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私の住む町Travel案内  ヴィチェンツァ Vicenza
16 marzo 2009

■おすすめ一日観光コース





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案内人 三浦和美



ゴシック、ルネッサンス、バロック・・・。西洋建築には色々な様式があるが、唯一、パッラーディアン(パッラーディオ風)建築という、個人の名前で呼ばれるスタイルを生み出したのが、ルネッサンス後期の建築家、アンドレア・パッラーディオAndrea Palladio (1508-1580)である。出生地はパドヴァなので、彼をヴィチェンツァ出身と呼ぶのには語弊があるが、設計した作品には「ヴィチェンツァのアンドレア・パッラーディオ」という署名をしていたし、彼が眠っているのもヴィチェンツァである。この町を中心に点在する彼のヴィラやパラッツォ(館)は、1994〜1996年にかけて、世界遺産に指定されたが、その理由はパッラーディアン様式が17〜18世紀になってヨーロッパ・アメリカの各地に広がり、西洋諸国の町並みや田園風景を大きく変えたからである。イギリスのカントリーハウスや、アメリカのホワイトハウスなどは、パッラーディオがいなければ存在していなかったらしい。

●国鉄駅からスタート
建築にあまり興味のない方でも、愛らしい町並みと居心地のよさがほっとする町ヴィチェンツァは、ヴェネツィアやミラノから電車を利用して充分日帰り観光が楽しめるので、旅人は国鉄の駅に到着すると想定して、町をご案内しよう。
国鉄駅を出ると、目の前に緑豊かな公園、カンポ・マルツィオCampo Marzioが広がっている。正面にまっすぐ続く道はローマ通りViale Romaである。この道を5分も歩くと、突き当りの右手に中世の塔と門が見えてくる。このあたりは1200〜1300年代、近隣諸国の統治下だった頃に城が築かれていたあたりで、城がなくなった今でもカステッロ(城)広場Piazza Castelloと呼ばれている。この広場から、パッラーディオの名前をとった、コルソ・パッラーディオ(パッラーディオ大通り)Corso Palladioが始まり、通りの終点にあるテアトロ・オリンピコ(オリンピコ劇場)Teatro Olimpicoパラッツォ・キエリカーティ美術館Pinacoteca Palazzo Chiericatiまで、徒歩で歩ける範囲に見どころが集中している。

写真トップ :アンドレア・パッラーディオの設計したヴィツェンツァ効外にあるヴィラ・ラ・ロトンダ(写真提供:Vicenzae`)
上左:テアトロ・オリンピコ(写真提供:Vicenzae`)、上右:ヴィツエンツアの目抜き通り「コルソ・パッラーディオ」

町を歩いていると、コルソ・パッラーディオを除き、道のほとんどがViaではなく、やはり道という意味を持つContradaのヴィチェンツァ方言、Contra`コントラという表示である。ヴィチェンツァは、ローマ帝国時代にヴィチェティアVicetiaと呼ばれていた町で、当時の主要道路Decumanoが、今のコルソ・パッラーディオにあたり、この通りのほぼ中間地点を南北にそれぞれ交差するポルティ通りContra` Portiと町の中心シニョーリ広場Piazza dei Signoriにつながるデル・モンテ通りContra` del Monteが幹線道路Cardoである。ポルティ通りには、パラッツォ・ティエネPalazzo Thieneと現在、国際建築研究センターでもあるパラッツォ・バルバラン・ダ・ポルトPalazzo Barbaran da Portoという2つのパッラーディオ作品がある。

シニョーリ広場は、ローマ時代、フォロ(公共広場)であった場所で、この付近一帯にはローマ時代の遺跡が地下に眠っている。すべての道はやはりローマに続いているのである。この広場にパッラーディオの出世作、バジリカBasilicaがある。平凡なゴシック建築だった1400年代の議会・裁判所を、天才的な技で美しく、かつ経済的に改築したもので、白亜のセルリアーナ窓に船底型の銅屋根が目をひく威風堂々とした建物だ。広場反対側にあるレンガの柱と大理石の赤いトーンが対照的なヴェネツィア総督府のロッジャLoggia di Capitaniatoも彼の作品だ。広場にある観光案内オフィスでは、無料で町の地図をくれるので、ここで是非もらっておこう。ヴィチェンツァは中世から貴金属産業が発達し、現在でもイタリアトップのジュエリーの町である。町のあちらこちらに、控えめだがおしゃれで気品のある雰囲気が漂っている。

●テアトロ・オリンピコの魅力
シニョーリ広場からコルソ・パッラーディオに戻ると、147番地にヴェネツィアン・ゴシックの窓が美しいパラッツォ・ダ・スキオPalazzo da Schio(別名カ・ドーロCa` d'oro)が目に留まる。通りの最後に近づいてきたら、右手に彫像群が空に向かって並ぶパラッツォキエリカーティ美術館(パッラーディオ設計、ヴェネト派絵画の宝庫)、そして左手には一番の見どころ、テアトロ・オリンピコが見えてくる。テアトロ・オリンピコは、1580年にその完成を見ずに亡くなったパッラーディオの遺作で、彼の死後、息子のシッラSillaと弟子であり実際はパッラーディオをライバル視していたといわれるヴィンチェンツォ・スカモッツィVincenzo Scamozziによって完成された。半楕円形の木造の観客席、漆喰で飾られたこの劇場は、常設の屋内劇場としては世界最古のものである。遠近法やだまし絵などを駆使して、屋内でありながら、あたかも古代ギリシャ・ローマの野外劇場にいるかのような気分になってくる。こんな贅沢なステージで、現在でもクラッシックコンサートや劇などが上演されている。

日本人としてこの劇場に最初に足を踏み入れたのは、劇場が完成した1585年、有馬・大友・大村というキリシタン大名から送られてきたあの天正の少年使節であった。劇場に併設されたアンティ・オデオAnti Odeoという部屋の上部には、モノクロームのフレスコ画で少年使節がテアトロ・オリンピコを訪れた時の様子が描かれているが、顔も服装も、どこからみてもしっかり西洋人である。

●パッラーディオの代表作、ヴィラ・ラ・ロトンダへ
さて、ここまでの旧市街は、半日もあれば徒歩でみて周れる大きさである。街中のトラットリアでヴィチェンツァの郷土料理に舌鼓を打って一休みした後は、できればパッラーディオのもう一つの代表作、ヴィラ・ラ・ロトンダVilla La Rotondaまで、足を延ばして欲しい。カステッロ広場まで戻ると、ヴィラのすぐ近くまで行くバス(8番、13番)があるので、それを利用すると便利だろう。パッラーディオ円熟期の代表作品でヴィラ文化の象徴ともされる1566年作のこのヴィラ、正式には所有してきた歴代の貴族の苗字を合わせてヴィラ・アルメリコ・カプラ・ヴァルマラーナVilla Almerico Capra Valmaranaという長ったらしい名前であるが、建物中心部のホールの真上にある屋根が円形(ロトンダ)なので、ラ・ロトンダという通称で呼ばれている。正面にイオニア式の列柱が6本と三角のペディメントのある壮大な玄関が、正方形の建物のすべての面に取り付けられ、四方どこから見ても、まったく同じつくりである。通常は庭の部分からの見学となり、フレスコ画で装飾された内部見学は春〜秋の水曜日だけである。(もっとも、パッラーディオはこのヴィラを、依頼者の瞑想の為に作ったといわれており、本当は真っ白い壁のままで残しておきたかったらしい。)ヴィラ・ラ・ロトンダから徒歩約5分のところには、ヴェネツィア派の画家ティエポロ親子G.B & G.D. Tiepoloのフレスコ画が美しいヴィラ・アイ・ナーニVilla ai Naniがある。パッラーディオの設計ではないが、ここでは1700年代の優雅な貴族の暮らしぶりがうかがえる。

ヴィラ・アイ・ナーニからさらに歩くと、ヴィチェンツァ市民の心の拠り所・モンテベリコ教会Santuario di Monte Bericoに出る。ここでは教会の食堂refettorioだった部分にあるヴェロネーゼVeroneseの「キリストと聖グレゴリオの晩餐La cena di Cristo e S.Gregorio Magno」を鑑賞されることをおすすめする。ヴィチェンツァは衰退したヴェネツィア共和国が1797年ナポレオンに攻めいれられた後、イタリア統一までの約70年間、オーストリア領だったという惨めな歴史があるが、この絵は1848年にオーストリア軍によって32枚に切り裂かれ、その後見事に修復されたといういわくつきの絵である。教会前のヴィットーリア広場Piazzale della Vittoriaからヴィチェンツァの町並みと郊外に広がる山々の素晴しいパノラマを一望して、旅を締めくくろう。モンテベリコ教会から国鉄駅までは、徒歩約20分。日曜祭日であれば、教会のすぐ横から始発のバス18番が出ている。

案内人プロフィール
三浦和美(みうら かずみ)

丸の内の銀行を退職し、'86年渡英。当時、イタリアにはまったく興味がなかったが、ロンドンで知り合ったイタリア人に、「こんな天気が悪くて食事のまずい国より、イタリアを見るべきだ!」と説得され、知っている言葉といえばボンジョルノとグラツィエだけで遊びにやって来たイタリアに気がつくと早22年。ローマの日系航空会社・ツアーオペレーター勤務後、2001年よりヴィチェンツァ在住。公認観光ガイド・ツアーコンダクターの資格を取得し、旅行業を中心に活動中。個人サイトは、http://www.vicenzatouristguide.com/


ヴィチェンツァ・データ
 

■アクセス
<電車>
ヴェネツィアより:ユーロスター・シティ(ESC)で約44分。
ミラノより:ユーロスター・シティ(ESC)で約1時間50分。
ヴェローナより:ユーロスター・シティ(ESC)で約25分。

<空港>
ヴェネト州の3つの空港、ヴェネツィア・マルコポーロVenezia Marco Polo空港、ヴェローナ・カトゥッロVerona Catullo空港、トレヴィーゾ・サンタンジェロTreviso S.Angelo空港のいずれの空港からも車で約1時間。

<車>
高速道路A4、ヴィチェンツァ・オヴェストVicenza Ovest、ヴィチェンツァ・エストVicenza Estが出口。歴史的中心街には通行許可証がない車は進入禁止。
*駅から正面に続くローマ通りViale Romaに駐車場Park Verdiがある。

■市内の交通
市バス(AIM)の利用。料金1,20ユーロ、切符は駅構内の新聞スタンド、タバコ屋Tabacchiもしくは、駅を出て通りを渡ったすぐ左手のAIM販売所で。

■インフォメーション
Uffici informazioni - IAT

Piazza Matteotti,12(テアトロ・オリンピコ横)
Tel:0444-320854
毎日09:00-13:00/14:00-18:00

Piazza dei Signori,8(シニョーリ広場)
Tel:0444-544122
毎日10:00-14:00/14:30-18:30

ヴィチェンツァ観光局
Via E.Fermi 13, 436100 Vicenza
Tel:0444-994770 - Fax:0444-994779
www.vicenzae.org
e-mail:info@vicenzae.org

■その他
テアトロ・オリンピコ Teatro Olimpico
Piazza Matteotti,11
Tel:0444-222800
www.museicivicivicenza.it
開館時間:火〜日曜09:00-17:00(最終入場時間16:30)
入場料:8ユーロ(ミュージアム・カードCard Musei:テアトロ・オリンピコ、パラッツォ・キエリカーティ美術館の他、パラッツォ・レオーニ・モンタナーリ美術館Galleria di Palazzo Leoni Montanari、自然考古学博物館Museo Naturalistico Archeologico、リソルジメント・レジスタンス博物館Museo del Risorgimento e della Resistenza、ディオチェザーノ博物館Museo Diocesanoの共通券、有効期限3日間。家族3名以上の場合、ファミリー特別券Biglietto comulativo speciale "Family"12ユーロの購入が可能。)

市立博物館−パラッツォ・キエリカーティ美術館
Museo Civico-Pinacoteca Palazzo Chiericati
Piazza Matteotti,37/39
Tel:0444-222811/321348/325071
開館時間火〜日曜09:00-17:00

バジリカBasilica Palladiana
Piazza dei Signori
Tel:0444-323681/322196
見学は外観のみ、2009年現在修復作業中。

パラッツォ・レオーニ・モンタナーリ美術館Gallerie di Palazzo Leoni Montanari
Contra` S. Corona,25
Tel:800-578875
www.palazzomontanari.com
開館時間:火〜日10:00-18:00

ディオチェザーノ博物館Museo Diocesano
Piazza Duomo,12
Tel:0444-226400
開館時間:火〜日10:00-13:00/14:00-18:00(最終入場時間17:30)

ヴィラ・カプラ・ヴァルマラーナ・"ラ・ロトンダ"Villa Capra Valmarana "La Rotonda"
Via della Rotonda, 45
Tel:0444-321793
開館時間:夏時間3月15日〜11月4日:火〜日10:00-12:00/15:00-18:00
冬時間11月5日〜3月14日:火〜日10:00-12:00/14:30-17:00
祭日は休館する場合が多い。
内部見学は、夏時間の水曜日(10:00-12:00/15:00-18:00)のみ。
これ以外の日に見学希望な場合は、049−8790879まで電話で問い合わせのこと。
入場料:庭園のみ5ユーロ。庭園+建物内部10ユーロ。

ヴィラ・ヴァルマラーナ"アイ・ナーニ"Villa Valmarana "Ai Nani"
Via dei Nani, 8
Tel:0444-321803
www.villavalmarana.com
開館時間:2009年は夏時間3月10日〜11月8日:火〜日10:00-12:00/15:00-18:00
冬時間(土・日10:00-12:00/14:00-16:30)は11月10日より実施予定
入館料:8ユーロ、12歳までは無料。

モンテベリコ教会Santuario di Monte Berico
Viale X Giugno, 87
Tel:0444-559411
www.monteberico.it
見学可能時間:月〜日06:00-12:30/14:30-18:00(夏は19:30まで)

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