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イタリア世界遺産の旅
15 novembre 2009
ジェノヴァのレ・ストラーデ・ヌォーヴェとシステム・オブ・ザ・パラッツォ・ロッリ
Genova, le Strade Nuove e il complesso dei Palazzi dei Rolli


リグーリア州 Liguria
ジェノヴァ県 Genova
登録年 2006年
登録基準 文化遺産(U)(W)



文・写真 牧野宣彦

イタリアには、世界遺産の暫定リストに掲載されている場所が70箇所以上もある。世界遺産に登録されるには、まずこのリストに載らねばならないが、2006年7月イタリアの数ある候補からジェノヴァが世界遺産に登録された。これを意外に思った人もいるかもしれない。
かくいう私もその一人で、何度も訪れた港町でコロンブスが生まれ、ヴェルディのオペラ「シモン・ボッカネグラ」の舞台となった街というしか印象がなかったジェノヴァに世界遺産になるような華麗な文化遺産が存在しているとは夢にも思わなかった。 ジェノヴァが世界文化遺産に登録されたのは、登録条件は(U)(W)による。

●卓越した冨を蓄積したジェノヴァの歴史
紀元前6世紀にはリグーリア人の居住地が存在していたといわれるジェノヴァは、ローマ帝国以前から地中海で海洋貿易を展開していた。1100年頃から自治都市になり、ピサ、ヴェネツィア、アマルフィなど4大海洋共和国として覇権を争っていた。当時最強の船団を保有していたジェノヴァは、黒海での通商を独占し、莫大な富を得て、ジェノヴァは"誇り高き都 La Superba"と呼ばれる様になった。
写真トップ: ロッソ館(赤い館)、写真左・右:ジェノヴァのパノラマ

1492年新大陸を発見したコロンブスが生まれ、少年時代を過ごしたのも15世紀半ばのジェノヴァであった。そのジェノヴァの繁栄が頂点に達したのは、祖国の父(Pater Patriae)といわれたアンドレア・ドーリア(1468〜1560)が総督になった16世紀で、彼はガレー船をスペイン王カールX世のために請け負った。彼の築いたスペインとの同盟関係の御蔭で、共和国の独立は続き、貴族たちは金融業などで財をなし、ジェノヴァは黄金時代を迎えた。

ジェノヴァはその後ナポレオンが侵入し、1797年にフランスに併合され、傀儡国家リグーリア共和国になり、ナポレオン没落後は、ウィーン議定書により、サルデー二ア王国に併合された。イタリア統一時代1860年ガリバルディが、シチリアに1000人隊を率いて、出港したのもジェノヴァからだった。サルデーニア王のヴィットリオ・エマヌエル2世がイタリア統一を成し遂げるとその有力な貿易港となって発展した。

●豪華な宮殿・大邸宅を集積した「ロッリの館」群
前述したが16世紀ジェノヴァは未曾有の繁栄を迎え、外国からの賓客が絶えなかった。それらの人々を迎える来客用迎賓館の建設が、富裕な貴族階級によって16世紀後半から17世紀初頭にかけて行われ、その豪華な宮殿、館、大邸宅を厳選し、"ロッリ"というリストに登録させ、それらをジェノヴァの来賓用宿泊所とする法律を制定した。

 写真左・右:豪華な『ロッリの館』立ち並ぶ現在のガリバルディア通り(旧「ストラーダ・ヌオーヴァ」)

そのシステムは、当時のヨーロッパでは最も斬新な都市整備計画におけるシステムといわれた。"パラッツォ・ロッリ(ロッリの館)Palazzo Rolliは、Via Lomellini,Piazza Fossatello ,Via San Luca,Piazza Bianchiなどに点在している"ロッリと呼ばれたこれらの宮殿は、芸術的に価値あるものが多く、それらの建物建設のために新道(ラ・ストラーデ・ヌォーヴェLa Strade Nuove現在のガルバルディVia Garibaldi、Via Balbi)が建設された。

中でも1551年に整備が始まった最初の新道(Strada Nuova)は、現在ガリバルディ通りVia Garibaldiになっているが、16世紀に権勢を誇った裕福な貴族たちが建てた館、大邸宅が軒を連ね、これらの建物は建築家のアレッシによって建てられた。その中には、1548年に建設され、ジェノヴァ派の画家の作品を所蔵するビアンコ館(白の館)、1671年から1677年に建てられ、イタリアの古典絵画を収蔵する美術館になっているロッソ館(赤の館)、市庁舎になっているドーリア・トゥルシ館などがあり、これらの建物や銀行、店舗などになっている館は、高さが3,4階に統一され、外壁は絵が描かれている邸宅もあり、内部は美しいフレスコ画、玄関や階段などに精巧な装飾が施され、中庭、庭園には彫刻などが配置され、テラスなども素的な空間を形成し、その優れた建築技術、芸術性が現在高く評価されている。

1576年議会で制定された国賓を迎えるこれらの邸宅群と貴族たちの優雅な文化は、ジェノヴァを訪れた人たちによってヨーロッパ中に知られ、当時の有名な画家や旅行者を惹き付けた。その中の一人フランドルの画家ルーベンスは、ジェノヴァ市内のサンタンブロージョ教会や他の場所に作品を描いている。又ルーベンスの弟子ヴァン・ダイクもジェノヴァに滞在して傑作を残している。
私はジェノヴァには、それまで、カルロ・フェリーチェ劇場でのオペラ鑑賞、カフェの取材などで10回以上訪れていて、サン・ロレンツォ聖堂やビアンコ館なども訪問していたが、ガリバルディ通りにこれだけ壮麗な建築群があるとは、想像も出来なかった。

写真左:国立美術館となっているスピノーラ館、右:スピノーラ館天井の見事な絵

●スピノーラ館(国立美術館)
2006年10月日本のユネスコの機関紙を発行している会社から12月号で、今年新しく世界遺産になったジェノヴァの写真を貸してもらえないかというメイルが入った。私は、その時アルバのトリュフ祭りを取材に行く計画があり、ジェノヴァはアルバから近いので引き受けた。早速ストラーデ・ヌォーヴェを管轄している場所にメイルをして、宮殿内部の写真撮影の許可を申請した。するとすぐメイルが入り、ジェノヴァに着いたら電話をくれるようにと、携帯電話の番号が書いてあった。

11月6日、10時にパラッツォ・ロッソで待ち合わせしていたが、その前に私たちは、ピアッツァ・ぺリチェリアにあるスピノーラ宮殿 Palazzo Spinolaを訪れた。建物はサン・ルーカ通りの奥に入った所にある。現在ここはガレリア・ナツィオナーレ・ディ・パラッツォ・スピニョーラといわれ、スピノーラ国立美術館になっている。ファサード入り口の扉の上にある彫刻なども美しく、センスのよい館で、内部にはスタッコ細工やラッザロ・タヴァローネ、ロレンツォ・デ・フェラーリ、セバスティアーノ・ガレオッティなどが描いたフレスコ画で飾られていた。私は、駆け足で見たが、鏡のガレリアの間など優雅な美しい部屋が多く感嘆した。他に画廊があり、ここにはアントネッロ・ダ・メッシーナの「この人を見よ」ヴァン・ダイク作「4人の福音史家」などの傑作があった。

写真左:ロッソ館(赤い館)の内部、右:ビアンコ館(白い館)

●ロッソ館(赤の館)とビアンコ館(白の館)
その後私たちは直ぐにマリーサ・フガーリさんと待ち合わせしているロッソ館に行った。私が待っていた女性は中年の地味な服装をした女性だったが、とても知性的な親切な人だった。この人の御蔭で、ロッソ館のフレスコ画で飾られている普通は撮影禁止の部屋などを撮影できた。この館は素晴らしい美術館で、ティッツィアーノ、ヴェロネーゼ、カラヴァッジョの傑作「この人を見よ」など名画が展示されていた。マリーサさんは、係員に頼んで、建物の屋上に案内してくれた。ここに上ると、ガリバルディ通りを上から全体を撮影でき、かなたに山と雲間から青い空が見えた。天気は今一つだったが、上からストラーデ・ヌォーヴェを撮影することは念願だったので、この通りを撮影出来たのは最高に嬉しかった。

その後マリーサさんは、ビアンコ館に案内してくれた。各部屋の装飾は、ロッソ館程ではないが、美術館になっていて、主にジェノヴァで活躍した画家マニャスコなどの作品が収められていたが、中にはフィリッポ・リッピ、ヴェロネーゼ、ポントルモなどの絵もあった。

写真左:ドーリア・トゥルシ館(現市庁舎)、右: ドーリア・トゥルシ館内の主要の間に輝く豪華なシャンデリア

●ドーリア・トゥルシ館(現市庁舎)
次に訪れたのが、ドーリア・トゥルシ館Palazzo Doria-Tursiで現在市庁舎になっている。1564年から1579年に建設された建物で、外見は一番立派な建物で、柱廊と回廊を持つ長方形の中庭が美しい。特に主要の間(サローネ・プリンチパーレ)は素晴らしく、天井にはフレスコ画が描かれ、壁にはジェノヴァに縁の深いコロンブスとマルコ・ポーロの肖像画が飾られていた。中央の煌くクリスタルのシャンデリアは、あまりの豪華さに声も出なかった。

ここには、レースや、磁器などが展示されている部屋もあったが、一番印象に残ったのは、コロンブスの自筆の手紙とスペイン王が彼に与えた特権が記されている「特権認定書」、またジェノヴァの生んだ天才バイオリンニストニッコロ・パガニーニが弾いたバイオリンの名器ストラデヴァリなどが展示されていた。

マリーサさんは、私が見たいと思うものを、気配りして全て見せてくれた。そして、こちらが驚く程展示されている美術品や芸術に深い見識を持っていた。又日本文化にも造詣が深く、知性のある素晴らしい女性だった。約2時間3つの館の美術館などを案内して貰ったが、彼女との出会いは美しい建物や美術品から受けた感動と同じような貴重な体験だった。これらの美術品の維持も大変だと推察されるが、マリーサさんの様な素晴らしい知識と郷土愛を持った人がいるから現在ある世界遺産がよく保存されていると痛感した。

写真左・右:パラッツォ・レアーレ(王宮博物館)

その後私は、インフォメーションでもらった地図を頼りにバルビ通りのパラッツォ・レアーレ(王宮博物館)、パラッツォ・ロッリと呼ばれる全部で42の館のうち40位の邸宅や館を外から撮影した。内部が見えない館もあったが、時折小さい窓から内部が見える時があり、その天井に描かれたフレスコ画や入り口の美しい彫刻作品などを見ると当時のジェノヴァの富がいかに卓越したものであったかが実感された。


データ
Dati

Porto Vener, Cinque Terre ■交通アクセス
<列車で>
ジェノヴァにはピアッツァプリンチペ駅Piazza Principeとブリニョレ駅Brignoleの二つの鉄道駅があり、どちらも頻繁に利用される。ローマからはES Cityで約5時間、ミラノからはICで約1時間50分。

■インファーメーション
ジェノヴァ観光情報案内所Genovainforma
Piazza Mateotti ドゥカーレ宮殿裏のマテオッティ広場
Tel:010 8687452
白の館 Palazzo Bianco
Via Garibaldi 11
Tel: 010 5572193
月休館 火−金9:00−19:00 土日10:00−19:00
入場料 8ユーロ
http://www.museopalazzobianco.it

赤の館 Palazzo Rosso
Via Garibaldi 18
Tel: 010 2476351
月休館 火−金9:00−19:00 土日10:00−19:00
入場料 8ユーロ
http://www.museopalazzorosso.it

ドーリア・トゥルシ館Palazzo Doria-Tursi
Via Garibaldi 9
Tel: 010 5572193
月休館 火−金9:00−19:00 土日10:00−19:00
入場料 8ユーロ
http://www.museopalazzotursi.it

スピノーラ館 Palazzo Spinola (スピノーラ国立美術館)
Piazza Superiore di Pellicceria
Tel:  010 270 5300
月休館 火−金9:00−20:00 土日14:00−20:00
入場料 4ユーロ
www.palazzospinola.it

王宮博物館 Palazzo Reale
Via Balbi 10
Tel: 010 27101
入場料:4ユーロ
www.palazzorealegenva.it
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