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美味しい街「パルマ」だより
15 Settembre 2018

第16回
力強いパルマの自然派ワイン      
 

西村明美 

●自然派ワインの生産者が増加
日本でもさまざまなイタリアのワインが比較的簡単に手に入るようになってきたのではないでしょうか。イタリアでは、ここ10年くらい体に優しい、有機栽培、地産地消と唄うナチュラルな食品がブームですが、ワインも自然派ワインを造る生産者が増えて来ています。

自然派ワインは、ぶどうの畑を有機栽培で栽培し、ワインに入れる酸化防止剤となる亜硫酸塩(これが飲みすぎると翌日頭が痛くなる原因とも言われます)の量を減らしたワインです。パルマでも多くの自然派ワインを造る生産者がいますが、ほとんどが、家族経営の小さなカンティーナです。


トップ写真@「テルマリーナ」(チェーナ渓谷の土着品種。パッシートワイン造りに使用される。 
写真Aチェーナ渓谷に位置するぶどう畑

●チェーノ渓谷にある「ポデーレ・プラダローロ」
パルマから南東へ30KM、アペニン山脈の麓、チェーノ渓谷、ヴァラーノ・メレガーリにある「ポデーレ・プラダローロPODERE PRADAROLO」は、1972年に購入した土地で、1990年からその土地で代々栽培されていたぶどうを栽培し、その年の特徴を出したワイン作りを行っています。

「ポデーレ・プラダローロ」で自然の流れに任せたワインを作り続けるアルベルト・カレッティさんは、元々カザーロ(チーズ職人)になるための勉強をし、クラテッロ作りもしていた職人でした。パルミジャーノ・レッジャーノチーズもクラテッロも材料は違っても発酵食品。そして材料にはどちらも乳もしくは肉に塩だけという添加物ゼロの食品です。

その視点で、ワインを考えると、やはりワインもモスト(ぶどう汁)のみを使ったワインということになるのでしょう。こちらでは、ぶどう畑の手入れも銅と硫黄のみで農薬や除草剤などの使用は一切無し。酸化防止剤となる亜硫酸塩も無添加です。酵母もぶどうの皮から出る自然酵母で、100%ぶどう汁を発酵させたワインです。  

●土地とその地の気候を生かす
元々はアルベルトさんのお父様が、ハムの工房をするために購入したこの土地でしたが、お父様のご病気になられたため、その計画はその当時からワインに凝っていたアルベルトさんのワイン作りの土地となったのだそうです。1990年に2ヘクタール、2006年に3ヘクタールの土地にぶどうを植え、「土地とその地の気候」を生かしたワイン作りをしていらっしゃいます。

 写真下Bマルバシア・カンディア・アロマティコ(パルマの土着品種。アロマティックなぶどう)

1800年代終わりにフィロキセラにヨーロッパ中のぶどうが侵され、ほぼ全滅するまでは、この土地は良いワインができることで知られていた場所でした。チェーノ渓谷はリグーリア海から来る海風がワインに味を加え、標高も250m-500mと高いため、昼と夜の温度差が大きく、ぶどうに香りを出します。

古くはネアンデルタール人が居住し、狩りをするための槍、刃の一部などが発掘されています。その後も、ケルト人や、ローマ人が住み、中世以降も常に耕され、特に葡萄などのつる科植物、フルーツに適した土地とされてきました。1600年代、パルマを統治していたマリア・ルイージャの食卓には、パルマの生ハムと一緒にこの土地のワインが注がれたと言います。

●ポデーレ・プラダローロのワイン作り
ワインの製造は、アルベルトさんがぶどうの収穫時期から、発酵法まで全てを決定しています。ワイン発祥の地ジョージア、アルメニアで使われている長期のマセラシオンが特徴です。

写真下CDステンレスタンク、セメントタンク(ここでマセラシオンが行われる)

マセラシオンとは、皮も一緒に漬け込んで置くことをいうのですが、それを9ヶ月もします。長期皮につけて置くことにより、タンニンが出て、それが酸化防止剤の役目をします。2次発酵には同じぶどう汁を使っています。ここのミクロクリーマ(土地気候)を利用しているので、温度管理はしていません。

写真下E「ピュピトル」と呼ばれる(メトド・クラッシコ、シャンパン造りに使用されるものと同じ)棚に36ヶ月置かれる。

ポデーレ・プラダローロではパッシート(干しぶどうで作る甘口ワイン)も含み、8種類のワインと2種類のグラッパを作っていらっしゃいます。その中の典型的なパルマの土着品種、「マルバシア・カンディア・アロマティコ」のスプマンテ(メトド・クラッシコ) 「Vejヴェイ2014年」をいただいてみました。「ヴェイVej」とは、この土地(現在は「セッラヴェッレSellavalle」と呼ばれる地域)の中世の呼び名だそうです。いかに土地をリスペクトして造っているかが感じられますね。

写真下F 「Vejヴェイ2014年」   

オレンジ、梅干しの香り、ナッツの香ばしさも感じます。口に入れると、しっかりとした酸味がありながら、とてもふくよかです。色がオレンジ色なのは、マセラシオンの期間の長さを感じさせます。アルベルトさんはクラテッロ(パルマ郊外で生産される貴重な生ハム)に合うワインを作りたかったとおっしゃっています。最高級ハムはもちろん、マリアージュの幅は広いと思います。

エミーリア州のワインはピエモンテ、トスカーナに負けない力を付けてきています。



西村明美(Nishimura Akemi) 
1996年よりパルマ在住。パルマという土地柄、食に関わる通訳の仕事が多く、ワイン好きが嵩じて、2003年イタリアソムリエ協会AISの資格を取得。2007年にパルマ人と結婚し、ますますパルマの伝統食品への興味が深くなり、パルマ伝統食品アドバイザーコース終了。2013年にパルミジャーノ・レッジャーノ協会のテイスターコース、パルミジャーノ・レッジャーノ紹介者養成コースを終了。
現在、パルミジャーノ・レッジャーノやプロシュット・ディ・パルマ、クラテッロなどの工場見学、研修や、アルマインターナショナルでソムリエコースを教えるペッシーナ先生のワイン講座、お料理教室をオーガナイズするかたわら、更に専門的にパルマの食品について勉強中。
ブログ  http://marchesell.exblog.jp/

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