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15 Settembre 2018

第2回  〜 ぬるい赤ワイン 〜

吉田希世美




最近、ミラノでは素材にこだわった高級ピッツァをサービスするお店が増えています。ある日、お客様から「この近くに、とてもおいしいナポリのピッツェリアができたのよ」と言われたので、ピッツァ好きの私は、さっそく友達といっしょに行ってみることにしました。

モダンなお店の入り口近くには大きなピザ窯があり、近くに大学があるからか、けっこう若い人たちでにぎわっています。お持ち帰りをするお客さんも外でなん人か待っている様子。予約をしていた私たちは、すぐ席に着くことができたので、さっそくメニューを見てみると、ナポリ・ピッツァのお店だけあって、カンパーニァ州のワインがずらりと並んでいます。さらに、イタリアのクラフト・ビールが生で飲めるとあったので、1杯目はふたりとも生ビールを頼んでみることにしました。ビールでピッツァを食べ終わると、友人が、今度は赤ワインを飲みたいと言い出したので、グラスにして様子を見ようか、ということになりました。

2種類くらい味見をしてから飲むワインを決めたかったので、試飲させていただけますか? と聞いたのですが、ワインをグラスいっぱいに注がれてしまったので、まあ、仕方がないかと口に含むとその瞬間・・・「ぬるいっ!」。お店のヒトが来た方向を見ると、窯からそう遠く離れていないところに、3段くらいの立てつけ棚があり、そのあたりに冷蔵庫やビール・サーバーもある様子。初夏なので、その日は夜でもけっこう暑かったのですが、窯の熱で上の方の空気はもっと熱くなっていることでしょう。グラス・ワインがあまり私たちの好みではなかったこともあって飲むのをやめ、気を取り直して、面白そうなフルボディの赤ワインをリストから選んでチーズを頼もう、という話になりました。飲めなかったらその瓶を持って帰ろうということで、再オーダー。

今度は、どこからワインが来るのかを見ようと思って、また棚のほうに目をやると、なんと棚のいちばん上の段からボトルを取っているではありませんか・・・! 嫌な予感。それがテーブルに運ばれ、大きなグラスにまたもや、どぼどぼどぼっ・・・。試飲というより、すでにグラスの半分まで、なみなみとワインが注がれてしまいました。とにかく私はワインの状態を確かめるために、ひと口・・・またもや「ぬるいっ!」。高いアルコールが鼻を突き、でれっとダレてしまっていて、とても飲めたものではありません。

「すみません、ワインがぬるいのですが・・・」と言うやいなや、ワインを勉強したという、その店員の表情が一瞬にしてこわばりました。「ええっ!? ワインがあったかいだって!? 」と言って、信じられないという顔で私を見ています。「これは赤ワインだから、常温で飲むものなんですよ。赤は冷やさないのです」。「でも、『常温』とは、ここのような27度くらいの気温のことをいうわけではないですよね? このワインは、もう少し温度を下げたほうが、ワインがひきしまっておいしいと私は思うので、白ワインのように『フレッド(冷たい)』にするのではなく、ちょこっと『フレスカ(ひんやり冷やし気味)』にして飲みたいのですが・・・」と私が言うと、ワインのわからないお客がなにを血迷ったことを言っているのか? という顔。こうなったらダイレクトに「さっと冷やしたいから、氷をいただけませんか?」と聞くと、これはもう大変なことになりました。

私を説得しようと、さらに同じことを必死で繰り返す彼・・・。まったく氷など持ってきてくれる気配すらありません。周りのテーブルの人も、全員こっちを見ていて、いまやお店の注目を一気に集めているではありませんか・・・! とうとうふたりとも諦めて、今度、私のエノテカに来てくれと言い残し、各々のグラスになみなみと注がれたワインを泣く泣く残し、ワインが入ったビンだけを持ってピッツェリアを出ました。

そのまま、『EnotecaWine(エノテカ・ワイン)』に直行し、おしゃべりしている間に、氷のなかに直接10分くらいつけておいたワインを注ぐと「うわ〜っ、まったく違う! あそこでは、アルコールに咽せてしまって、甘くてだらっとしていたから飲めなかったのに、これは飲める!」とその違いに友人も目を見張りました。アルコールがきゅっと引き締まった適温のワインは、飲みやすさとバランスを取り戻し、とてもおいしくなっています。

たしかに「赤ワインは常温でサービスするのが常識」とよく聞くので、氷で冷やすなんて、とても衝撃的なことなのだと思いますが、私がAIS(イタリア・ソムリエ協会)でサービスするときも、赤ワインを適温にするため、ソムリエは各々、氷をワイン・クーラーに用意して、温度を計りながらサービスします。とくに夏は、試飲する部屋が暑ければ、その部屋に置いてある赤ワインも当然温度が高いのです。Pinot Nero(ピノ・ネロ)やSchiava(スキアーヴァ), Groppello(グロッペッロ)など、タンニンの柔らかな品種なら、もっと冷やし気味でサービスすることもあります。ちなみに、私のエノテカの赤ワインは、15度前後にしています。

みなさんも、ぜひ、暑い日は赤ワインを冷やし気味でお試しください! 

(写真:「赤ワイン、冷えています!」
Pasini San Giovanni - DOC Riviera del Garda Classico Il Valtenesi da uve groppello 2016 13%vol, Tramin - DOC Alto Adige Schiava Hexenbichler 2016 13%vol, Occhipinti - IGT Terre Siciliane SP68 Rosso Frappato e Nero d'Avola 2017 12,5%vol )


EnotecaWine エノテカワイン
住所:Via Giuseppe Brentano(番号なし)20121 Milano
最寄駅:メトロM1線Cairoli駅(ドゥオーモとお城の中間あたり)
Tel:02-36514771  
info@enotecawine.it
http://www.enotecawine.it/


著者プロフィール
吉田希世美(よしだ・きよみ) プロフィール
日本の雑誌社で女性誌編集者として10年間働き、ワインや料理、ファッションなどを手掛ける。その後イタリアに渡り、2003年A.I.S.(イタリア・ソムリエ協会)ソムリエ資格を取得、その後プロ・ソムリエに。星付きレストラン『Aimo e Nadia』などのレストランやエノテカで勤務。『Excelsior Enoteca Eat’s Milano』の店長を経て、2014年12月、ミラノで日本人初のエノテカのオーナー・ソムリエとして、同僚のソムリエ公式テイスターのSebastiano Baldinuとともに『EnotecaWine(エノテカ・ワイン)』をオープン。


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