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シチリアの祭りを訪ねる旅
15 Luglio 2021

第 13 回
シラクーサの守護聖人
サンタ・ルチーアのお祭り



  文と写真  桜田香織 


●コロナで各地のお祭りはどれも中止に
お久し振りです、シチリアの小さな村のお祭りをお届けしている桜田香織です。と言ってもコロナ以来どこもかしこもお祭りは中止となり、現在やっとホワイトゾーン指定となってほぼ通常モードにはなっているシチリアですが、全く取材もできない状態でありました。と言うことで、今回は「小さな村」ではなく、「割と大きな街」からのお届けとなります。その場所はシチリア東部のシラクーサであります。  

写真トップ@サンタ・ルチーア像がドゥオーモから出てくるのを待ち受ける広場のひとだかり 

●シラクーサ生まれの「ルチーア」さんとは
イタリアではどんな小さな村でもそれぞれに「守護聖人」が存在し、カレンダー上で決められている聖人の日にお祭りが行われると言う話は以前も触れたと思いますが、シラクーサの守護聖人、サンタ・ルチーアのお祭りは12月13日に行われます。シラクーサ生まれのルチーアさん、とても美しい目を持った信仰深い女性だったそうです。

そしてこれ又お決まりの「権力者からの求婚」を断って、自分の一生をキリストに捧げることにしました。そして怒った婚約者によって拷問にかけられます。火炙りにされたり、剣で刺されたり、最後はトレードマークであった両眼をくり抜かれてしまうのですが、その直後にもっと美し目が現れたそうです。ルチーアというのはイタリア語で光という意味がありますから、正に名前通りというわけです。

写真下ABシラクーサのドウオーモ内 ミサ前の様子   

●銀製「サタルチーア像」を市内練り歩き
ドゥオーモに祀られているサンタ・ルチーア、12月13日には銀製の像が外へ運び出されます。数年前の話ですが、私は運の良いことにドゥオーモの真正面に住んでいる知り合いがいたので、そこのベランダから眺めることができました。まずはドゥオーモ内で行われるミサに参列し、その後広場が混雑する前に急いで移動、あっという間に広場は人で埋め尽くされてしまったので、びっくりでした。ノロノロしていたら動きが取れなくなる所でしたから。

写真下左Cサンタ・ルチーアの骨が保管されているケース  写真下右D外に運びだされる「サンタ・ルチーア像」をみるため広場を埋め尽くす人々 

●今回は「元貴族」のお宅で上品に!
ある意味特等席で眺めることはできたのですが、家の中にいたのでいつもの様にお祭り自体の事を詳しくお伝えできないのが申し訳ありません。ですから今回は地元の方達がどうやって過ごしたかに触れたいと思います。

元貴族であるこの家の主人、30人近い友人知人を招いてドルチェでのおもてなし。順番に狭いベランダへ出てサンタ・ルチーアを拝みますが、その他はお茶とケーキとお喋りを楽しむと言った感じでした。通常こういう時にはお酒やコカコーラなどが並び、プラスチックカップでコーヒーが出る・・・というのが定番ですがここのお宅はさすが元貴族、きちんと陶器のカップ&ソーサーでお茶が振る舞われました。とにかく全てが上品で、普段はなかなか出来ない貴重な経験ができました。  

写真下左E友人宅のお茶会   写真下右Fベランダからサンタ・ルチーアを拝む人々

   
●パレルモ版「サンタ・ルチーア」も
いきなり場所が飛んで、島の反対側パレルモでのサンタ・ルチーアの話少々付け加えたいと思います。パレルモではこの日は「小麦粉を食べてはいけない」という決まりがあります。つまり、パンやパスタを食べてはいけないのです。まぁ日本で言う「お彼岸におはぎ」とか、「こどもの日に柏餅とちまき」的なものなのですが、本家本元のシラクーサには存在しない習慣がパレルモにあるのはなぜ?

1646年のことですがパレルモに大飢饉が訪れ、市民は主食であるパンが手に入らなくなりました。当時一般市民はただでさえ貧しく、畑で採れた野菜、チーズ、そしてパンくらいしか食べる物がなかった時代です。そこへ大量の小麦を積んだ船に乗ったサンタ・ルチーアが現れたと言う神話があるのです。空腹で倒れそうになっていた人々は、小麦を挽く時間も惜しんでただ茹でて食べたそうです。クッチーア(Cuccia)と呼ばれるこの料理はただ茹でて、お塩とオリーブオイルで食べられていましたが、現在ではリコッタとお砂糖をかけた甘いバージョンも存在します。  

●「アランチーナ」を大量に食べ尽くす
そしてこの日、パレルモで大量に消費されるのが「アランチーナ」、揚げお握りです。全ての、本当に全てのバールではアランチーナ尽くしとなります。

 写真下Gパレルモのバールでアランチーナを待つ人達(12月13日) 

その場で食べる人は勿論、お持ち帰りをする人達も大勢いて、ものすごい量をテイクアウトしていきます。30個とか40個とか。一体何人で食べるのでしょうね。シチリアの中でも宗教関係のお祭りごとに従順なパレルモの人達、夜は家族や友人達と大勢で集まってアランチーナを食べるのでしょう。1つでもかなりずっしりとくるものですが、この日だけは3個くらい平気で食べてしまう輩が沢山います。     

写真下HI熱々の「アランチーナ」

●ナポリでも「サンタ・ルチーア」!!
最後の最後にもう1つ付け加えておきましょう。日本でも馴染みのナポリ民謡にサンタ・ルチーアがありますよね?あれに意味があるのですよ。この聖人はシラクーサだけではなく、ナポリの船乗り達の守護聖人でもあるのです。光を表す聖人ですから、船乗りに欠かすことの出来ない「灯台」と結びついているそうです。

今回はこのシリーズの意向に沿っていない部分が多いのですが、コロナ禍と言う状況を考慮に入れて受け取って頂ければ幸いです。


著者プロフィール
桜田香織(Sakurada Kaori)

東京都出身。日本航空の国際線客室乗務員として勤務していた頃からイタリアに魅せられ、「いつかイタリアへ・・・」と夢見ながらイタリア語を学ぶ。休職して渡伊、フィレンツェに8年住んだ後縁があってシチリア島へ移り、パレルモ在住。通訳、TVコーディネーターをするかたわら趣味の写真にも力を入れ、2013年にはパレルモ市のイベントで写真展を実現。夫と連名で出版した「Settimana Santa in Sicilia-Cerca di Collesano」(シチリアのイースター週間・コッレザーノの聖金曜日)でも写真を手掛ける。シチリアの料理に深い関心を持ち、レシピだけではなくその歴史のリサーチを続けている。2014年度、NHK TVイタリア語テキストに連載を持ち、シチリアの魅力を伝えている。

シチリアの祭りを訪ねる旅 データ
Dati
■サンタ・ルチーアのお祭り 
 (シラクーサ県 シラクーサ市 Comune di Siracusa)



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