■エトルリア時代から続くオイル作り
オリーヴオイルって奥がふか〜い!訪ねれば訪ねるほどに新しい発見があるオリーヴ畑と搾油所。行けども行けどもゴールのないその美味しくて不思議な食べ物の成り立ちを追いかけて、あらゆる生産者を廻り続ける筆者。
7年目にしてようやく取引のなかったラツィオ州のオリーヴオイルに出会ってしまいました。
ローマから北へ電車で約1時間半。モンタルト・ディ・カステロという小さな駅から車で20分。
オリーヴオイルで有名なカニーノ村があります。カニーノはDOP(保護原産地呼称)に指定されているとても優秀なオリーヴオイルを作る地域です。
この村には、ルチアーノ・ボナパルト(あのナポレオンの弟)が公爵として住んでいました。また有名なファルネーゼ家から出た教皇パオロ三世もこの町出身です。さらに、この地方は、ローマよりも前の時代、イタリアを担ったエトルスキ(エトルリア人)たちの遺跡がたくさん残っています。エトルスキの博物館や集落跡を訪ねると、ローマ以前、既にオリーヴオイル作りが盛んであったことがわかります。
小さいながらも、さまざまな歴史背景を持つこの村に、私はあっという間に吸い寄せられました。
村の中心にある私がお世話になったB&Bは、とあるご夫人が買い取って老後に始めた宿でしたが、実際ルチアーノ・ボナパルトの娘マリア・アレッサンドリーナが結婚して住んでいた屋敷なのです。当時の彼女の帽子や写真などそのまま買い取ることが出来たので、私などが泊まっても、気軽にいろいろと見せていただけます。(Palazzo Valentini - Corso Matteoti, 25 - Canino - 01011 (VT)
Tel. 0761.437056, elcencio@hotmail.com, www.bebcasavalentini.it)
写真トップ:アグリツーリズモにもなっている「チェロスーゲロ」
下左:チェロスーゲロの青い空、中:ラウラとパートナー、右:土地の地品種・カニネーゼ
■今までにない生産者、ラウラ
さて、ここで出合ったオリーヴオイルは、「チェロスーゲロ」と言う名前です。日本語だとコルクガシの樹でしょうか。
生産者は、女性。ラウラといいます。
カニーノ村から一番近い鉄道の駅モンタルト・ディ・カストロに迎えに来てくれた彼女は、あまり農業の臭いがしない人でした。ちょっとインテリっぽくて都会の香りさえ漂う感じ。今までにない生産者だなぁ、と会った瞬間に感じました。
それもそのはず、彼女は元数学者。ローマに住んでいたそうです。ところがお父様が亡くなって、多くのオリーヴ畑を相続することになり、一念発起した彼女は、大学に通う娘さんをローマにおいてカニーノ村に戻ってきました。オリーヴに詳しい専門家をパートナーに、相続した畑を素晴らしいオリーヴオイルが出来る土地にしていったのです。
オリーヴオイル生産者としてはまだまだ小さな彼女ですが、イタリアのコンテストでは、賞を総なめ状態です。お店には数々の症状やトロフィーが飾ってあります。どのコンテストでもすべて最高の賞をとっているのです。
日本人ということもあまり意識しないで付き合ってくれるのは、きっと都会に住んでいたせいでしょう。今までにお会いした生産者さんとは一味もニ味も違う彼女のオリーヴオイルは、青いハーブのような香りを持ち、爽やかな口当たりです。
この土地の地品種は、「カニネーゼ」といいます。彼女のDOPのオリーヴオイルには、このカニネーゼが50%、フラントイオ種が50%入っています。毎年安定した味のオリーヴオイルで賞をとり続けるのは、この2種類のオリーヴのバランスがとてもよいからだと私は思います。
写真左:レストランのスペシャルソース、右:見るからにおいしそう!ハム・サラミの盛り合わせ
■ラウラのアグリツーリズモと大きな空
この地方は、ラツィオといっても位置的にはトスカーナに程近く、食事の内容も実にトスカーナ地方とよく似ています。
ラウラのアグリツーリズモのレストランでは、美味しい料理が食べられます。スペシャル・サルサ(ソース)のオンパレード、トスカーナの影響が色濃いハム・サラミの盛り合わせ、これまたトスカーナ色が濃いイノシシのラグーのパッパルデッレ、そしてラツィオは白ワインが有名だけれど、ここでは赤!
この美味しいお料理が食べられるアグリツーリズモでは、泊まって、お食事して、オリーヴオイルも購入できます!
ローマ暮らしが長かった彼女は、なんと車の免許を持っていません。どこに行くにも誰かの車で移動です。
この田舎ではちょっとたいへん。歩いたり、自転車は、無理なので、早く取ったほうがいいと思うけど。。。(余計なお世話かしら)
一念発起で戻ってきた彼女が、今までにない経験をしながら、素晴らしいオリーヴオイルを作っていく過程にはいろいろなことがあったようです。しかし、数年でハイクオリティなレベルのオリーヴオイルを世に送り出すことが出来たのは、良きパートナーに恵まれていることと、何より彼女の数学的な能力がここに活かされているのではないかなぁと、大きな空を眺めながら思ったのでした。
最後に、このカニーノ村のタブロイド新聞に、なんと私の書いたつたないイタリア語の記事(手紙)を載せていただきました。
お恥ずかしいので内容は伏せますが、とても光栄です。
チェロスーゲロ Azienda Agricola Cerrosughero
S.S.312 km 22.6, 01011 Canino (Viterbo)
Tel: 0761-437242
http://www.cerrosughero.com
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