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イタリア世界遺産の旅
15 aprile 2009
ナポリの歴史地区
Centro Storico di Napoli


カンパーニア州 Campania
ナポリ県 Napoli
登録年 1995年
登録基準 文化遺産(U)(W)




文・写真 牧野宣彦

1787年ナポリを訪れたゲーテはナポリについて「人々が何といおうが、語ろうが、絵に描こうがここの景色はすべてを越えている。」と述べたが、ナポリの歴史地区は、(U)(W)の基準で、世界文化遺産に1995年登録された 

写真トップ:ナポリ湾からヴェスヴィオ火山を望む

●多くの画家や文人を惹きつけてきた都市
ナポリは南イタリア最大の都市で人口は約107万人、ナポリ湾からはヴェスヴィオ火山が望め風光明媚な場所として知られる。このナポリは紀元前7世紀ごろギリシャ人が建設した街ネアポリスNeapolisに起源を持つ。その後、ノルマン、ゴート、アラブ、フランス、スペイン、オーストリアなど多くの異民族がナポリの歴史に登場する。ルネッサンス時代にはシモーネ・マルティーニ、ジョットなどの画家、トマス・アクイナス、ペトラルカ、ボッカチョなど多くの文化人がこの町を訪れている。その後も17世紀には流浪の画家カラヴァッジョオ、18世紀以降ではゲーテ、スタンダール、レオパルディなど多くの文人を惹きつけてきた。1861年のイタリア統一まで、外国人に支配されたナポリは、記念建造物や美術品などのコレクションの宝庫であり、今でも多くの人を魅了してやまない。温暖な気候、紺碧の海、ラクリマ・クリスティ(キリストの涙)に代表されるワイン、ピッツァ、ナポリターナなどもナポリで生れている。
写真左:ナポリのプレピシート広場付近、写真右:スパッカナポリ

私は1972年最初にナポリを訪れて以来2008年までに約15回ナポリに来ている。ナポリ湾から眺めるヴェスヴィオ火山の美しい景色、周辺にはカプリ島、プロチダ島、イスキア島などがあり、反面スッパカナポリに代表される庶民的な混乱と犯罪などあらゆる混沌が含有されている町で、魅力がつきない。

●ナポリの歴史地区の見どころ
そのナポリの歴史地区で私が最も価値ある場所だと思うのが国立カポディモンテ美術館 Museo e Galleria di Capodimonteである。ブルボン家の王宮の一つで、ブルボン家のカルロが1734年にジョヴァンニ・アントニオ・メドラーノとアントニオ・カネヴァーリに建設を依頼し建てた建物であるカポディモンテ王宮Palazzo Reale di Capodimonteで、スペインブルボン家の初代国王カルロが母エリザべッタ・ファルネーゼから相続した絵画のコレクションを収納するために建設した。私はこの美術館を5回訪れているが、いつも新しい発見のあるイタリア有数のコレクションがあり、膨大な作品が展示されているが、ラファエッロ、シモーネ・マルティーニ、マサッチョ、ジョヴァン二・ベッリー二、ティツィアーノ、ブリューゲル、カラヴァッジョ(鞭打ち)などの傑作がある。王宮内の居室には磁器の間があり、そこでは素晴らしい3000個以上の陶磁器が壁一面に飾られているので一見の価値がある。

写真左:国立カポディモンテ美術館、右:同美術館所蔵のティツィアーノ作品

王宮 Palazzo Realeは、横幅169mもあり、ナポリ湾の港に君臨している。スペインのハプスブルク家が支配していた1600年から1602年にかけて建築家のドメ二コ・フォンターナDomenico Fontanaによって建設された。現在内部には美術館があり、18世紀から19世紀にかけての絵画や美術工芸品、家具などが展示されている。この中にテアトロ・デ・ラ・コルテTeatro de la Corteがある。この劇場は1768年にF・フーガが改装し、パイジェッロが作曲した「セレナータ」で開場した。
1993年に訪れた時は、内部の美術館を鑑賞し、劇場では、パイジェッロ作「中国人の偶像」を見た。
ナポリの作曲家によるオペラ・ブッファなどがよく上演され、現在でもオペラの上演は行われている。

写真左:ドゥオーモ、右:カステル・ヌォーヴォ

ドゥオーモ Duomoは、ナポリの守護聖人ジェンナーロに献堂された教会で13世紀に建設され、その後度々改築された。この聖堂は何度か訪れたが、2006年5月に訪れた時は、細部まで見て回った。右側廊3番目にナポリの守護聖人サン・ジェンナーロを祭ったサン・ジェンナーロ礼拝堂Capella di San Gennaroがあり、この礼拝堂は1608年から1637年にかけて製作された。内部はバロック様式で、壁画はドメ二キーノ、クーポラはランフランコなど当時の一流芸術家が製作に携わり、主祭壇に聖ジェンナーロの像がある。身廊の大窓の間に描かれた「聖人」は殆どルカ・ジョルダーノが描いた。また右側廊のペルジーノ作「聖母の被昇天」があるミヌトロ礼拝堂は、ボッカチョが「デカメロン」の一話の舞台に選んだ場所である。若きラファエッロの師だったペルジーノの絵は色彩も鮮やかで、描かれた女性も愛らしく素晴らしい作品だった。ドゥオーモには銀製の聖遺物器があり、その中に聖人の頭蓋骨と血液が小瓶に収められていて、この血液は聖人の殉教の時(305年)、盲目を癒された信徒が集めたといわれ、毎年5月と9月盛大な祭があり、その時に凝固された血液が、液体に戻る奇跡が繰り返されている。

カステル・ヌォーヴォ Castel Nuovoは、1441〜1503年にかけてナポリを支配したアンジュー家の王宮で、べヴェレッロというカプリ島やプロチダ島へ行く船が出港する港の近くにある。当時既に存在した王宮と区別する為にカステル・ヌォーヴォと呼ばれた。中庭正面にパラティーナ礼拝堂Capella Palatinaがあり、これはアンジュー家の唯一の遺品。1990年開場した市立美術館があり、15世紀から19世紀にかけてのナポリの絵画がある。私が2004年夏に訪れた時は、イエラーチェの彫刻、ルカ・ジョルダーノの絵画なども素晴らしかったが、一番感動したのは、ナポリ派のオペラの作曲家で傑作「奥様になった女中」を作曲し、26歳で早逝したジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージの肖像画が見られた事だった。ドメニコ・アントニオ・バッカロDomenico Antonio Vaccaroの描いた作品で、鬘をかぶった面長のペルゴレージの顔が美しく描かれていた。          

写真左:サンタ・キアーラ寺院のクラリッセ回廊、右:サン・カルロ劇場

サンタ・キアーラ寺院 S.Chiaraは、1310〜28年にかけてロベール・ダンジューの妻サンチャ・ディ・マヨルカによって建設されたが、1943年の爆撃でほぼ全部破壊されたが、14世紀の様式に復元された。主祭壇にはペルティーニ兄弟が製作したロベール・ダンジューの墓の断片がある。聖堂の左手奥の中庭にクラリッセ回廊Chiostro delle Clarisseがある。これは82mx78mもある大きな中庭でベンチや回廊の壁などが美しい色彩のマジョルカ・タイルで装飾されている。ここは1740年ドメ二コ・アントニオ・ヴァッカロがゴシック様式の歩廊の中央に田園風の庭園を設計し、ジュゼッペ・マッサとドナート・マッサが、歩廊を飾る黄色,青、緑のマジョルカ焼きを製作した。天井は緑で覆われ、大理石の柱には美しい花や植物の絵が描かれ、ベンチなどにも牧歌的な絵が描かれている。ここはそこに身を置いているだけで、自分が南の町にいる事を実感し心が踊る不思議な場所だった。

サン・カルロ劇場 Teatro San Carloは、イタリアでも最も美しい劇場の一つ。ナポリで上演された最初のオペラは「ネローネIl Nerone」の名前で上演されたモンテヴェルディMonteverdiのポッペアの戴冠L'incoronazione di Poppea(1651)といわれるが、カヴァッリのディドーネDidone(1650)である可能性も否定できない。1598年フィレンツェで誕生したオペラは、その後マントヴァ、ヴェネツィアを経由して18世紀に入るとナポリにその中心が移った。そのナポリオペラの繁栄を支えたのが、1737年に建設されたサン・カルロ劇場。当時ナポリを支配していたのはブルボン家のナポリ王カルロ3世、彼の命によりジョヴァン二・メドラーノGiovanni Medranoが設計を担当し、サッロSarroの「キロスのアキレスAchille in Sciro」で開場した。私は、この劇場を10回位訪れている。
2006年5月に訪れた時は、ヴェルディの「オテッロ」の初日だった。オペラも素晴らしかったが、妻はサン・カルロ劇場のジュゼッペ・カンマナーロフの描いた天井画、雰囲気の優雅さに改めて感嘆していた。
写真上:ナポリ国立考古学博物館所蔵のポンペイ出土の絵

ナポリの国立考古学博物館は、サンタ・マリア・デイ・コスタンティノポリ通りにあり、1585年騎兵宿舎として建てられたピンク色の建物で、18世にブルボン王立博物館になった。この博物館には、ポンペイ、エルコラーノで発掘された作品とファルネーゼ家所有の美術品で構成されている。特に「ファルネーゼ家の牡牛」「ファルネーゼのヘラクレス」という作品は、ローマ時代の作品でルネッサンスの画家達に大きな影響を与えた。

一応ナポリの歴史地区の主要な場所を紹介したが、これ以外にもナポリの歴史地区は、素晴らしい教会、建物が目白押しで、特にトリブナーリ通りは、マッティア・プレーティの絵画4点や、ティーノ・ディ・カマイーノの製作したシャルル王子の嫁カテリーナの墓碑などがあるゴシック様式のサン・ロレンツォ・マッジョーレ教会、ここは又ボッカチョが、フィアメッタと恋に落ちた場所で隣接する修道院では、地下に発掘された古代ローマ時代の地下都市の散策が出来る。
写真左:「ファルネーゼ家の牝牛」、右:カラヴァッジオの「7つの慈善」

その他バロックのサン・パオロ・マッジョーレ教会、ピオ・モンテ・デッラ・ミゼリコンデリアには、カラヴァッジオの描いた「7つの慈善」がある。私の訪れた時は、閉まっていて見られなかったが、この流浪の天才画家はナポリの美術に偉大な貢献をした。この通りにはナポリ最古の11世紀から12世紀に建設された鐘楼ピエトラ・サンタ、バロック様式のサン・ピエトロ・ア・マイエラ教会など素晴らしい建築が多い。その他ゲーテがイタリア紀行で記しているジローラミニ教会、ジェズ・ヌォーヴォ教会などがある。又サン・カルロ劇場の向かいにあるのが、高さ58mのガラスのウンベルト1世ガレリアで、19世紀末貧民街を撤去して建設されたもので近代都市ナポリを象徴する。ナポリは過去2500年の歴史ある建築、遺稿などが渾然と調和し、魅力がつきない。


データ
Dati

■交通アクセス
鉄道利用の場合、ローマ・テルミニ駅からナポリ中央駅 Stazione Centraleまでアルタ・ヴェロチタ(高速列車)で1時間21分、ユーロスターESで約1時間50分、インターシティICで約2時間。
また、市内からおよそ7キロのところにナポリ国際空港があり、イタリア主要都市やヨーロッパの都市を結ぶ飛行機が発着している (http://www.portal.gesac.it/)。

■インフォーメーション
ツーリストインフォーメーション オフィス Ufficio Turismo
中央駅構内  9:00-20:00
ガレリア内  9:00-13:30/15:00-18:00(日、祝は9:00-13:30)
ジェズー広場内 9:00-13:30/15:00-18:00(日、祝は9:00-13:30)

カポディモンテ美術館
Museo di Galleria di Capodimonte
Tel: 081-7499111
開館:火−日曜 8:30-19:30 休館:月曜 入館料:7.5ユーロ

王宮美術館Museo di Palazzo Reale
Piazza del Plebiscito (入口はPiazza Trento e Trieste)
Tel:  081-7944021
開館:木−火曜 9:00-20:00 休館:水曜
入館料:4ユーロ(中庭と庭園は毎日入場無料)

ドウォーモDuomo
Via Duomo
Tel:081-449097
開館時間:月―金 8:00-12:30 16:30-19:00
土 8:00-12:30 16:30-19:30  日 8:00−13:30 17:00−19:30

サンタキアーラ寺院 クラリッセ回廊 Chiostro delle Clarisse
Via Santa Chiara 49
Tel: 081-7971256
開館時間:9:30-12:30/14:30-17:30 (日、祝は9:30-13:00)
休館日:無休
入場料:4ユーロ

国立考古学博物館
Museo Archeologico Nazionale di Napoli
Piazza Museo Tel: (国番号39)081-440166
開館: 水−月曜 9:00-19:30 休館: 火曜 入館料:6.5ユーロ
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