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シチリアの祭りを訪ねる旅
15 Gennaio 2018

第 9 回
カターニアの守護聖人
聖アガタのお祭り   



  文と写真  桜田香織 


●シチリア第二の都市カターニアの盛大な祭り
毎回シチリアの小さな村や町のお祭りをお届けしていますが、今回は大きな町のお祭りです。州都のパレルモについでシチリア島の第二の都市カターニアは商業的な面で言えばパレルモよりも発展していると言われています。そのカターニアの守護聖人、聖アガタのお祭りは盛大で一見の価値大有りです。  

写真トップ@山車の上の聖アガタの胸像、普段はドゥオーモに保管されている
写真下左A聖アガタの山車  写真下右B出店には聖アガタのグッズやドゥオーモの模型などが並ぶ。

●紀元3世紀にこの地で殉教した聖アガタ
聖アガタは紀元後3世紀にこの町で生まれた女性、大変信仰深い方でした。時のローマ総督からプロポーズをされましたが「一生を神に捧げる」と決めていた彼女はそれを拒否、激怒した総督から次々と拷問を受け、乳房を切り取られてしまいます。しかしアガタは薬に頼らず祈りによって治すと言い、毎日祈り続けたところある晩夢に聖ペテロが現れ、奇跡を起こして治してくれたと言われています。これに対して更に怒った総督は最終的にアガタを火炙りにし、彼女は殉教しました。と、これがかいつまんだ聖アガタの一生です。    

写真下左C初日の花火、ドゥオーモ広場で上げられる    写真下右D花火が始まる前のドゥオーモ広場

●市民が一体となり、3日間続くお祭り
彼女はカターニアの市民にとても愛されており、このお祭りでは市民の鼻息も荒くなります。聖アガタの日は2月5日ですが、お祭りは2月3日から5日までの3日間続くというだけでも他の町の守護聖人とはちょっと格が違うのがお判りいただけるのではないでしょうか? 実際は6日の明け方まで続きます。

●派手な12の御神輿と聖アガタの胸像を乗せた山車
見所は派手な12のお神輿と聖アガタの銀製胸像を乗せた山車、その山車に積まれたロウソクでしょうか。このお神輿は魚屋、肉屋、八百屋、花屋など、職業によって分かれた12のグループがそれぞれ所有しており、守護聖人の一生を描いたシチリア風バロック様式の彫刻が施されています。一方の山車は普段ドゥオーモに保存されている銀製の聖アガタの胸像が飾られ、複数の聖職者が一緒に乗り込みます。そしてあらかじめ市民が購入してあったロウソクを山車の上にいる彼らに手渡し、順番に火をつけながら動いていきます。このロウソクは長さ、太さに幾分差がありますが、短い物でも50cm近くの長さです。  

写真下EFG聖アガタの山車、市民が次々とロウソクを渡し、火をつけてもらう。 このロウソクは山車の上に残り、町中を行進する

   
●ドゥオーモまでロウソクを運んで奉納
お祭りの幕開けは3日の昼間、ステシーコロ広場にある通称サンタ・アガタ・フォルナーチェ教会(正式名はサン・ビアッジョ教会)からドゥオーモまでロウソク運んで奉納します。勿論なるべく太くて長い物であればあるほど、ご利益があると言われていますから、家族の人数分の長いロウソクを抱えて歩くお父さんもいます。カターニアの町のメイン・ストリートであるエトナ通り(Via Etnea)を中心に沢山の出店が並び、人が増えていている中を火の付いたロウソクを持って歩くのですから大変な作業です。

  写真下左HIお神輿

ロウソクをドゥオーモに奉納し、初日のメインはその後ドウォーモ広場で行われる花火です。この花火は音楽とシンクロされていて、とても楽しい物でした。例によってシチリアですから老若男女、乳母車に乗った乳飲み子までが外に出て来て広場を埋め尽くします。   

写真上左JK広場で山車が来るのを待つ12のお神輿

●長時間にわたる行進、最後までエネルギッシュ
翌4日、早朝に行われるミサからお祭りの再開です。ミサ終了後このお祭りの主人公である聖アガタの胸像が乗せられた山車がドゥオーモから出て来て、市民とご対面、そしてそれから5日の明け方まで、休まずに町中を闊歩します。その間前日ロウソクを奉納出来なかった市民が、上記したように山車の上にいる人に手渡し、火を付けてもらいます。その山車を追うようにお神輿が後に続きます。道は人で一杯、身動きもとれません。担ぎ手が変わりながら長時間に渡る行進、その間人々のテンションが下がることなく最初から最後までエネルギッシュなのです。   

写真Lロウソク、蜜蝋で作られているため長持ちする。   

最終日5日の明け方、聖アガタは無事ドゥオーモに戻り、再びミサが行われます。しばしの休憩を挟んで午後からは又行進が始まり、翌日の明け方まで続きます。3日間ロウソクが燃やされ続け、人々は叫びまくり、全てが終了した 6日の明け方のひっそりとした町の雰囲気は、精魂尽き果てた私にホッとさせるものを感じさせてくれました。終わったー。  

  写真上MN大混雑の街並み、市民も観光客も山車の後を追う

●カトリック世界三大祭りの一つ
このお祭りはセビリアの聖週間、ペルーのクスコで行われるコルプスドミノ(聖体の祝日)に次ぐ、カトリック世界三大祭りであり、3日間で100万人が訪れると言われています。この時期はお祭りだけに集中し、サッカーの試合も日程が重ならないように設定されます。  

写真下OPQ屋台の風景、殆ど甘い物系  

聖アガタは乳房を切り取られ最後は火炙りになったので、女性の胸と火のシンボルでもあります。何度も噴火するエトナ山ですが、カターニアの住人は被害にあったことがないのをご存知でしょうか?市民を守ってくれる、まさに文字通り守護聖人であります。切り取られた乳房を型取ったドルチェも存在し、お祭りの間だけではなく一年中食べられます。  

写真上R聖アガタの乳房という名のドルチェ、カターニア以外では「処女の乳房」と呼ばれている。柔か目のビスケット生地にチョコレートや刻んだドライフルーツが織り込まれている。

3日間参加するのは結構ハードでありますが、この時期にシチリア滞在なさる方はほんの一部でもご覧になると楽しいと思います。

著者プロフィール
桜田香織(Sakurada Kaori)

東京都出身。日本航空の国際線客室乗務員として勤務していた頃からイタリアに魅せられ、「いつかイタリアへ・・・」と夢見ながらイタリア語を学ぶ。休職して渡伊、フィレンツェに8年住んだ後縁があってシチリア島へ移り、パレルモ在住。通訳、TVコーディネーターをするかたわら趣味の写真にも力を入れ、2013年にはパレルモ市のイベントで写真展を実現。夫と連名で出版した「Settimana Santa in Sicilia-Cerca di Collesano」(シチリアのイースター週間・コッレザーノの聖金曜日)でも写真を手掛ける。シチリアの料理に深い関心を持ち、レシピだけではなくその歴史のリサーチを続けている。2014年度、NHK TVイタリア語テキストに連載を持ち、シチリアの魅力を伝えている。

シチリアの祭りを訪ねる旅 データ
Dati
■カターニャ 
 (カターニャ県 カターナ市 Comune di Catania)
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