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イタリア世界遺産の旅
15 novembre 2010
モンテ・サン・ジョルジョ
Monte San Giorgio


ロンバルディア州 Lombardia
ヴァレーゼ県 Varese
登録年 2010年
登録基準 文化遺産(U)


文・写真 牧野宣彦

ブラジルのブラジリアで2010年8月に開催された第34回世界遺産委員会で、モンテ・サン・ジョルジョMonte San Giorgioのイタリア側があらたに世界自然遺産として拡大、登録された。尚モンテ・サン・ジョルジョのスイス領に属する地域は2003年世界自然遺産として、既に登録されている。登録の条件は、世界自然遺産の定義の(2)にあたり、以下のような要件になっている。
(U)地球の歴史の各主要な段階を現している重要なもので、その中には生活の記録、土地形成の発展過程を示しているもの、あるいは地質学的、地文学的に重要なものを含む。

写真トップ:モンテ・サン・ジョルジョの遠景
●モンテ・サン・ジョルジョの沿革
モンテ・サン・ジョルジョは、スイスとイタリアの国境に近いルガ―ノ湖の南部にある山で一つの高い峰でなく、標高1,097mのピラミッドの形をした山で、この山がスイスでは、Meride, Riva San Vitale、Brusino Arsizio、Besazio、Mendrisio、Ligornetto、Stabioなどの地域を含む849ヘクタール、イタリア側では、Besano、Clivio、Port Cersio、Saltrio、Viggiuなどの町にまたがり2,064.48ヘクタールある。

写真左・モンテ・サン・ジョルジョ付近マップ 、右:モンテ・サン・ジョルジョのパノラマ

モンテ・サン・ジョルジョが世界自然遺産に登録されたのは、この山の地層から中生代3畳紀(約2億5100万年から約1億9500万年前)の地質時代の化石が発見されたからである。この時代が3畳紀というのは、赤色の砂岩、茶色の砂岩、白色の砂岩の堆積条件の異なる3層が重畳していたからといわれる。この時代地球上では、大規模な火山活動などで大量の生物の絶滅などがあり、その後海で爬虫類や3畳記中期には、恐竜やワニなどが出現した。モンテ・サン・ジョルジョ地域から化石が発見された最初のきっかけは、イタリアのこの地方で、工業用のタ―ルの結晶片岩を採掘していた時、海中に生存していたと思われる爬虫類や魚類の化石が発見されたという事実が1854年にイタリア人エミリオ・コルヴィア(Emilia Corvalia)が執筆した文献に記されている。その後1863年にイタリア自然科学会の発掘調査が行われた。

現在までにこの地域から10,000点を超す化石が発見されている。その内訳は80種類の魚類、30種の爬虫類(中には全長6mを超す巨大なものもある)、約100種類の無脊柱動物(希少の昆虫などを含む)無数のミクロ化石などがあり、この地域が、当時はサンゴ礁の広がる豊かな海で、古地中海といわれる太古のティティス海とつながっていたと考えられている。その海底にあった石灰質の地層に動物の遺骸が閉じ込められ、その後の火山活動や地殻変動などで、現在の山になった。山は鬱蒼とした樹木で覆われているために、よい状態で保存され、19世紀に化石が出土した。

写真左:べサーノ化石博物館の化石、右:モンテ・サン・ジョルジョで出土した化石

●ヴァレーゼを起点にモンテ・サン・ジョルジョ地域へ
2010年8月上旬モンテ・サン・ジョルジョがイタリアにまで範囲が拡大されてから、いつかここを訪れなければという気持ちはずっとあった。しかし8月は、既に日程が詰まっていて、9月は日本に一時帰国しなければならなかった。そして10月ようやく、ここを訪問する機会が訪れた。地図を見るとこの地域に一番アクセスしやすいイタリアの街は、ヴァレーゼVareseであることがわかった。私と妻はボローニャを朝7時45分の汽車で出発し、途中ミラノで乗り換えヴァレーゼには1時頃着いた。ヴァレーゼには、郊外にもう一つの世界遺産であるピエモンテ、ロンバルディアのサクロモンテ9つのうちの一つである1598年に建設されたサクロモンテ・デル・ロザリオ・ディ・ヴァレーゼSacromonte del Rosario di Vareseがあり、着いた翌日はここを見学した。小高い丘の中腹から坂に沿って15の礼拝堂が配置されていた。

翌日ヴァレーゼ最後の日朝9時半私たちは、ヴァレーゼのアートホテルを出発した。街中を出ると彼方の山々から続いているなだらかな緑の斜面に別荘地や庭園が点在している。タクシーで10分も走ると、インドゥーノ・オロ―ナInduno Olonaという町の表示が見えた。緑の多い美しい町で、少し走るとインドゥーノ・オロ―ナ市立自然史博物館への案内があった。ここに今回の目的の一つである。中生代の魚介や爬虫類の化石の展示があるという。訪問したかったので、何度も博物館に電話をしたが、全く応答がなかった。博物館のサイトを見ると見学不可と書いてあった。

写真左:ポルト・チェレシオ、右:ルガーノ付近(スイス)

ここを通り過ぎ次に目指したのは、べサーノBesano、この街に市立化石博物館Museo Civico dei Fossiliがある。夏の間(4月から9月まで)は殆ど毎日開館されているが、10月からは、火曜、木曜、日曜日だけで、私たちは残念ながら日程が合わず中に入れなかった。博物館の外から写真を撮り、街の一番高い所にあるサンタウリオ・マドンナ・デッレ・コッレSantuari Madonna delle Colleへ行った。石畳のなだらかな坂道になっていて道の右側に絵の描かれた衝立があり、それが数メートルの間隔で並んでいた。ガラス張りの内部にはキリスト受難の物語が描かれていた。頂上に登ると視界が開け、左にルガ―ノ湖、正面に頂上が平たい山が見えた。これがモンテ・サン・ジョルジョの一部で、この付近からも沢山の化石が発掘されたという。その後すぐに我々は、数キロ北にあるポルト・チェレシオPorto Ceresioに行った。ルガ―ノ湖に面した小さな街で、対岸はスイス領になっている。彼方の山々は緑に覆われ、所々に人家や教会や高い鐘楼がある。秋の柔らかな陽光を浴びた湖と対岸の可愛い町の織りなす風景は限りなく美しい。この街の裏山もモンテ・サン・ジョルジョにつながっている。

●スイス領メリーデの化石博物館
ここを去り10分も走るとスイスとの国境に着いた。灰色の制服を着た警官が2名いたが、パスポートを見せることもなく、簡単に通過できた。そしてスイスの世界遺産の地域、ブルジノ・アリスィツィオBrusino Arsizio、リヴァ・サン・ヴィタ―レRiva San Vitaleなどを通過し、モンテ・サンジュルジョが一番美しく見えるスイス側の湖の湖畔に行き、写真撮影をし、私たちはメンドリシオMendrisio、アルツォArzoを経由してメリデMerideに着いた。
写真左:べサーノの化石博物館内部 、右:メリデの化石博物館内部

町のコム―ネの近くで一人の女性にメリデの化石博物館Il Museo dei Fossili di Merideを尋ねると前の小道を歩くとすぐだという。妻と3分も歩くと右側に小さな入口の博物館が見えた。その入口にはイタリア語で「文化遺産、自然遺産としてユネスコに登録された地域は、類稀なる普遍的価値があるため、人類の為に長く保護されるべきである。」と書かれていた。中に入って見ると管理人など誰もいなかった。1973年に設立されたという博物館には、爬虫類や小さな魚の化石などが展示されていた。内部は全部で20畳位の広さで、中央に仕切りがあり、1919年に化石を発掘したというスイスの古生物・生物学者ベルナール・ぺイエ(Bernard Peyer)の胸像などもあった。

これまでイタリアの博物館に入る事が出来ず、2億5000年前の化石を見ることが出来なかったが、スイス領ではあったがこのメリデの化石博物館で、本物の中世代の化石を見る事が出来たのは、とても素晴らしい体験だった。既に述べたが、このモンテ・サン・ジョルジョが世界遺産になったのは、景観などではなく、この山の周辺で発掘された化石が価値あると認められたからで、その意味ではこの化石博物館の訪問は意義深かかった。メリデを後にして、私たちは再びイタリア領に入り、サルトリオSaltrioに行った。人口約2900人の小さな街で、背後にはモンテ・サン・ジョルジョが広がっていた。最後に我々が訪れたのは、ヴィッジュー、ここは標高が482mで人口は4500人位。町の中心にはサント・ステーファノ教会のような美しい建造物があり、街の名前(ヴィクス・ユリィVicus Juli)は、ローマ時代に起源を持つという。ヴィッジューの後は、私たちはヴァレーゼに戻った。

モンテ・サン・ジョルジョでスイスで発掘された化石の大部分は現在チューリッヒの考古学博物館、ルガーノの博物館、またイタリアで発掘されたものは、下記インフォーメーション欄にある場所で化石の展示を見る事が出来る。



データ
Dati

■ インフォーメーション
*イタリアで出土された化石が見学できるミュージアム

ミラノ市立自然史博物館
Museo Civico Storia Naturale

Corso Venezia 55 20121 Milano
Tel: 02 884 46337
サイト http://www.comune.milano.it/museostorianaturale
開館時間:9.00-17.30
月曜休館(年間休館日1月1日、5月1日 12月25日)
入館料: € 3,00

ベサーノ市立化石博物館
Museo Civico dei Fossili, Besano

所在地 : via Prestini 5, I - 21050 Besano (Varese)
E-mail:  museodibesano@tiscali.it
Tel: 0332 91.92.00
サイト: http://www.montesangiorgio.ch/museo.htm
開館時間:
4月1日から9月30日
火曜-金曜  10.00-12:30 14:00-16:00  土曜・日曜  11:00-12:30 14:30-18:30
10月1日から3月31日
火曜・木曜 09.30-12:30 日曜  14:30-18:30
(月曜休館)
開館時間以外の見学希望の場合は上記にTel
入館料: € 3,00

インドゥーノ・オローナ市立自然史博物館
Civio Insabrico di Storia Naturale, Induno Olona

Piazza Giovanni XXIII 4, Induno Olona(Varese)
Tel: 0332 84 06 11
Email:  museo.insubrico2006@libero.it あるいは andrea.tintori@unimi.it
サイト:http://www.comune.induno-olona.va.it
現在休館中

(スイス)
メリデ市立化石博物館
Il Museo dei Fossili di Meride

Meride市役所内
開館時間:年間開館
8:00から18:00
Tel 0041 091 646.37.80, fax  0041 091 646.08.54
Email:museo@montesangiorgio.ch

モンテ・サン・ジョルジョのサイト
http://www.montesangiorgio.ch/
http://www.japanitalytravel.com
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