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イタリア世界遺産の旅
15 ottobre 2008
レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観
Rhaetian Railway in the Albula / Bernina Landscapes

ロンバルディア州 Lombardia
ソンドリオ県 Sondrio
登録年 2008年
登録基準 文化遺産(A)(C)




文・写真 牧野宣彦

スイスアルプスを横切る2つの歴史的鉄道、レーティシュ鉄道のアルブラ線とベルニナ線の鉄道沿線の景色が2008年登録基準(A)(C)で世界遺産に登録された。二つの鉄道のうちベルニナ線の発着地がイタリアとスイスの国境にある街、ロンバルディア州のティラーノTiranoである。

●レーティッシュ鉄道の沿革
アルブラ鉄道が開通したのは1904年、全長は67km、トゥジスとサン・モリッツ間でその区間には42のトンネルと144の橋や高架橋がある。またベルニナ鉄道は、サン・モリッツからイタリアのティラーノ間の全長61km、13のトンネルと52の高架橋や橋があり、開通したのは1910年。固い岩盤をくりぬいて造ったトンネルや深い谷に造られた高架橋などの高度な建築技術も、景色の美しさだけでなく世界遺産に登録された大きな要因になっている。

写真トップ: ブルジオにある「オープンループ橋」を進むレーティシュ鉄道の赤い列車

●ティラーノへ、そしてサン・モリッツへ
2008年7月ケベックで開催されたユネスコの世界遺産を審議する会議で、レーティシュ鉄道沿線にあるアルブラ線とベルニナ線の景観が世界遺産に登録されたので、早速訪れる事にした。2008年8月4日前日ヴェローナで、1913年に演出されたという歴史的な「アイーダ」を見た翌日私達は、ベルニナ急行の発着地であるイタリアとスイスの国境にある街ティラーノへ向かった。ヴェローナを9時45分に出発し、ミラノには11時少し過ぎた頃に到着、その後ティラーノ行きは12時15分だった。ティラーノ行きの列車は真夏にもかかわらず冷房などない。汽車がコモ湖の見えるレッコ周辺になるとようやく涼しい風が入って来た。走ること約1時間半汽車はコリコに着いた。その後コリコとソンドリオの区間が水害で鉄道が不通となっているのか、バスに乗り換えさせられた。そしてソンドリオまで約50分、ソンドリオに着くとまた鉄道に乗り換え、30分ティラーノに着いたのは、午後3時10分頃だった。イタリアの国鉄駅を出るとすぐに左前方にレーティシュ鉄道の駅があった。

いよいよここからが世界遺産に登録されている沿線である。私達の乗った15時40分発の赤い列車は、ティラーノを出発し、18時10分に終点のサン・モリッツに着いた。私は期待して車窓からの景色を見たがこの日は残念ながら空が曇っていて世界遺産に登録された景観は楽しめなかった。私はこの日サン・モリッツの駅に近いラ・マルグナというホテルに宿を取った。レーティシュ鉄道の世界遺産はスイスの中東部を走るアルブラ鉄道とベルニナ鉄道の2つからなっているが、今回はイタリアに関係のあるベルニナ鉄道だけを見る事にした。私達の泊まったホテルからは駅と湖が見えとても絵画的な美しい景色だった。我々の日程は、8月4日と5日サン・モリッツに宿泊し8月6日またサン・モリッツからティラーノへ行き、イタリアへ戻る事になっていたが、最後の日天気が晴れるという保証がなかったので、8月5日にベルニナ鉄道に乗りティラーノまで往復する事にした。

写真左:パリュ氷河、右:ラーゴ・ビアンコ(白い湖)

●ベルニナ鉄道の見どころ
この日サン・モリッツ駅で2つの鉄道を2日間乗り放題というチケットを約40ヨーロで買い、サン・モリッツ発ティラーノ行きの8時45分の汽車で出発した。前日と逆のルートを今度はスイスからイタリアへ向かう事になった。サン・モリッツを出発した時は、空席が少しあったが、他の線が合流するポントレジーナという駅に着くと車内はほぼ満席の状態だった。汽車は時速約40kmのゆっくりしたスピードで走る。列車に乗る事30分、モルテラッチュ駅を過ぎた頃、杉の樹木の彼方にモンテラッチュ氷河が見えた。青い空と白い氷河のコントラストが美しく、窓を開けると山の冷気が清々しい。何枚も写真を撮影したが、あっという間に氷河は見えなくなった。次に着いたのはベルニナ・ディアボレッツァ駅で、ここからディアボレッツァの展望台までまっすぐなロープウェーが伸びていた。彼方には残雪の残った山が見え、そしてここは、この沿線でも最も開けた場所で、小川が流れ、そして大きな鈴をつけた牛がのんびり草を食み、アルプスらしい牧歌的な風景で私はこの周辺の景色が一番気に入った。

その後列車はどんどん高度を上げ進んで行くと、黒い湖といわれるレイ・ネイルという湖が見えた。ここには小さな湖が2つあり、二つの黒い湖は小川でつながっていた。そこを過ぎると列車は、湖畔に沿ってカーブを繰り返しながら進み、ラーゴ・ビアンコ(白い湖)が見えた。その湖の畔にある駅がベルニナ鉄道の最も標高の高い2328mの位置にあるオスピッツ・ベルニナで、湖の対岸には、ザサル・マソネが聳え、ピッツ・カンブレナと白い氷河が見えた。夏なので、氷河は縮小していたがまだ充分美しい氷河が残っていた。ラーゴ・ビアンコは、アルプスの雪解け水が混じってこの様な色になったのか本当に薄い水色が白く濁ったような色をしていた。ラーゴ・ビアンコの畔を過ぎると汽車は急勾配の坂道を下る。
写真左:アルプ・グリュムからみる景色
右:ポスキアーヴォ湖

雪をよける為に造られたトンネルを通り、それを抜けると右の彼方にピッツ・ヴァルナ(3453m)とピッツ・パリュ東峰の間に広がるパリュ氷河が見えた。駅はアルプ・グリュムで、2091mの断崖絶壁の上にある。地球温暖化の影響か、氷河からは水が滝になって下のパレー湖に注いでいた。ここから見える氷河の反対側には、べアグマスカアアルペンの高い山々が連なっているが、これらはイタリア領に属する。アルプ・グリュムから次の停車駅カヴァリアまでは、この路線で最大の標高差があり、アルブラ鉄道では、1000mごとに35m登るが、ベルニナ鉄道では、その倍の70mの高度を上げる。列車がここを通る時、すさまじいまでの鉄の触れ合う摩擦音が聞こえてくる。アルプ・グリュムからカヴァリアまでの標高差は400mがいかに厳しい難工事であったかが思われる。カヴァリアは草原が広がる美しい駅で彼方に氷河が見える。ここは昔馬車を交換していた時代、馬の交換が行われたという

この駅を列車はどんどん下って行くと、眼下にヴァレ・ポスキアーヴォが見えてくる。彼方に見える水色の湖がポスキアーヴォ湖、そしてこの町には、バロック教会の塔、市庁舎の塔、ロマネスク様式のサン・ヴィトーレ修道院の3つの塔が緑に包まれた平地と高い山の下に展開している。列車の下りがなだらかなになるとポスキアーヴォ駅、そしてミララーゴ駅に着く。この小さい駅の前にポスキアーヴォ湖が見える。私の行った日は好天で雲と山の峰が鏡のような青い水面に反射し、かなたにスイスアルプスの山々が見えるという絵に描いたような美しさだった。このポスキアーヴォ湖とヴァッレ・ポスキアーヴォの織り成す風景は、穏やかで最もアルプスの牧歌的景色といっても過言ではない。

●クライマックスはオープンループ橋
その後列車はこの沿線最後のクライマックスであるブルジオに着く。私はここで下りて煉瓦で作られたオープンループ橋を撮影に行った。駅を下り15分も歩くと民家があり、そして雑草の生い茂った広い場所があった。その雑草をかきわけて待つこと、約1時間、真っ赤な列車がアーチの橋の上を通過した。私は2台のカメラで可能な限りシャッターを押し続けた。どうにか何枚かよい写真が撮れた。そしてすぐにブルジオの駅に向かった

駅には遅れたサン・モリッツ行きの汽車が停まっていたので、ティラーノへ行くのを止め、そのままサン・モリッツへ引き返した。早く着いた御蔭でサン・モリッツの町の湖周辺を散策できた。サン・モリッツは、冬スキーのメッカとして有名だが、湖の周辺は、とても清潔であったが御店などもなく静かな町だった。翌日この日と同じルートをティラーノまで乗った。ティラーノ駅へ着く直前、右手にマドンナ聖所記念堂が見えた。1505年に建設が始まったルネッサンス様式の美しい教会で、ティラーノの町のシンボルになっている。
写真左:ティラーノ付近
右:ティラーノの町のシンボル、マドンナ聖所祈念堂

ベルニナ鉄道を旅して痛切に感じたのは、地球温暖化がこのアルプスにもじわじわ押し寄せているという事実だった。私の見たアルプスの山々は本来なら夏でも雪を被ってなければならいところだが、氷河のあった痕跡のような跡が沢山見られた。またペンキが禿げたたような醜い山がいかに多かった事か、だから恐らくこのベルニナ鉄道の最も美しい景色が見られる時期は3月か4月頃のまだ雪がかなりある頃だろう。機会があったら雪がたっぷりある3月の晴れた日にもう一度訪れてみたいと思った。


データ
Dati

Sondrio ■アクセス
フミラノからティラーノ駅列車で約2時間半
www.trenitalia.com

■インフォメーション
ティラーノ駅 Stazione di Tirano
Tel:0342 701353

ベルニナ鉄道時刻表
http://www.treninorosso.it/contenuti.cfm?IDP=5

スイス観光局サイト(日本語版)
http://www.myswiss.jp/jp.cfm/home/

ベルニナ鉄道ルート図(日本語版)
http://www.myswiss.jp/Routeguide/index.html?r=Bernina

ティラーノ市のサイト
http://www.comune.tirano.so.it/

ベルニナエクスプレス関連サイト
http://www.flaviocapra-bernina.net/TiranoStMoritz.htm
http://www.japanitalytravel.com
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