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イタリア世界遺産の旅
15 febbraio 2008
ピエモンテとロンバルディアの
サクリ・モンティ

Sacri Monti del Piemonte e della Lombardia


ピエモンテ州 Piemonte、
ロンバルディア州 Lombardia
登録年 2003年
登録基準 文化遺産(ii)(iv)






文・写真 牧野宣彦

ピエモンテとロンバルディアのサクリ・モンティは、北イタリアのマッジョーレ湖、コモ湖周辺の山々に点在するキリスト教の巡礼地のことだ。一番最初に建設されたのはヴァラッロVarallo。他の8箇所も含め、2003年ユネスコ世界遺産に登録された。

"サクロ・モンテSacro Monte"(サクリ・モンティはその複数形)というのは、聖なる山という意味で、カトリックの宗教施設のことである。山に複数の教会や礼拝堂をつくり、聖書の物語を絵や彫刻などによって再現する。これを巡れば信者の宗教心の高揚につながるという思いでつくられた。

彼方にアルプスの峰々が連なり、美しい森と湖が点在する風光明媚な場所にある9つのサクロ・モンテ。私がこの場所に行こうと思ったのは、今から8年ほど前NHKテレビの「イタリア美の巡礼」という番組で、ヴァラッロのサクロ・モンテを見た時だった。山上に展開する教会と森の景観美に強く惹かれ、いつか訪れようと思った。
実現したのは2001年3月、イヴレアで開催されたオレンジの投げ合いの祭りを見に行く途中だった。ヴァラッロのサクロ・モンテへ行くには、ノヴァーラからローカル線に乗り約1時間、ヴァラッロ・セシアという駅で下りる。

写真トップ:ヴァラッロのサクロ・モンテの聖堂
下左:サクロ・モンテの入口、右:内部のテンピオ広場

●サクロ・モンテの歴史
このサクロ・モンテは、ミラノ出身のベルナルディーノ・カイミ神父Padre Bernardino Caimiが、1477年にエルサルムに巡礼に行き、感銘を受け、帰国後1491年ヴァラッロの町を見下ろす岩山に新しい聖地エルサレムを建設ようとしたのが始まりだ。1499年に彼が亡くなるまで建設は続けられた。

その後、サクロ・モンテ建設の目的は、宗教改革に対抗し、カトリック信仰を深めるための一つの手段に変貌してゆく。
オスマントルコ台頭による東ローマ帝国の滅亡後、1517年にマルティン・ルターの宗教改革が起こり、カトリック世界は激震に見舞われた。それを打破しようと1535年に開催されたトレント公会議において、宗教改革がドイツからイタリアへ波及するのに対抗し、カトリック教徒の信仰を強化する目的で、ミラノ公国元老院の管轄の下に、聖人・聖母マリア・聖三位一体を祭ったサクロ・モンテが建設されるようになったのである。

私たちがヴァラッロで泊まったのはイタリアホテル。ホテルからサクロ・モンテまでの道は車で10分ほどであったが、ホテルのオーナーが親切にも車に乗せて連れて行ってくれた。
入り口に着くと、右側にサクロ・モンテの建設者カイミ神父の大きな像、左に画家ガウデンツィオ・フェラーリの巨大な像が見下ろすように迫って来た。そこから各礼拝堂ごとに番号がふってあり、キリスト受難の物語が45の小さな建物の中にフレスコ画で描かれている。キリストが誕生したベツレヘム、出エジプト、ラザロの復活、最後の晩餐、十字架に架けられたゴルゴダの丘などの絵画が見えた。

写真下:ヴァラッロのサクロ・モンテ内の絵画や彫刻

●聖なる山の宗教画
いくつかの絵を描いたのが、像にもなっているガウデンツィオ・フェラーリ。ミケランジェロと同時代を生きたロンバルディアの優れた画家で、ミラノのブレラ美術館の他、ピエモンテやロンバルディアの多くの教会で彼の描いた宗教画が見られる。この聖山では、第2礼拝堂「受胎告知」、第5礼拝堂「三博士礼拝」、第6礼拝堂「キリストの降誕」、第7礼拝堂「羊飼いの礼拝」、第40礼拝堂「ラ・ピエタ」などが彼の作品である。

1578年にこの地を視察したミラノ大司教サン・カルロ・ボロメオは、この場所が大いに気に入り、「新しいエルサレム」という名称を与えて更に発展するよう促した。その結果、1765年まで複数の画家が絵の制作に励み、45の礼拝堂がつくられた。フェラーリの他には、ドメニコ・アルファーノ、ジャン・ジャコモ・テスタ、シジスモンド・ベッティ、イル・ロッカ、イル・モラッツォーネといった画家の作品がある。

礼拝堂と礼拝堂の間には芝生が植えられ、樹木が美しい。どんどん上にのぼって行くとアッスンタ聖堂Basilica Assuntaがある。これは1614年から1713年にかけて建てられた。その前は広場になっていて、中央に傘のある泉があった。テラスからの眺めは素晴らしく、下方には小さな河が流れ、ヴァラッロの町が広がっていた。彼方には真っ青な空の下、雪を被ったアルプスの峰々が見えた。
聖堂内に描かれた絵は、いずれも美しい色彩だった。物語の背景はフレスコ画で描かれ、人物はテラコッタの彫刻で作られている。その為立体感があった。網が張られて見にくいが、よく見ると色彩がはげている箇所などもある。しかし、総じて鮮やかな色調、細部は精巧に描かれ、キリストの生涯をドラマティックに描いていると思った。

ヴァラッロ以後、この地方で建設され、世界遺産になっているサクロ・モンテは次の通り(括弧内は建設年)。
セッラルンガ・ディ・クレアの聖母マリア昇天の聖山 Sacro Monte di Santa Maria Assunta di Serralunga di Crea (1589年)
オルタ・サン・ジュリオに建設された聖フランチェスコの聖山 Sacro Monte di San Francesco di Orta San Giulio (1590年)
ギッファの聖三位一体の聖山 Sacro Monte della SS. Trinita' di Ghiffa(1591年)
ヴァレーゼの聖ロザリオの祈りの聖山 Sacro Monte del Rosario di Varese(1598年)
オローパの聖母マリアの聖山 Sacro Monte della Beata Vergine di Oropa(1617年)
コモ湖畔ソッコルソ・ディ・オッスッチョの聖母マリアの聖山 Sacro Monte della Beata Vergine del Soccorso di Ossuccio(1635年)
スイスとの国境のドモドッソラのカルヴァリオの丘の聖山 Sacro Monte Calvario di Domodossola(1657年)
ヴァルぺルガのベルモンテの聖山 Sacro Monte di Belmonte, Valperga (1712年)


データ
Dati

sacrimonti ■ヴァラッロへのアクセス
ヴァラッロ・セシアVarallo Sesia駅へはノヴァーラNovaraから列車で。所要時間約1時間。
ノヴァーラまでは、ミラノ中央駅、またはミラノ・ポルタ・ヴェネツィアPorta Venezia駅から列車が出ている。ミラノ中央駅からは各駅停車で約40分、ユーロシティで約30分。ポルタ・ヴェネツィア駅からは約1時間。

ヴァラッロのサクロ・モンテへは、駅から徒歩約15分のところにあるマドンナ・デッレ・グラッツィエ教会Chiesa della Madonna delle Grazie(Piazza Ferrari)そばから出ているロープウェーか遊歩道を使ってのぼることができる。遊歩道を歩いた場合、所要時間約20分。
または、車でサクロ・モンテの入口まで行くことができる。

■ツーリストインフォメーション
A.T.L. Ufficio Turismo
Corso Roma 38
Tel: 0163-564404
市のサイト http://www.comunevarallo.com

■ヴァラッロのサクロ・モンテについての問い合わせ 
Riserva Naturale Speciale del Sacro Monte di Varallo
Piazzale della Basilica, Edificio Casa Valgrana, Varallo Sesia (VC)
Tel: 0163-53938
http://www.sacromontevarallo.com

http://www.sacrimonti.net
http://www.santuari.it/varallo などのサイトもご参照ください。
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