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イタリア世界遺産の旅
15 aprile 2008
エオリア諸島
Isole Eolie


シチリア州 Sicilia 
リパリ Lipari
メッシーナ県 Messina
登録年 2000年
登録基準 自然遺産(T)




文・写真 牧野宣彦

シチリア北方のティレニア海に位置するエオリア諸島は、Y字型にサリーナ島Salina、リパリ島Lipari、ヴルカーノ島Vulcano、フィリクーディ島Fulicudi、アリクーディ島Alicudi、パナレーア島Panarea、ストロンボリ島Stromboliの7つの火山島からなる。そのうちヴルカーノ島とストロンボリ島は今も活動している活火山島である。
この地域は春から秋までの間、ムラサキサギ、アオサギ、フラミンゴ、ペリカン、ツル、カモ、ガン、キジバト、ウズラなどが飛来する野鳥の天国になっている。
2000年、イタリアでは現在のところ唯一の自然遺産として、ユネスコ世界遺産に登録された。

エオリア諸島の名前は、ギリシャ神話の風の神エオール(アイオロス)に因む。
この島に人が住み始めたのは、紀元前20〜15世紀頃といわれ、リパリ島、フィリクーディ島に遺跡が残っている。温暖な気候の上、リパリ島で発掘された黒曜石が珍重され、貿易により栄えた。
紀元前6〜4世紀頃この地方の支配者はギリシャ人であったが、やがてローマとカルタゴのポエニ戦争に巻き込まれる。その後は、様々な勢力に支配されたシチリアと同じ運命を辿った。

●メッシーナからリパリ島へ
エオリア諸島の中で最も大きいのがリパリ島だ(東西7km、南北9km)。人口は1万人になる。海岸沿いに、13世紀から14世紀に建設された城塞都市の旧市街がある。
島の最高峰は、北端近くにあるサンタンジェロ(標高602m)。他にも200m〜500m級の山がいくつかあり、起伏に富んだ景観をつくっている。

2007年3月16日、私はメッシーナのホテルを朝7時半に出て、駅へ向かった。この日、メッシーナからミラッツォまで列車で行き、ミラッツォの港から船でリパリ島へ行く予定だった
しかし、メッシーナで乗ろうとした列車は30分以上の遅れ。即座に予定を変更し、バスで行く事にした。ミラッツォ行きのバスの停留所を聞くと、4つ目の通りを右に曲がればすぐと言う。急いで向かい、バスが停まっているのを見つけた時はほっとした。
後でわかったことだが、バスならメッシーナから直接ミラッツォの港に行くことができ、実は便利だったのだ。
写真トップ:サリーナ島
下左:リパリ島、右:リパリ島の港のひとつマリーナ・ルンガ

リパリ島に着くと、すぐ近くにある城塞地区Castelloへ向かった。ここには大聖堂やエオリアーノ考古学博物館Museo Archeologico Eolianoがある。
博物館は大規模なもので、時代別に区分されている。先史・歴史時代部門にはリパリ島のアクロポリスやディアーナ地区で発掘された出土品が展示されていた。ディアーナ地区は現在の考古学公園にあたる。青銅器時代以前の壷や食器類、貨幣など膨大なコレクションで、ギリシャ文化圏に入る以前からこの地方にはかなり高度な文明を持った人々が住んでいた事が偲ばれた。

古典考古学部門には、ギリシャの影響下にあった時代の痕跡を示す出土品がとりわけ興味深かった。サテュロス劇に使用された仮面のミニチュア、アテネの喜劇作家アンドロスが創始した新種の喜劇用仮面、ローマ、ビザンチン時代の遺物、陶器などおびただしい展示物が置かれていた。
海洋考古学部門には、紀元前15世紀から紀元前14世紀頃のギリシャの難破船から発見されたものなどを展示。他に私の興味を惹いたものは火山学部門で、エオリア諸島の地質、噴火の様子や、自然、資源などがこの地の文明に与えた影響などがわかるようになっていた。
すべてを見るのに3時間を要し、見ごたえある博物館だった。

●"火山"の語源になったヴルカーノ島
ヴルカーノ島はシチリアに最も近い位置にある。まず目に入るのは大火山フォッサ(標高391m)で、巨大な火口の大きさは直径500m、深さは100m程ある。

ヴルカーノという名前は火山(Volcano)という言葉の語源になっている。島の誕生は12万年前から10万年前。そして、火山の噴火が記録に現れるのが紀元前5世紀。以降、この島では多くの噴火が起こった。特にフォッサ山の大噴火口付近で起こったものは、大音響と共に噴煙を上げ、大量の火山弾を山麓に撒き散らした。17世紀から19世紀にかけて噴火は10回以上におよび、その噴火形式はヴルカーノ式噴火と呼ばれるようになった。
最後の大爆発は1890年。以降、沈黙を続けている。噴火が静まってから100年の間に町は発展し、リゾート地に生まれ変わった。

リパリ島で一番評判の高いレストラン・フィリッピーノで食事をした後、私はヴルカーノ島を訪れた。リパリ島からは水中翼船で15分ほどの距離である。レヴァンテ港Porto Levanteは小さな港で、渡し船が航行する。左側に高い山が見えた。
タクシーも何も無い場所で、島巡りのバイクや自転車などを貸し出す店があった。店にいた人に車で島を少しドライブしてくれるように頼み、1時間30ヨーロの料金で車で案内してもらった。

少し走るとグラン・クラテーレ、すなわちフォッサ山がよく見える所に着いた。夕日を浴びた山は、典型的な火山の外観をしていた。頂上は噴火のためか平らになっている。そして頂上から下の方へなだらかなスロープ。溶岩が流れたような痕も見られた。夕日を浴びた山は限りなく美しかった。

一番見晴らしの良い場所に行った。そこからリパリ島、サリーナ島といった島々が見えたが、少し空が霞んでいた。恐らく夏には素晴らしい景色が見られるだろう。
約40分で港付近に戻った。近くに温泉が噴出している場所があったが、噴硫黄の臭いが強烈で、長くはいられなかった。
写真左:ヴルカーノ島、右:ストロンボリ島

●灼熱の溶岩を噴き出すストロンボリ島
私が最後に訪れたのはストロンボリ。活火山島で、現在も小爆発を繰り返している。7つの島の中では最北端に位置し、直径4kmに満たない、美しい円錐形をした島(標高924m)である。
その山頂火口は常に灼熱の溶岩を噴出している。夏はこの溶岩の噴火を見るため、火山鑑賞ツアーの船が出て、多くの観光客で賑わう。

リパリ島滞在の2日目の朝、水中翼船に乗り、一人でストロンボリ島へ向かった。船はサリーナ島などへ停まり、約1時間40分で目的地に着いた。

ストロンボリといえば、1949年にロベルト・ロッセリーニ監督が制作し、イングリッド・バーグマンが主演した映画「ストロンボリ、神の国」を思い出す。難民のバーグマンは、イタリア兵の求婚を受諾し、ストロンボリに住む事になる。しかし、この島は文明から隔絶された世界だった(今でも電気のないところがあるほどだ)。他国者を受け付けない因襲的な住民、カトリックの信仰など色々な要素がからみ、夫婦間にも亀裂が生じるという、現代人にとっても切実な問題を孕む作品だった。
しかし、バーグマンではないが、私がこの地に来たら、退屈で一日も過ごす事はできないだろう。海を見ながらのんびり過ごすより、目標を決めてあちこち訪問するのが好きな性格なのである。

港の近くに一軒のホテルがあったが、3月はまだ開いていなかった。細い一本道を歩いて行くと、ノルマン時代に創建されたという大聖堂があった。
港から眺めると、ストロンボリの頂上部分がなだらかだが逆三角形にへこんでいる。火山の噴火で陥没したのだろう。
私がストロンボリを訪れる3日前に大爆発があり、赤い溶岩が山のスロープを流れて海に落ちて行く様子がテレビで放送されていた。噴火を目の前で見られるのではと期待して行ったが、残念ながら壮大な火山の噴火は見られなかった。ただ山頂には、入道雲のような雲が昇っていた。


データ
Dati

Isola Eolie ■エオリア諸島へのアクセス
フェリー(Traghetto)、あるいは水中翼船(Aliscafo)で。最も頻繁に出ているのがシチリア本土のミラッツォMilazzoの港から。リパリ島を中心に各島を結ぶ。

水中翼船:ミラッツォ、メッシーナMessina、レッジョ・カラーブリアReggio Calabriaから(夏季は一日に複数便、冬季は一日1便)。夏にはナポリNapoli、パレルモPalermo、チェファルCefalu'などからも出ている。
Siremar社 http://www.siremar.it
Ustica Lines社 http://www.usticalines.it

フェリー:ミラッツォから一年中、日に複数便出ている。また、ナポリからは夏季は週に6便、冬は週に2便出ている。
Siremar社 http://www.siremar.it
Navigazione Generale Italiana社 http://www.ngi-spa.it

※リパリ市のサイト(http://www.comunelipari.it)内に、時刻表など関連ページがあるので参考にされたい。
http://www.comunelipari.it/pagine/collegamenti/comearrivare.htm
http://www.comunelipari.it/pagine/collegamenti/orari.htm

※ミラッツォの港まではメッシーナからのバスが便利。所要時間30分。
http://www.comunelipari.it/pagine/collegamenti/giunta.htm
ちなみに、ミラッツォの鉄道駅から港までは市内バスで約10分。ミラッツォ駅にはメッシーナとパレルモを結ぶ列車が停まる。

■ツーリストインフォーメーション
エオリア諸島観光局 A.A.S.T  (リパリ島)
Corso Vittorio Emanuele 202, Lipari
Tel: 090-9880095
http://www.aasteolie.info

※なお、ここで紹介されていない、サリーナ島、フィリクーディ島、アリクーディ島、パナレーア島も訪れることができる。リパリ島の観光局で情報を得るといいだろう。
(参考:http://www.japanitalytravel.com/back/tokusyu/2002_0705/0705.html
http://www.japanitalytravel.com
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