JAPANITALY Travel On-line

 
イタリア旅行情報サイトJAPAN-ITALY Travel On-line
イタリア世界遺産の旅
15 settembre 2009
ドロミテ
Le Dolomite

トレンティーノ・アルト・アディジェ州
Trentino Alto Adige,ヴェネト州 Veneto,フリウリ・ヴェネツイア・ジュリア州 Friuli Venezia Giulia, 
トレント県 Trento,ボルツァーノ県 Bolzano,ベッルーノ県 Belluno,ポルデノーネ県 Pordenone,ウーディネ県 Udine

登録年 2009年
登録基準 自然遺産(Z)([)


文・写真 牧野宣彦

イタリア北東部に広がる山岳地帯のドロミテは、その自然の美しさや地質学的に重要な事が認められ、2009年6月スペインのセヴィリアで開催されたユネスコの会議で、イタリア2番目の世界自然遺産として登録基準(Z)([)で登録された。
写真トップ:際高くそびえるサッソルンゴ3181mの3つの頂

●美しい湖、奇岩で構成された山々、氷河
ドロミテは、北はリエンツァ渓谷、西はアディジェ渓谷、東はピアーヴェ渓谷、南はヴァルスガーナ渓谷を含みアルプス東部に位置し、トレントTrento、ボルツァーノBolzano、ベッルーノBelluno、ポルデノーネPordenone、ウディーネUdineなど5つの県、3つの州にわたり、その地域の面積は141,903ヘクタール、18の3000m以上の山々を含んでいる。ドロミテの名前の由来はフランスの地質学者デオダ・デ・ドロミウDeodat De Dolomieu(1750-1801)が、1791年にこの地方の最も多い岩石の中にマグネシウムと炭酸カルシウムを含むドロマイト岩を初めて発見し、19世紀中ごろアルピ・ドロミティケAlpi Dolomiticheという今は使われなくなった言い方で普及した。

写真左:ミズリアーナ湖から見たソラピス山、右:トッレ・ディ・チーメの展望台から見た美しいパノラマ

ドロミテには美しい湖、奇岩で構成された山々、モミなどの針葉樹の森、牧歌的な田園、夏でも雪で覆われた氷河、鋸のような鋭い尾根などが聳え、それらが朝日や夕日などの光を受け、微妙にスミレ色、バラ色、赤などの色彩に変化し、夕暮れの空に輝く。すなわち当地では"Enrosadira"(日の出および夕暮れ時の赤からスミレ色へ段階的に変化する現象)といわれ、それを見た人は生涯忘れられない体験を味わえる。

●西部ドロミテはボルツァーノを起点に
妻と私は今年世界遺産になったドロミテを見ようと2009年8月3日ボローニャを出発した。朝5時半に家を出て、途中ヴェローナで乗り換えドロミテの西の中心であるボルツァーノへ着いたのは朝10時半だった。私が月曜日に出発したのは、週1回火曜日にボルツァーノから出るドロミテ西部周遊観光バスに乗るためで、月曜日に着いてそのバスツァーの申し込みをする為だった。私たちが泊ったホテルラウリンLaurinは、1910年創業の歴史的ホテルで過去にハプスブルク家のカールなどの王家が宿泊したホテルで、これまで取材などで数回泊っている。値段もそれ程高くなく、豪華な朝食、部屋も広く窓からはドロミテの山々が見え、ボルツァ―ノが高い山々に囲まれた谷の盆地に位置している事がわかる。部屋の準備ができていなかったので私はすぐヴァルター広場にあるツーリストインフォメーションに行き、ドロミテ観光バスの申し込みをした。朝9時40分にボルツァーノを出発し、戻るのは夕方5時のバスツァーで一人24ヨーロだった。

写真左:西部ドロミテ周遊基点のボルツァーノの町、右:緑色の水の独特なカレッツァ湖

ボルツァ―ノの町は以前に来た時より観光客が多くなり、広場に面した洒落たカフェ、レストランでは多くの人が食事やお茶を楽しんでいた。モーツァルトは1772年初めてボルツァ―ノを訪れて以来生涯に数度この街を訪れているが、モーツァルト父子はボルツァ―ノが心から嫌いだったらしい。モーツァルトはボルツァーノのことを「狐、悪魔、野卑、強欲なボーツェンを詠う詩人として」書き、「またボーゼンに来なくてはいけないのなら、自分で自分を力任せに打った方がまし」とまで書いている。しかし1786年9月10日ボルツァーノを訪れたゲーテは、逆にボルツァ―ノを気に入ったらしい。イタリア名物のメルカートなどの活気ある様子を好意的に書いている。私がインフォメーションで紹介してもらったレストラン・フェーゲルの前の通りはゲーテが書いているように活気ある生鮮食料品のメルカートがこの日もたっていた。そして驚いた事にこの通りはゲーテ通りと名付けられていた。

●日帰りドロミテ観光バスで周遊
翌日朝食後9時半にボルツァ―ノの駅の左脇のバス停に行き、バスを待っていたら2人の年輩の日本人の旅行者に出会った。懐かしくなり話しかけると2人は登山が趣味で、今回は6月19日から9月4日までの77日間かけてフランスのヨーロッパアルプスからスイス、ドイツ、オーストリアなどヨーロッパアルプスの全貌を制覇するために来たという。その合間にザルツブルク、ヴェローナ、スカラ座などに行き、オペラを見るというタフな旅行者だった。私はこれから行くドロミテバスツァーに強力な教師に巡りあえ心強かった。仕事を退職し、去年ヒマラヤの6000m級の山を登ったMさんと若い時マッターホルンやアフリカ最高峰のキリマンジェロを登頂した経験のあるYさん。2人はドロミテの事もよく調べていてとっても得る事が多かった。

ドロミテバスツァーは夏だけ運行し、ボルツァーノを定刻通り出発し、最初にバスが停まり訪れたのがカレッツァ湖Lago Carezzaだった。標高1250mの湖を見た時、その緑色の水の美しさに驚いた。今までスイスや水の美しい湖は沢山訪れたが、これ程澄んだ深いグリーンの水は初めてだった。対岸にはモミの原生林が茂り、その上に切り立った2842mのラテマールLatemarの頂が見えた。山の上にかかった白い綿のよう雲と森、山頂が鏡のような水面に映っていた。幸いこの時、太陽は明るく照っていたので、本当に素晴らしい景色を堪能する事ができた。

バスはその後2842mのカティナッチョCatinaccioなどの山を見ながらコスタルンガ峠Passo di Costalungaヴィーゴ・ディ・フォッサVigo di Fossaなどの小さい町を通りながらカナッツェイCanazeiに近づいた。このあたりに来ると左に一際高くサッソルンゴSasso Lungo 3181mの3つの頂が見えた。カナツェイの町は賑やかで、ホテルも沢山あり、旅行客で賑わっていた。その後バスはセラ山系を見ながらこのバスツァーの最高の高さポルドイ峠Passo di Pordoi 2239mに11時半頃着いた。あいにく空は曇り標高2950mのサッソ・ポルドイSasso Pordiへのロープウェーも雲に隠れ、空は灰色の雲に覆われていた。寒いので用意していたジャンパーを慌てて着込んだ。

写真左:ドロミテ最高峰マルモラーダ 3343m、右:ヨーロッパ最大の牧草地と言われるアルぺ・ディ・シウジ

●ドロミテ最高峰のマルモラーダ
私がドロミテで一番見たかったのは、ドロミテ最高峰のマルモラーダMarmolada 3343mだった。地球温暖化の影響かドロミテの3000m級の山々でも例外ではなく、雪を被った山は殆ど見えなかったが、マルモラーダ山には、夏でも雪があるということなのでどうしても見たいと思った。Mさんによるとマルモラーダを見るには、公共の交通機関では行けないのでタクシーをチャーターするしか方法がないという。観光バスはここで各自昼食をとり、1時半にポルドイ峠を出発し、サッソルンゴやサッソ・ポルドイの裏山を見ながらバスは曲がりくねった道を進んだ。すると彼方にうっすらと白銀に覆われた山々が見えた。Mさんに尋ねるとあれがマルモダーラ山群だという。私はこの時マルモラーダを絶対間近で見たいと思った。

食後2時間近く走った後バスは、ロープウェーのある小さな街に着いた。聞いてみるとここはシウージSiusiという所で、イザルコ川が流れ、その畔にある美しい町だった。MさんとYさんは,このロープウェーで上まで行くとアルぺ・ディ・シウジAlpe di Siusiに行けるという。いつもなら高所恐怖症とか言って尻込みする妻もロープウェーで上まで彼らと一緒に行くことにした。ゴンドラに乗り5分もすると頂上に着いた。雲間から太陽が顔を出し、50ヘクタールあるといわれる広大な牧草地が広がっていた。これをアルぺ・ディ・シウジと呼ぶ。ヨーロッパ最大の牧草地と言われ、春には色とりどりの花で覆われる。雲にかくれていたが左にサッソ・ルンゴ、カティナッチョ、シリアルの山並みが平原を見下ろすように並んでいる。ドロミテの他の山々は厳しい切り立った峰々が多いが、このアルぺ・ディ・シウジは女性的な豊満な豊かさと限りない牧歌的のどかさを与えてくれる素晴らしい景色だった。私はこの場所に行く事を誘ってくれた2人の日本人旅行者に心から感謝しつつこの地を後にした。私たちのバスツァーは、その後前の車の衝突事故で、ボルツァ―ノへ着くのは一時間遅れたが、無事に着いた。

写真左:コルティーナ・ダンペッツォ、右:マルモラーダのフェダイア湖

●東部ドロミテ中心の町 コルティナ・ダンペッツオ
翌日はボルツァ―ノからドロミテの東の中心コルティナ・ダンぺッツォCortina D'Ampezzへの移動である。公共の交通機関で行こうとするとバスや汽車を乗り継いで3回位乗り換えが必要である。
少しお金はかかったが、ホテルに頼み、コルティナ・ダンぺッツォまで200ヨーロでタクシーを契約した。翌日8月5日約束の8時半少し前に運転手のオズワルドが来た。人種的にはイタリア人というよりオーストリア系の人で、言葉はドイツ語を使っていたが、もちろんイタリア語も出来る。私は前日Mさんがタクシーをチャーターするのだったらドロミテ最高峰の聳えるマルモラーダへ行ってみたいといった言葉を思い出し、マルガ・チアペラMaruga Ciapelaを経由してコルティナ・ダンぺッツォへ行くことにした。

この日は旅行をはじめて最高の天気に恵まれ、前日見たドロミテの山々も息を吹き返した様に明るい陽光の下で輝いていた。カナッツェCanazeiまでは前日と同じ道であり、そこを通り少し行くとマルモラーダ山群の一角である残雪の残るグラン・ヴァルネルGran Varnerが姿を現した。そしてその山にどんどん近付くとグラン・ヴェルネルの後ろに沢山の雪が積もったマルモラーダ山が見えた。なおも進むと前にはフェダイア湖Lago Fedaiaが横たわっていた。雪を被った山や切り立った山の頂などを鏡のような水面に映し、たなびく雲との実に美しい自然美を作り出していた。私は車に停まってもらい心ゆくまで写真撮影をした。その後車は一直線にコルティナ・ダンぺッツォに向かい私たちの宿舎ホテルベルブBellevueに着いたのは、13時近かった。

コルティナ・ダンぺッツォは、トファーネ山塊Le Tofane3243m、ポマガ二ヨンIL Pomaganyon 2450m、クリスタロ山Cristallo 3216m、ソラピス山IL Sorapiss 3205m、クロダ・ラーゴ山Cr.da Lago 2709m等の山々に囲まれたボイテ・イン・カド―レBoite in Cadore渓谷1224mに開かれた町で、東部ドロミテの中心の町である。私がこの町を最初に訪れたのは2001年の夏で、この街にある1835年創業の歴史的ホテルデ・ラ・ポステDe La Posteの取材の為だったが、この時は時間がなく数時間しか滞在しなかったので、コルティナ・ダンぺッツォに滞在することは長い間の夢だった。しかし着いた日は4時間に及ぶボルツァ―ノからの移動で昼食後すぐ寝てしまった。

写真左:ミズリーナ湖から見たトレ・ディ・チーメ、右:トッレ・ディ・チーメの展望台から見たパノラマ

●トレ・ディ・チーメからの生涯最高のパノラマ
8月6日朝9時予約しておいたタクシーが来て私たちは、この近くにある最高の名所トレ・チーメ・ディ・ラヴァレードTre Cime di Lavaredo 2999mへ出発した。その途中にクリスタロ山の裏側等が見えたが、それは荒々しい岩山で、上から凄い迫力で迫ってくる。20分も走るとミズリーナ湖Lago Misurinaが見えた。その正面彼方に目指すトレ・チーメ(イタリア語で3つの頂上を意味する)の頂きが見えたが、私には2つの高い山にしか見えなかった。絵葉書き等を見ると左に低い山、中央に一番高い山、右に同じくらいの山がはっきり見えるが、私が訪れた位置からは、2つの山だけがはっきり見えた。このミズリーナ湖のトレ・ディ・チーメから反対側に見えるのがソラピス山でこちらの眺めも素晴らしかった。湖を撮影した後私たちはトレ・ディ・チーメに向かった。近付くに従って山は上からのしかかるように迫ってきた。そして展望台に到着した。この展望台からは右にクリスタロ山、左にカディー二Cadini2839m等の山々が見えた。

私はこれまでイタリアとフランス国境のクールマイユールのモンブランやスイスのユング・フラウ・ヨッホなどヨーロッパアルプスの高い場所から沢山のパノラマを見たが、このトレ・ディ・チーメの展望台から見るドロミテの雄大な景色はおそらく生涯見た最高の景観といっても過言ではない気がした。雲ひとつない青い空に広がる壮大な眺めは、まるで神がこのドロミテを選別し、長い年月をかけ、この地に精巧な山の彫刻を創造したのではないかと思われる程美しく、そしてダイナミックだった。私が4日間のドロミテの旅で見た最高の絶景がトレ・ディ・チーメの展望台から見たパノラマだった。

私たちはその後コルティナ・ダンぺッツォへ戻り、ロープウェーでトファーネ山の頂上まで行き、眼下に広がるコルティナ・ダンぺッツォの町を見た。雲が出て、雲の下に街が見えたがこちらの景観も素晴らしかった。翌日朝コルティナ・ダンぺッツォからボローニャへ直通のバスがあったので、これに乗り家に戻った。私にとってドロミテは4日間の旅であったが2人の日本人旅行者との出会い、生涯忘れえぬ美しい風景などを見る事が出来、最高の旅だった。



データ
Dati

交通アクセス

●西部ドロミテの拠点 ボルツアーノへの行き方
<列車で> 
ミラノからECで3時間20分、ヴェローナからECで約1時間30分、Rで約1時間40分〜2時間10分。ただし、ミラノからボルツアーノへの直通ECは本数が少ないので、時間帯によってはミラノからヴェローナに行き、乗り換える必要あり。

●ボルツァーノ観光案内所 
Piazza Walther 8
Tel: 0471 307000
Fax: 0471 980128
www.bolzano-bozen.it
info@bolzano-bozen.it

●ドロミテ観光バス 
ボルツアーノ発 (夏季のみ運行)
http://www.martinreisen.com/?sid=5
http://www.japanitalytravel.com
©  JAPANITALY.COM srl - MILANO 2000 All rights reserved.