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イタリア世界遺産の旅
15 ottobre 2010
チェルヴェテリとタルクイニアの
エトルリア古代遺跡群

Necropoli etrusca di Cerveteri e Tarquinia


ラツィオ州 Lazio
ローマ県 Roma(チェルヴェテリ)
ヴィテルボ県 Viterbo(タルクイニア)
登録年 2004年
登録基準 文化遺産(T)(V)(W)


文・写真 牧野宣彦

ラツィオ州ヴィテルボ県にあるチェルヴェテリとタルクイニア近郊で発見された古代エトルリア時代の遺跡群は、(T)(V)(W)などの登録基準で世界文化遺産に2004年に登録された。

写真トップ:タルクイニアのモンテロッツィのネクロポリス(死者の町)
●タルクイニア
タルクイニアの街の創設は、伝説では紀元前13,12世紀頃まで遡ると言われている。考古学者達は、紀元前8世紀に存在したヴィラノヴァ文明に属する遺跡を発掘した。この文明は紀元前1000年頃、エトルリア人が住んでいたポー川流域、トスカーナ州、ラツィオ州に発達したものである。

写真左・国立タルクイニア博物館所蔵の「有翼馬Cavalli Alati」、右:国立タルクイニア博物館

マルタ川のおかげで文化が発達したタルクイニアは、紀元前6世紀海洋国エトルスキ全土を支配していた。紀元前4世紀ローマの支配下に入り、その後マラリアが発生し、住民が激減、ランゴバルト族の侵入などが重なり、現在の街のある場所に避難した。タルクイニアには、ヴィッテレスキ館があり、この建物は現在国立タルクイニア博物館Museo Nazionale Tarquinienseになっている。1436年から1439年にかけて建てられた建築で、ルネッサンス様式の息吹が芽生えた建物で、旧市街の入り口に立っている。

博物館は、ブルスキ=ファルガリコレクションと街所有の作品をまとめて1916年に誕生した。エトルリアとローマ時代に彫られた石棺などは芸術的には素晴らしい物が多いが、私の最も心を惹かれたものは、有翼馬Cavlli Alatiと呼ばれる馬の彫刻で、これは前4世紀頃チヴィタの女王の祭壇を飾っていたといわれる浮き彫りで、躍動感のある馬の姿が素晴らしい。馬の顔、首から胸、足にかけての曲線、しなやかさ、ヴェネツィアのサン・マルコ寺院にある馬像も素晴らしいが、これは今まで見た馬像の中でも最高の傑作だと思った。その他印象に残ったものは、紀元前7世紀当時のエトルリアが東地中海と交易をしていたことを示す証といわれるボッコリスの壺などがあった。

私達はこの日ボローニャを早朝出発し、ローマを経由してタルクイナとチェルヴェテリの2つの遺跡を見る強行な日程を立てていた。午前中ローマに行くまでは、空は灰色に雨雲に覆われていたが、私の願いが天に届いたのか、午後は日が射すようになった。しかしこの日ナポリ近郊のカゼルタまで行かなければならないので、ゆっくり見学している暇はなかった。

写真左:モンテロッツィのネクロポリス(死者の町)、右:「曲芸士の墓」

●モンテロッツィの死者の町(ネクロポリス)
タルクイナの旧市街は、駅から離れていてバスでないと行けない。タクシーなどは一台も見かけなかった。幸運にもすぐにバスが来たのでそれで街の中心に行き、町東部の野原にあるモンテロッツィのエトルリアの死者の街を見学したかった。インフォメーションでバスの時間を聞くと、後2時間もたたないとバスが来ないし、この町にはタクシーはないという返事だった。仕方がないので、バールに入って聞けば何とかなると思い、カップチーノを頼み、ホテルサン・マルコのバールの女主人にタクシーがないか聞いてみた。するとタクシーと連絡を取ってくれて、まもなくタクシーが来た。私はイタリアで困った事があるといつもバールへ駆け込む事にしている。  

写真左:「牡牛の墓」(拡大)、右:「牡牛の墓」

私達はすぐそのタクシーでモンテロッツィの死者の町に行った。着いてみるとチケットを買う入り口周辺は大型の観光バスが沢山駐車していた。入場料4ヨーロを払い中に入った。そこは大きな公園になっていて、地下の穴倉のようなものがあちこちにあった。カメラを持って暗い階段を下りて行くと地下に大きなガラスばりになっている古代の人々の住居の様な墳墓と思われるものがあり、その壁には、美しい色で、女性、狩猟、楽器を使って音楽の合奏をしている光景、馬の絵など多彩な絵画が見られた。トロイロスを待ち伏せるアキレスを描いた前6世紀半ばの牡牛の墓tomba dei Tori、フルート奏者と騎士の絵が描かれた儀式の場面のある男爵の墓tomba del Barone、前500年頃に描かれ、舞踏の場面のあるカルダレッリの墓tomba dei Cardarelli、踊る男女の絵の描かれた雌ライオンの墓tomba delle Leonese,ギリシャ神話の神々が描かれた前4世紀から3世紀頃のオルクスの墓tomba dell’Orcoなどが興味深かった。

写真左:「オルクスの墓」の女性像、右:「豹と音楽家の墓」(拡大)

女性の顔などもとても優美に描かれ古代のエトルスキ人の高い芸術的感性が偲ばれる作品だった。女の先生に引率された子供のグループもいて、一緒に遺跡を見学した。この地区では岩を切り刻んで造ったといわれる墳墓が6000以上発見されているという。そしてそのうち200以上の絵画には、古代エトルリア人の誕生、死、宗教観などが描かれている。野原には赤のけしや黄色い野菊などが咲き、彼方には青いティレニア海が見えた。

●チェルヴェテリ
約一時間見て、タクシーでタルクイナの駅に戻り、15時半頃の汽車でチェルヴェテリに向かった。タルクイナからチェルヴェテリは約40分、着くやいなやタクシーでパンティタッチャのエトルスキのネクロポリスへ向かった。

写真左: チェルヴェテリのバンディタッチャの墓地遺跡、右:「柱頭の墓」

ローマから42kティレニア海に面したチェルヴェテリは、エトルリア時代「キュスリュ」と呼ばれ、アルシウム、ラディスポリなど周辺の港を支配し強力な軍事力を誇っていた。古代ローマ時代に「カエレCaere」となり、そこから「カエレ・ウェトゥスCaere Vetus」古いカエレ、「チェリーCaere Novum」と区別するためにチェルヴェテリと呼ばれるようになった。この街の郊外北2kの場所にパンディタッチャのエトルリアの墓地遺跡がある。紀元前7世紀から前1世紀頃に建設された墓地が緑の豊かな樹木の茂る公園の中に点在している。

●バンディタッチャの墓地遺跡
街の中心を通過し、結構長い曲がりくねった松の並木道を通り、駅から20分位でネクロポリスに着いた。ここは、緑豊かな森のような所で、遺跡のエトルスキ人のお墓は時代によって少しずつ様式に変化が見られ、これが公園全体に点在している。死者の街は大体において生きている人が住んでいたのと同じような町の造りで、区画整理された町の形態をとっていて、大きな通りがあり、その両側に塚のような円錐形に土を固めて造った、草でおおわれた墓がいくつもあった。

写真:「浮き彫りの墓」 

数ある墓のうち注目に値するものは、セポルクラ―レ通りVia Sepolcrale沿いの囲いの中にある前6世紀中ごろのものと思われる柱頭の墓tomba del Capitelli棺の墓tomba del Letti funebri、尖塔形の寝台持つ最古のものといわれるtomba della Capanna、樽の墓tomba dei Doliiギリシャ壺の墓tomba dei Vasi greciトンバ・デイ・リリエヴィtomba dei Rilieviという墓は、地下の壁に人間や馬などの装飾が施され、保存状態がよく、今でも住んでいた人が突然現れるような気がした。内部は石材を使った柱があり、切妻屋根や梁があるもの。玉座や足台が置かれたもの等が造られていた。モンティ・デッラ・トルファ通りVia dei Monte della Tofaとモンティ・チェリティ通りVia dei Monte Ceritiに沿ってダイス型墓tomba a dadoが並び、続いて前7世紀から5世紀に建設された墳墓型の オッフェリア・ドランティ・マロイの墓tumulo Ofelia Duranti Maroi,メンガレッリの墓tumulo Mengarelli、大佐の墓tumulo del Colonelloなどがあり、囲いの外にも沢山の墓が存在していた。

夏の暑い日だったので、樹木の多いこの遺跡は、涼しくてありがたかった。現代の人間は死後の世をあまり大切にしない。お墓は段々軽視されているような気がするが、然しこれらを建設した古代の人々は、巨大な石を大した道具もなく運び込み、それを並べて墳墓を建設した。これらの墳墓群を見ていると古代人がいかに死というものを、真剣にとらえ、死後の世界を大切にしていた死生観が、少しわかった様な気がした。私達は、5時にタクシーが来て、チェルヴェテリ駅に戻りローマへ向かった。


データ
Dati

●交通アクセス
<タルクイニア>
ローマ・テルミニ駅からピサ行き列車でタルクイニア下車 所用時間約1時間半
駅から町へはバスで約5分

<チェルヴェテリ>
ローマの地下鉄A線レパント駅上のターミナルからCOTRAL社のバス Ladispoli−Cerveteri行きで所要時間1時間ー1時間半。
Cotral社バスサイト http://www.cotralspa.it/

●インファーメーション
<タルクイニア>
国立タルクニイア博物館
Museo Archeologico Nazionale Tarquiniense
所在地:Piazza Cavour
Tel : 0766-856036
開館 火曜ー日曜(月曜休館)  8:30から、日没1時間前まで
入場料:6.00ユーロ

モンテロッツィのネクロポリス
Necropolis
Tel 0766-85-63-08
開館  夏季:8.30−19.30  冬季:8:30−14:00
入場料:6ユーロ、国立タルクニア博物館と共通券 8ユーロ

タルクニイア観光サイト
http://www.tarquiniaturismo.it/

<チェルヴェテリ>
国立チェルヴェテリ博物館
Museo Nazionale Cerite
所在地:Piazza Santa Maria,
Tel:06-9941354
開館 火曜ー日曜(月曜休館)  8:30から19;30
入場料:無料 (1月1日、5月1日、12月25日 休館)
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