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編集後記
2017年5月15日
JITRA編集室 大島悦子

●青々とした「椰子の木」が馴染んできたミラノ・ドゥオーモ広場、最近の景観を紹介しましょう。
ミラノの顔ともいえるドゥオーモ。 そしてドゥオーモの前に縦長の形で広がるドゥオーモ広場はいつも内外からの大勢の旅行客やミラノ市民で賑わっています。さて、今年2月、このドゥオーモ広場の「新しい植栽」をめぐって、ミラネーゼの間に賛否両論の大論争が起こりました。ドゥオーモ広場の一部を「緑地化」し、そこに「椰子の木」と「ババナの木」が植えられることが判明したためです。

写真上:@Aミラノのドウオーモ広場(椰子の木コーナーの後ろから撮影)                                                
(写真撮影2017年5月8日)

反対意見の中心は「ミラノとまったく関係ない、景観にもあわない椰子の木とは言語道断だ」というもの。一方、ミラノ市の委託で企画設計した側は「1800年代末にはヨーロッパで異国趣味が一種の流行りで、このドゥオーモ広場にも椰子の木が植えられ好まれていた」と当時の写真を示し、さらに、「この椰子の木は遠くから持ってきたのではなく、コモから持ってきたものだ」と反論しました。また、椰子の木こそは、キリスト教でも「聖なる存在のシンボル」で、復活祭の1週間前の日曜日も「パルマ(椰子の木)の日曜日」と言うではないか、という擁護論もでてきました。「大論争」の間も、植栽工事は日々進められまもなく完成し、「成長して馴染むには2−3ケ月かかるのでその姿をみて判断してほしい」とは企画側の話でした。

写真下左:Bドウオーモ (椰子の木を背にして撮影)   写真下右:Cドウオーモ広場
写真上左:D椰子の木陰でくつろぐ女性          写真上右:Eドゥオーモと椰子の木 

さて、5月8日、改めて、ドゥオーモ広場の「椰子の木」を鑑賞してみました。実際、丈も随分と伸びて青々と見事です。紺碧の空と、ドゥオーモの白大理石のファサードとの調和もなかなかのものです。椰子の植栽の脇やその前を通る人々も、まるで当たり前の風景としてとらえているようです。中には、椰子の木の木陰でのんびりとくつろぐ人もいました。

椰子の木をめぐる「議論」がその後まったく話題にならなくなったのも事実です。ミラノの景観の一部としてすっかり馴染み自然に受け入れられたということでしょうか。 

●「レオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年記念事業」が始まりました
来る2019年はレオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年にあたり、ミラノ市では多彩な「没後500年(1519-2019)記念事業」を企画しています。この記念事業の最初の企画として、スフォルツエスコ城市立博物館で現在開催されているユニークな特別展を訪れてきました。

「最後の晩餐の『考古学』 (Archeologia del Cenacolo)」という展覧会で、「最後の晩餐」の神話誕生プロセスを「考古学的」に再構築しようとするものです。

写真下左:F「最後の晩餐の『考古学』 (Archeologia del Cenacolo)」ポスター    
写真下右:G「最後の晩餐」をロンバルディア画家が描いた作品(1520年頃)  

「最後の晩餐」は、ダ・ヴィンチが作品を完成した1498年直後から多大な反響を生み、1520年代にはすでに、地元画家達がこの「壁一面の大作」を大小様々なサイズの絵画に描いたり、キリストや登場人物の顔部分をデッサンした作品などが制作されたということです。写真などない時代のこと、それらの作品をもとに、さらなる大量の「複製」「再現」作品がつくられ、それによって一般大衆のレベルにまでダ・ヴィンチの傑作が知られることになったとか。その後18世紀には新たな「版画技術」、そして19世紀には写真技術の恩恵等々により、「レオオナルドの傑作」の飛躍的な普及・浸透に拍車がかかることになりました。

写真下左:Hキリストやユダなどの顔部分のデッサン画    写真下右:Iエッチングによる作品

会場には1520年頃、ロンバルディア地方画家チェーザレ・マーニィが実際のダ・ヴィンチの作品を見てかなり忠実に描いたとされる絵画「最後の晩餐」が展示されています。その他、キリストやユダなど登場人物の顔のデッサン画、エッティングによる作品、そして20世紀初頭の写真撮影によるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂の壁画など、「最後の晩餐」の普及に貢献した各時代の具体的作品が展示されており、同傑作が何世紀にもわたって「飛びぬけた大人気」を維持してきたパワーの背景を探る機会を提供しています。

「レオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年(1519-2019)記念事業」の具体的内容は今後順次発表される予定です。ダ・ヴィンチファンの方には、目の離せない事業となりそうですね。

<開催概要>
展覧会名 「Archeologia del Cenacolo」   最後の晩餐の『考古学』 
開催日程:2017年6月25日まで
開催会場:ミラノのスフォルツエスコ城市立博物館、旧スペイン病院の間 .
       Sale dell'Antico Ospedale Spagnolo、Musei del Castello Sforzesco、Milano
開催時間:火曜―日曜 9:00−17:30
入館料:無料

JITRA 編集長
大島悦子 Etsuko Oshima


 

編集後記
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