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オルガニスト吉田愛のドロミテ暮らし
15 Luglio 2018

第6回 

自然を満喫する夏

  
文・写真/吉田愛 

●長い冬の後、谷全体が活気づきワクワクする季節
ドロミテの夏がやってきました! 標高の高いドロミテ一帯では、5月に入る頃に野桜が咲き、6月になれば様々な色の野花が野原一面に咲き乱れて、観光客のまだ少ない夏前のひと月、静かに色づいた山の風景を楽しむことができます。

トップ写真:@丸く束ねられた干草。ドロミテ山塊を望みながら。
写真下:AB様々な色の野花が一面に咲き乱れる6月の野原

谷のお花屋さんやスーパー、曜日を変えて村々の広場を移動する市場などでは、ゼラニウム、ペチュニアなど、夏のバルコニーに飾る花や家庭菜園に植える野菜の苗が売られるようになり、長い冬を越した谷全体が急に活気づき、ワクワクする季節が始まります。  

●ゼラニウムやペチュニアで家々を美しく飾る
こういう田舎なので、庭があれば家庭菜園、バルコニーには花を飾る、というのはいわば「当たり前」という雰囲気すらあり、夏のはじめの道端会議では、今年はどんな苗を植えたとか、どんな色のゼラニウムをどう組み合わせて飾ったか、という話が定番。私もゼラニウムやペチュニアを、その年の気分で色を着せ替えて植えています。ベランダで水やりをしている時に通りかかる近所の人に「今年はその色なんだね」なんて言われるのがちょっと嬉しかったりして。

写真下:CDゼラニウムやペチュニアで美しく飾られた家々   

ドロミテの夏の気候は日中は乾燥していて日差しがとても強いですが、夜はぐっと冷えて長袖の羽織も必要なこともあります。それがゼラニウムやペチュニアが育つには好条件のようで、くっきりとした色合いの花が夏山をバックに建つ谷の家々を更に美しく着飾ります。夜の21時頃まで明るい夏の夜、夕飯を済ませた後に夕涼みがてら村を散歩しながら、近所のバルコニーの花を眺めて歩くのも楽しいものです。   

●今年から「バルコニーの花コンクール」開催
私の住む村では今年から「バルコニーの花コンクール」が開催されることになりました。観光客の多い町を村全体で美しく飾ろうという意図があるのかと思いますが、参加方法は至って簡単。村役場から配られた申込書に名前と、花が飾られたバルコニーや窓がどの通りに面しているかを書き込むだけ。役場に委託されたカメラマンが花が一番美しい8月中頃にそれらを写真に収め、8月末にその写真展と同時に表彰式があるらしいです。これでは村人たちの花への情熱に更に拍車がかかること間違いなし!

写真下:EFバルコニーの花々

●野花を刈った干草から漂う緑の香り
また6月終わりから7月に入るとあちこちで、咲き終わった野花を刈って干草にし、丸く束ねて運搬する作業が見られ、谷の道にはトラクターが行き交います。この干草は次の冬の動物たちの保存食となります。近所で干草が刈られると風に乗って新鮮な緑の香りがほんのりと漂ってきていい気分。

写真下:GH丸く束ねられた干草 

谷のいくつかのホテルでは、砂風呂ならぬ干草風呂に入れるサロンなんかもあるんですよ。子供の時にテレビでハイジが干草の上で寝るシーンを見たを覚えていますが、そんな光景が身近なところに大人になってから住むことになんて、全く想像していませんでしたけれど!

●「家庭菜園」、中には「養蜂」を楽しむ人も
さて、地元の多くの人は自分が住んでいる家以外にも土地を持っているので、日中の仕事が終わるとイソイソとそこに足を運び、日が沈むまでそこで家庭菜園を営んだり、草を刈ったりして過ごします。私は畑はやっていませんが、友達やご近所から出来すぎたからといって野菜を分けてもらえることが多いです。また瓶詰めで保存されたものをクリスマスのプレゼントとして頂いたり。出所と作った人の顔が見える食べ物は安心ですしそれだけでも味が美味しくなった気がします。また、自分の畑で養蜂をする人もいて、私も蜂蜜は趣味で養蜂をしている村の友人から買っています。

写真下:IJ「家庭菜園」で育つ野菜

●山ではキノコ、ポルチーニ狩り
また、7月末、8月になれば松やモミで覆われたこの地方の山では、キノコ、しかもポルチーニ狩りが始まります。村ごとに山の管轄が決まっていて、住人は決められた範囲内で決められた量まで自由にキノコを取ることができますが、思わず取れすぎてしまって「見つからないように山道ではないところをこっそり下山してきたんだ」なんて小声で嬉しそうに籠いっぱいのキノコを見せられたこともあります。

私も何度か連れて行ってもらったことがあります。村人はキノコが出る場所というものを知っていますが、そこはなかなか教えてもらえません!どうやら自分だけの「ヒミツの場所」を開拓するまで根気よくキノコ狩りに足を運ぶしかないようです。ちなみに、村役場には夏になるとキノコ鑑定士がいて、捕ったキノコを持っていくと毒キノコを取り分けてくれます。

●観光客も集まり賑わうドロミテの山々
7月にもなれば9月の頭まで避暑に、山登りに、ドライブに多くの観光客が集まって賑わうドロミテの山々。それに合わせて谷の至るところで様々なイベントが提供され、色んな形で夏の山を楽しむことができますよ。私も毎年この季節、オルガンの講習会を企画したり、ドロミテの村々の教会でコンサートを演奏したり、忙しくも楽しい夏を過ごします。でも、バルコニーの花の水遣りを忘れないようにしなければ!

写真下:Kドロミテの山々の夏  



著者紹介
吉田 愛  Yoshida Ai
東京都出身。武蔵野音楽大学、ドイツ・リューベック音楽大学にて、パイプオルガン、チェンバロ、教会音楽を学ぶ。7年間のドイツ生活を経て帰国し、盛岡市民文化ホール専属オルガニストとしてオルガンの普及活動に勤めた。2006年、パイプオルガン制作に携わるイタリア人夫との結婚を機にトレンティーノ州ドロミテ山塊の麓フィエンメ渓谷に移り住み、北イタリアを拠点にヨーロッパ、日本で演奏活動を行う他、毎夏日本人のためのドロミテ・オルガンアカデミーを開催している。CD「バッハとイタリア」「4手の対話」(大阪、ワオンレコード)は各音楽誌で特選盤。南チロル州エーニャ市サン・ニコロ教会オルガニスト。
ブログ http://organvita.exblog.jp
ホームページ http://www.aialexorgano4mani.com





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