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シチリアの祭りを訪ねる旅
15 Luglio 2020

第 12 回
羊に感謝を
サンタ・ニンファの「羊祭り」



  文と写真  桜田香織 


●「羊を味わおう GUSTA LA PECORA」!
毎年11月に、トラパニ県に属する小さな村、サンタ・ニンファで子羊祭りが行われます。その名も「羊を味わおう(GUSTA LA PECORA)」という、まさにそのまんまのネーミングです。羊乳で作ったチーズ、リコッタ、そして子羊の肉を食べ尽くすお祭りです。  

写真トップ@「羊のリコッタ」売り場、出来立て熱々のリコッタは是非とも食べたい
写真下ABサンタ・ニンファの子羊祭り、広場の様子 
写真上左C子羊の肉入りサルシッチャ、ポークも入っている 
写真上右Dペコリーノチーズ、熟成していないものなので、色が白い 

●会場には羊肉を焼く煙がモウモウ
10時始まりと聞いていましたが、シチリアのお祭りはいつも時間通りには始まりません。日本の感覚で真面目にその時間へ行くと、かなり長い時間待たされてしまうので、少々のんびり構えて11時頃足を運んでみました。そうしたらなんとまぁ、いい意味で期待を裏切られたというか、既にかなり盛り上がっていました。メイン会場は小さな広場ですが、あちらこちらで肉を焼く煙がモウモウと立ち込め、独特な羊肉の匂いが辺りを埋め尽くしています。    

写真下EFひたすら肉を焼く

シチリアでは「マトン(成羊の肉)」を食する習慣はありません、子羊のみです。子羊はマトンよりも臭みが少ないとはいえ、それなりの独特の癖はあるので好き嫌いははっきりと分かれ口にしない人も多々いますが、ここではそんな反対派は存在しないようです。               

●皆な食べてる、食べてる!
シチリア人は(シチリア人だけではなく、イタリア人一般)食事の時間をきちんと守ります。意外でしょうか?間食をする習慣がなく、お肉やパスタなどは「食事時間」にしか食べません。たとえ12時にお腹が空いていても「ランチにはまだ早いから、もう少し待とう」という発想をします。不思議ですよね、食べれば良いのに。そして通常シチリアのランチは1時半から2時ごろ、所がこの会場、11時の時点で皆な食べてる、食べてる!これ又びっくりです。こういうお祭りでこの時間からお肉やパスタを食べているシチリア人を目にしたのは初めてですから。  

写真下GHひたすら食べる人たち 

   
●まずは出来立ての羊リコッタを「味見」
早速リコッタ売り場へ行ってみました。リコッタはチーズ生成過程で生じたホエーに凝固剤を加え、再び加熱して作ります。徐々に固まったリコッタをすくい上げ、出来立ては水分たっぷりの熱々です。これにお目に掛かれるのはシチリアに住んでいてもそうあることではありませんから、まずはお味見を。

写真下左Iリコッタ売り場   写真下Jチーズとリコッタの味見のスタンド、色々トッピングをしてくれる 

熱々をプラスチック容器に入れてもらい、スプーンで食べます。牛乳で作るリコッタとは違い、しっかりと羊の香り。この日1日で6000リットルの羊乳を用意してあるというので、かなりの量です。そしてリコッタのスタンドは数ヶ所ありましたから、一体全部でどれだけの量なのでしょう。リコッタはそのまま食べる事は勿論ですが、お砂糖を加えてクリーム状にし、ドルチェにも使われます。    

写真下左Kカッサテッラ、リコッタクリーム入りの生地をあげたドルチェ    写真下右Lスフィンチ、3月19日の聖ジュセッペの日に食べるドルチェ。  揚げたシュー生地にリコッタクリームがたっぷり

●ストリートフード「スティッギオーラ」も
その他パスタ、グリル、羊肉のサルシッチャ、煮込みはトマトソース入りとなしと両方、クスクス、更に日本では知られていないと思われる「スティッギオーラ」。これは子羊の腸でネギを巻いた物を炭火で焼く、シチリアのストリートフードです。一部のアグリトゥリーズを除き、レストランでは出会うことの出来ない郷土料理。通常市場や道端で焼いているのです。ものすごい煙が出るので、室内では無理なのでしょう。やー、本当に羊を食べ尽くす感じですね。

写真下MN煮込み、トマト入りとトマトなし

リコッタを味わった後も幾つか食べてみました。   

写真下OPスティッギオーラ、シチリアのストリートフード

テントを張って座るスペースも設置されてはいるものの、とてもではありませんが席を確保するのは無理でした。立ち食いとなると骨付きのお肉は難しく、ちょっと大変(笑)。皆さんそんな事は気にせず、立ったまま骨付き肉にかぶりついていましたが。私的に美味しかったのはお肉を小さく角切りにして串に刺した、焼き鳥スタイルの物。食べやすいという事もありますが、筋のないももの部位はとても柔らかく、美味しいお肉です。  

  写真下左Q子羊肉のラグーパスタ   写真下右R子羊肉のクスクス
  写真下S子羊のモモ肉の串焼き

●今でも多くの羊飼いが羊を放牧
柵の中に生きている羊達もいました。羊を眺めながらそのお肉を頂戴するのはちょっと気が引けますけれど、子供達は羊に触って大喜び。  

写真下21)羊達 

この村はベリチェ渓谷と呼ばれる所に位置し、1968年の大地震でかなりの部分が瓦礫の山と化しました。再建には結構時間がかかり、今でも一部は取り残されています。ここの羊はシチリア西部のラグーザと、サルデーニャの種を掛け合わせた独特の種類だそう。今でも多くの羊飼いが存在し、年間を通して放牧され、村の経済を潤わせているそうです。ですからある意味、羊に感謝を捧げるお祭りです。

●地元の人がお肉にかぶりつき楽しむお祭り
近くにいる方達に話を伺った所、ほとんどは地元と近辺の町や村からの方達、遠方から訪れる人はそれ程多くないと。実際それ程宣伝もしていませんし、私自身偶然知ったのでした。もっと規模を広げたいというような意思もなく、地元の人が1日たらふく食べて、楽しむために開催されます。この村は人口たったの5000人ほど。村の人が地元の為に行うお祭り。すれ違う人達も顔見知りが多いみたいで、挨拶してそのまま立ち話に花が咲きます。  

写真下22)食べる人々

積極的に宣伝しない小さな村の大きなお祭り、老若男女がお肉にかぶりつきになるお祭り、地元密着のお祭りは素敵でした。 


著者プロフィール
桜田香織(Sakurada Kaori)

東京都出身。日本航空の国際線客室乗務員として勤務していた頃からイタリアに魅せられ、「いつかイタリアへ・・・」と夢見ながらイタリア語を学ぶ。休職して渡伊、フィレンツェに8年住んだ後縁があってシチリア島へ移り、パレルモ在住。通訳、TVコーディネーターをするかたわら趣味の写真にも力を入れ、2013年にはパレルモ市のイベントで写真展を実現。夫と連名で出版した「Settimana Santa in Sicilia-Cerca di Collesano」(シチリアのイースター週間・コッレザーノの聖金曜日)でも写真を手掛ける。シチリアの料理に深い関心を持ち、レシピだけではなくその歴史のリサーチを続けている。2014年度、NHK TVイタリア語テキストに連載を持ち、シチリアの魅力を伝えている。

シチリアの祭りを訪ねる旅 データ
Dati
■サンタ・ニンファ
(トラパニ県 サンタ・ニンファ市 Comune di Santa Ninfa)

■サンタ・ニンファの「羊を味わおう GUSTA LA PECORA」
https://www.trapanisi.it/gusta-la-pecora/



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