・・・・・・・・・・では何とかしてイタリアでの滞在を延長できる方法はありませんか?」
窓口担当者「それではお前の滞在許可証の期限が切れる前に、一旦シェンゲン条約国外へ出なさい。その後イタリアに戻ってきたら、イタリアでの滞在を延長できる。」

今思えば、当時の私はまだまだひねくれていなくて、窓口担当者のいうことをそのまま信じてしまったわけだ。「滞在許可証の期限が切れても、3カ月おきにシェンゲン条約国外に出れば、イタリアでの滞在が延長できる」という今思えば全く信憑性のない噂を巷で耳にして、本気にしていたのも災いして、早速ハンガリー行きの計画を立てるのであった。旅行から慌しく帰ってきて、「今度こそ、イタリアでの滞在を延長できる!」とクエストゥーラに向かった私は、さらにもう一度愕然とすることになる。

私「一旦シェンゲン国外に出て、再度イタリアに戻ってきました。これでイタリアでの滞在は延長できるはずですが?」
窓口担当者「そうだ。これでお前は、観光用滞在許可証を手に入れることになる。今回のシェンゲン条約加盟国入国日から最高で3ヶ月まで、シェンゲン条約加盟国にとどまることが出来る。それ以降のシェンゲン加盟国滞在は認められないので、期限が切れる前には日本に帰国しなさい。」
私「観光用滞在許可証の期限が切れる前に、再度シェンゲン条約加盟国外に出て、再度イタリアに戻ってくれば、滞在許可証は更新延長されるのではないですか?」
窓口担当者「そんなはずがあるわけないじゃないか。観光用の滞在許可証は一切の更新や延長が出来ないのだ。この観光用滞在許可証の期限が来れば、お前はもう日本に帰るしかないのだ。」
私「・・・・・・・・・・・・・・・・・そんなこと、こないだは教えていただけなかったじゃないですか?」
窓口担当者「お前はその質問を私にしたか?」
私「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

それは後から知ったことであるけれども、シェンゲン条約に、「シェンゲン加盟国には、180日のうち、90日まで観光目的では滞在することが出来る。90日をシェンゲン加盟国内で滞在した後は、一旦90日以上シェンゲン国外に滞在した後出なければ、シェンゲン加盟国に戻ってくることは出来ない。」という一文があるということを知った(以上は私の出来るだけ正確なリサーチのもと、得た情報です。が、皆さんはご自身でシェンゲン条約、及びに各法律を調べてから、ご自身の責任のもと、行動を取ってください。万一、私が調べた情報で不利益・損害・障害・その他のトラブルに巻き込まれても、私はいかなる責任も負いません)。

そんなこんなで結局3ヶ月が期限の観光用滞在許可証を手にして、「もうこれで一旦日本に帰ってヴィザを取り直し、再度出直してくるしかないなぁ。」と思っていたあの頃、当時仲良くなり始めていたイタリア人の友人に、とりあえず今までの経緯を相談してみることにした。彼女は、ちょうど「Centro d'ascolto(所謂、市民無料相談窓口のようなところ)」で働く友人ルカをさらに紹介してくれて、早速その窓口へ相談へ行ったのだが、さらに驚くようなことを耳にすることになる。

ルカ「にしても、なんで就学用の滞在許可証を延長してもらえなかったんだい?」
私「でも、クエストゥーラの窓口担当者は、就学用滞在許可証の延長方法は一切無い、って言ってたから・・・」
ルカ「法律的には、延長しないといけないはずなんだけれどもねぇ・・・よし、じゃぁ今から僕と一緒に直接クエストゥーラに行って質問してみよう。」

と後から分かったことには、私が最初に就学用滞在許可証の延長を申請したとき、クエストゥーラはその申請を受理しなければいけなかったのだ。にも関わらず、最終的にクエストゥーラ側が認めた話によると、「1人でも管轄地区に外国人が増えると面倒だから、延長できないと言うことにした」らしい・・・(ちなみに、2004年今現在は、移民・難民に関する法律が大幅に改正されて、私立の語学学校に通うものの就学用滞在許可証の更新申請は基本的に出来ないことになっている)一応謝罪の言葉はあったものの、なんとも怒りで言葉にならなかったことを覚えている。「面倒だから」ただその一言で私はハンガリーに行く羽目になり(勿論旅費、その他を使いながら)、謝罪されても一旦切れた就学用滞在許可証を再度取得することは出来ないので、今手にしている観光用滞在許可証が切れたらやはり日本へ帰国(勿論その旅費もかかる)し、再度ヴィザをとってイタリアへやってこなければいけなくなったわけだ。

イタリアのクエストゥーラというのは、結局そういうところなのだったのか・・・、と自らの経験で痛感する出来事になった。今でこそ就労用滞在許可証を手に入れて、さほど頻繁にクエストゥーラに出向かうことも少なくなったけれども、それでもクエストゥーラに行かなければならない時は胃が痛むし、いつまで経っても慣れることのない場所、それがクエストゥーラだ。


<写真キャプション>
イタリアでの移民・難民を取り巻く状況は、年々厳しいものになっている。


プロフィール

くす ゆみこ
2000年より、トスカーナ州アレッツオに在住。語学留学を経て、2002年、現地イタリア企業に就職。現在は、会社員として働くかたわら、イタリア留学、就職希望者向けに自身の体験談他を語る、「イタリア留学・就職・生活応援サイト Abbicci」を運営している。 

 



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