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15 gennaio 2019

第3回  〜 ワインの熟成 〜

吉田希世美




いまでも覚えていますが、『Osteria del Binari(オステリア・デル・ビナーリ)』で働いていたとき、お店の地下にあるセラーには、鍵のかかった棚に、古いヴィンテージの高級ワインがずらりと保管されていました。このレストランは、地元のお客様だけでなく、外国人観光客がたくさん訪れていました。ポルタジェノヴァ駅のすぐ近くでトルトーナ界隈。「ファッション・ウイーク」や「家具の見本市」では、お客様が2回転し、連日満員御礼です。外国人に人気の有名ワイン、Barolo(バローロ)、Barbaresco (バルバレスコ)、Super Tuscan(スーパー・トスカン)にBrunello di Montalcino (ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ)といった素晴らしいワインたちが、毎晩飛ぶように売れて行きました。

いわゆる「高級ワイン」と言われるワインなのですが、出荷したばかり、つまりワインが赤ちゃん状態のときに、抜栓してどんどん飲まれていってしまうのです。たしかに出荷したても当然おいしいのですが、まだタンニンもこなれていないし、全体的にもアンバランス、深みも増していない状況で・・・、つまり私としては若すぎて、すぐに飲んでしまうのはとても残念な状態です。より古いヴィンテージのものもそろえているのですが、年代が古くなれば、当然、価格も跳ね上がるので、やはり有名銘柄はほぼ出たばかりのヴィンテージが売れていってしまいます。

毎年4月は、さまざまな試飲会が開催されます。とくに、有名なのがヴェローナで開催される「Vinitaly(ヴィーニタリ―)」ですが、同じ時期に自然派ワインの「VinNature(ヴァン・ナチュール)」や「ViniVeri(ヴィーニ・ヴェーリ)」もヴェローナ近郊で開催されます。すべて同時期なので、その間、ソムリエなどワイン業界のひとたちは大忙し。私たちの扱っているワインの生産者は「ヴィーニタリ―」に参加している人たちも多いのですが、「ヴィーニ・ヴェーリ」にもかなりの生産者が参加しているので、毎年、ちょっと辺鄙なチェレーアという郊外の街まで足を延ばします。

自然派ワインの試飲会「ヴィーニ・ヴェーリ」には、私がマルケ州に行くとかならず立ち寄るワイナリー「Oasi degli Angeli(オアジ・デリ・アンジェリ)」の素晴らしいつくり手である、エレオノーラとマルコたちのスタンドがありました。エッセンシャル・オイルを使うなど、彼らの畑はハーブなどで手入れされ、醸造も普通の概念を超えて、2度も新しいバリックを使用し、唯一無二のワインをつくっています。そのこだわりたるや、かなりマニアック。

彼らのワインを試飲しながら話をしていたとき、エレオノーラが「希世美が知っているように、私たちのワインはすぐに飲むというより、何年かたってから飲むようにつくっているから、時間がたつとよくなるでしょう? 人間と同じで、このワインはなん年もたつと徐々に味わいがでてくるのよ。希世美は10年前の『希世美』と比べて、よりよくなったと思う?」と聞かれて・・・、言葉に詰まりました。「はたして、自分は10年前より、より成熟した、深みのある味わい深い人間になったのだろうか・・・?」自問自答していたら、福島の震災、個人的な別れ、新しくエノテカを立ち上げる・・・、ここ10年間の様々なことが頭をよぎり、自然と涙が流れてきてしまいました。エレオノーラもいっしょに涙を流していて、お互いここ数年のさまざまな出来事を語り合い、ワインを通じて、なんだかとても人生を考えさせられる特別な試飲会となりました。自分もいい状態で、多くの経験と自分磨きで素敵な熟成をしていかなければ、と、偉大なワインたちを見ながら思うのでした。

ワインは光が当たっていたり、コルクが乾いたり、夏の高温にさらされたりすると、すぐにダメになってしまいます。特別な日のためにいいワインを買うのであれば、自分の好みの飲みごろに合わせて上手に熟成させてみると、またワインの楽しみが増えるのではないかと思います。

(写真:「偉大なワインたち。どれがお好みの熟成でしょうか?」)
左から時計回りに  Tenuta San Guido Bolgheri DOC Sassicaia 2014、- Poggio di Sotto Brunello di Montalcino DOCG 2013、- Gaja Langhe Nebbiolo DOC Sperss 2010、- Giacomo Conterno Barolo 1961


EnotecaWine エノテカワイン
住所:Via Giuseppe Brentano(番号なし)20121 Milano
最寄駅:メトロM1線Cairoli駅(ドゥオーモとお城の中間あたり)
Tel:02-36514771  
info@enotecawine.it
http://www.enotecawine.it/


著者プロフィール
吉田希世美(よしだ・きよみ) プロフィール
日本の雑誌社で女性誌編集者として10年間働き、ワインや料理、ファッションなどを手掛ける。その後イタリアに渡り、2003年A.I.S.(イタリア・ソムリエ協会)ソムリエ資格を取得、その後プロ・ソムリエに。星付きレストラン『Aimo e Nadia』などのレストランやエノテカで勤務。『Excelsior Enoteca Eat’s Milano』の店長を経て、2014年12月、ミラノで日本人初のエノテカのオーナー・ソムリエとして、同僚のソムリエ公式テイスターのSebastiano Baldinuとともに『EnotecaWine(エノテカ・ワイン)』をオープン。


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